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1―4 知りたくなかった事実

冒険者風の男が受付役に説明を始める。


「……オーガが出現した」


男の言葉にギルドにいる冒険者たちが凍りついた。


「オーガ……ですか……間違いないのですね?」


「ああ……デビッドが意識を失う前に言っていたからな」


受付役が確かめるように聞き返し、それを男が肯定した。


「……あの、オーガってどんな存在なの?」


「アルティナは魔物についてどこまで知ってる?」


「……危険な存在だから、お母さんに魔物に出会ったら逃げなさいって言われただけだからあんまり知らない」


ほとんど魔物について知識が無いようだ。


「そうか……なら、簡単に説明するから」


そう言って俺は説明を始める。


魔物には危険度に合わせてF〜EXランクまで存在する。


F〜Aランクの魔物までであればレベル次第ではソロで討伐出来る。


だがS〜EXランクになると話は変わる。Sランクはギルド複数による同盟を結び討伐にかかるレベルで、EXランクは国もしくは連合軍で討伐にかかるレベルだ。


基本的にAランクの魔物を相手にするレベルの目安はソロだとlevel:80以上で、4、5人のパーティーだと平均level:60以上だ。


さらに魔物には偶に変種がいる。そいつは同じ種の魔物よりワンランク強い。


「こんなところかな……ちなみにオーガはBランクだよ」


「……そうなんだ、教えてくれてありがとう」


「どういたしまして」


アルティナに説明を終えたので受付役と冒険者風の男の会話に耳を傾ける。


「それでオーガの数は?」


「わからん……それはデビッドに訊かなきゃならん」


ギィ。


鈍い音がした。音がした方を見るとあちこちに包帯を巻いた男がいた。


「デビッド!気がついたのか……」


冒険者風の男がデビッドと呼ばれた男に近く。


「ああ……つい先ほどだかな」


デビッドと呼ばれた男が弱々しく返事をした。


「デビッド……早くギルドに入ってくれないかしら?」


バカな……この声はまさか!?


ヴェイン、アルティナもまさかという表情をしている。


「すいません、マスター」


な、なん…だと!?マスター……だと!!


そして現れたのは長い黒髪に白いフリルを付けた水色のエプロンドレスを(まと)う某世紀末覇者並みの顔つきと体をした人物だった。


ギルド内にいる人員の半数以上が固まった。


「それでは、マスター現状の報告は必要ですか?」


ギルドマスターの格好を見ても動じない受付役。


「必要ないわ、デビッド本人から聞いたしね……でも相手が厄介なのよ、オーガの変種よ」


困ったとばかりに首を傾げるギルドマスター……。


正直に言うと俺はギルドマスターの方が魔物ではないかと思う。別の意味で……。


「だから、今回は私が出ることにしたは……」


「それが妥当でしょう……」


仕方がないといったような表情で受付役が頷いた。


「それで、誰を連れて行きます?」


「それが問題なのよね〜相手はオーガの変種……なるべく高レベルの冒険者じゃないと相手にすらならないしね………」


受付役と話していたギルドマスターがギルド内を見渡しながら言う。


「私と一緒にオーガ変種を討伐しに行く冒険者はいないかしら?」


そう言ったギルドマスターはステータスウィンドウを開いた。


オルト・グリーズリグ

性別:男

年齢:42

種族:妖精

level:84

HP:1452

MP:1856

STR:985

DEF:853

SPD:452

DEX:482

INT:842

WIS:621

LUK:249


class:賢者


classスキル

補助魔法の効果20%up。

被魔法ダメージの十分の一をMPとして吸収。

消費MP10%マイナス。


おかしな……今、ギルドマスターの種族が妖精だったような?


俺はもう一度確認し、ショックを受けた。


なんでだよ……なんで……妖精なのに某世紀末覇者にそっくりなんだよ!?


しかもclassが賢者……拳者の間違えじゃないの?


あきらかにINT、WISよりもSTR、DEFの方が高いし……。


ギルド内の半数以上が頭を抱えてるし……やっぱり認めたくないよね、某世紀末覇者にそっくりな妖精なんて……。


一部の冒険者は部屋の端っこで泣き始めたし……ついでにヴェインもその一人だ。


アルティナも放心してるし……。本当に何かの間違いであって欲しいよ。


「……レイオット、妖精ってみんなアレみたいな姿をしてるの?」


「……たぶん、アレだけだと思うよ……」


そうであってくれ、マジで……。


「アルティナ、とりあえずギルドから出ようか……」


「そうね……」


俺とアルティナはヴェインをギルド内に残して出て行く。

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