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1―6 参戦……

あの逃走から4日後。俺は再びアルティナと共に街に魔道具を売りに来た。


さすがに4日経っているのだ、ヴェインも俺のことはもう探していないだろう。


そう思い油断していたのがいけなかった。ガシッ!と肩を掴まれ後ろを向いたらヴェインがいた。笑顔だけど目が笑っていない状態だが。


「よぅ…レイオットようやく捕まえたぜぇ〜とりあえず一緒に来てもらおうか」


ズルズルと俺はヴェインに引き摺られていく。


アルティナは引き摺られていく俺の隣を歩いている。


そして引き摺られて行った先はギルドだった。そう、あのギルドマスターがいるギルドである。


「ようやく捕まえたのね良くやったわ」


ギルドマスターが出て来た。


ピキッ!!


俺とアルティナはギルドマスターの姿を見て固まった。特にアルティナは顔色が悪くなりガタガタと震え始めた。


あまりにもギルドマスターの格好が酷かったのである。


頭部に赤いリボンの付いたカチューシャ、服は水色をベースとしているゴスロリ、胸元には翠色のブローチ、片手に黒ウサギのぬいぐるみを抱きかかえた姿の某世紀末覇者がいた。


正直に言うと怖い……命の危機とはまた別の怖さを感じる。理性が目の前の存在そのものを否定しているのだ。


ヴェインがそんな俺とアルティナを見てニヤニヤと声を出さず笑っている。


ヴェイン……アトデオボエテロヨ。


「さてレイオット……オーガ変種の討伐を手伝ってもらうぞ」


ヴェインが真面目に話し出した。


「変種一匹だけなんでしょ……だったら俺は必要ないくない?」


「実は変種一匹じゃなくて……一匹の変種が率いるオーガとオークの群れだったのよ」


そんな俺の疑問に答えたのは視界に入れたくない存在のギルドマスターであった。


「群れ…ですか」


「そう群れなのよ。それもオーガとオークを併せて数十匹のね」


「…………………」


それを聞いたアルティナは唖然としている。これはしょうがないと思う。実際に魔物が群れを率いて街の近くに来るなんてかなり珍しいことだから。




我に返ったアルティナが言う。


「でも、魔物の群ならここの領主から討伐のための兵が送られてくるはずだと思うんだけど」


確かにその通りだと思う。


ギルドマスターががっくりとした様子で言う。


「ええ、兵は来たのだけれど領主の娘が率いる10人だけなのよ」


「えっ!?少なすぎじゃありませんか?魔物の数って数十体ほどいるんですよね……」


「そうよ、お嬢ちゃんの言う通り少ないのよ……なんでも各地で魔物の群れが確認されて、それの討伐に兵を送ってしまったからここに兵を送ってくれただけでも奇跡に近いのよ……ギルドから出せる冒険者も私を含めて数人しかいなくてとても数が足りないのよ」


ギルドマスターがそこまで話したところで扉が開いた。


そして部屋に入って来たのは……肩までの長さの金髪に瞳の色は翡翠。胸元に黒いリボンが付いた真紅に染まったドレスに黒いブーツ、腰には大粒のルビーが付いたワンドを装備した女性だ。


「失礼するぞ。偵察に出ていた者が戻った。報告によれば魔物の群れが移動を開始、数時間で街に着くようだ」


「そうか……なら早く準備を済ませないとな」


部屋に入って来た女性の言葉にヴェインが体を動かしながら返事を返した。


それに続きギルドマスターが腕を組ながら言う。


「そうね……戦闘に参加する者すべてにこの事を知らせないとね」


「それはすでに私の配下の者にやらせているから大丈夫だ。……それと、おまえ達は何者だ?」


ギルドマスターの言葉に答えた女性が俺とアルティナが何者かを訊いてきた。


ぶっちゃけるとヴェインとギルドマスターに捕まった一般人としか言いようがないのだが……。


「そこにいるヴェインとギルドマスターに捕まった一般人」


俺はヴェインとギルドマスターを交互に指差しながら言った。


「本当か?」


「……(コクコク)」


女性の返しにアルティナが頷き答えた。


それにヴェインがにやけ顔で言う。


「な〜にが一般人なのかな〜。アルティナの嬢ちゃんはともかくレイオットおまえは駄目だ!!」


「どういう意味だ?ヴェインよ」


「それはなクラリッサ。たとえばlevel:70ぐらいの輩がいるそいつは一般人と言えるか」


どうやら部屋に入って来た女性の名前はクラリッサと言うらしい。


「無理だな」


俺もそれは一般人とは言えねわ……って自分で自分が一般人じゃないって認めちまった……。


「そう、無理だ。つまりコイツ、レイオットがそうだ」


ヴェインが俺を指差す。そしてクラリッサが俺を見て言う。


「ではレイオットとやら、おまえはどれくらい強いのだ」


なので俺はステータスウィンドを開きすぐに消す。


「level:92……だと、しかもclassが2つ…」


驚くクラリッサ。


「確かにこのlevelならヴェインが仲間に引き込もうとするのも当然ね」


ギルドマスターに関してはヴェインがしつこく俺を追いかけていた理由がわかり納得のご様子だ。


その後、魔物の群れを討伐するための作戦が決められ俺が参戦するのが確定した。


正直に言うと作戦の内容的に俺は必要ないと思った。


作戦内容は部隊を三つに分ける。ヴェインが率いるのは魔物の群れに真正面からぶつかる10人が魔物の群れの動きを抑えて、クラリッサ、ギルドマスターが率いる部隊が左右から魔法による攻撃をするものだ。


うん……マジで俺はいらないと思うんだが。


俺はどうするのか訊くとヴェインが言った。


「レイオット……おまえは……………………………………どうしよう?」


どうしょうって……酷くね。ちゃんとポジションぐらいは決めてくれ。


クラリッサが名案とばかりに手をパチン!と叩いてから言う。


「なら、私の部隊に入れよう。それならばlevel的にバランスが保てるであろう」


ギルドマスターがクラリッサの案に賛成する。


「そうね……その方が部隊の戦力バランスが一定になるものね」


このように俺が所属する部隊が決まった。もちろんアルティナは一緒だ。


そして俺たちはオーガ変種が率いる魔物の群れを討伐するための場所に各部隊ごとに出発した。

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