プロローグ 始まりはいつも突然に
俺は緋月 圭介二十歳で趣味はオンラインゲームだ。
現在俺がハマっているオンラインゲームがutopiaと呼ばれるゲームだ。
このゲームの時代背景は中世のヨーロッパに近い感じである。それに現実で起こるであろう事柄が再現されている。
例えば治安の悪い街ではただ歩いているだけでスリや窃盗にあったりするし、治安のいい街でもお店で強盗や、家を持っているプレイヤーであれば空き巣に入られたりもする。
さらにこのゲームには安全なエリアが存在していない……PKが街の中でも出来るし、NPCにも突然絡まれたりもする……ある意味で何でもありのゲームだ。
このゲームのプレイヤーは自分のキャラクターを作るときは注意しなければならないことがある。
1つ、選択した種族によってレベルアップに必要な経験値が違う。
2つ、選択した種族によって選べないクラスがある。
3つ、選択した種族によっては行けない場所が存在する。
4つ、選択出来るクラスは例外を除き基本的に一つだけ。
5つ、キャラクターの能力の上昇率はプレイヤーの行動次第で変化。
6つ、最初のクラスに変化するlevelは10である(修得条件を満たしたクラスに変化)。
7つ、クラススキル以外のスキルはプレイヤーの行動次第で獲得。
8つ、悪事を働くと賞金首になる。
9つ、二つ名や称号はプレイヤーの行動次第で自動的に決まる。
10、上位クラスへは修得条件を満たした場合に変化する。
大まかにはこんな感じである。
選べる種族は『人間』『ハーフ』『エルフ』『ハイ・エルフ』『獣人』『魔族』『魚人』『ドワーフ』『妖精』『亡者』『竜人』である。
なお妖怪は獣人のカテゴリーに含まれている。ダークエルフもまたエルフのカテゴリーに含まれている。
吸血鬼は亡者として扱われる。
ハーフとはそのままの意味で2種族の血が流れている者である。
メリットは選べるクラス幅の増加と耐性の強化。
デメリットは弱点の増加と組み合わせによりメリットが消えること。まあこんな感じだ。
俺が選んだ種族はハイ・エルフだ。このゲームの中で一番レベルが上がりにくい……なんと一番レベルが上がりやすい種族である人間の約五倍ほどの経験値が必要だ。
レベルが上がりにくい理由は2つのクラスを選べるのとレベルアップ時のステータスの上昇率が一番高いためだ。
だが一番人気がない種族である。理由はレベルが上がりにくいのだ1レベル上げている間に他の種族だと4,5レベぐらい上昇している。
また、このゲームのレベル上限は不明だ……理由は誰もレベル上限の限界を見たことがないのだ。
現在の最高レベルが人間の158レベルだ。
俺の友人もこのゲームをやっておりレベルは確か105だった気がする。ちなみに種族は竜人だ。
俺のレベルは92だ……かなり頑張った。
ステータスだけはレベル100以上の奴らと比較しても見劣らないほどだと自負している。
今現在もプレイしているところだ。
今日はアイテム集めだけして終わろうと思う。
アイテム集めを終えてセーブし電源を切り布団に入る。
「あ〜utopiaみたいな世界に行けたらな」
とぼやいてから俺は眠りについた。
「……その願い叶えてやる、言質はとったからな」
と言った声を意識を失う瞬間に聞いた。
そして眩しい光を感じて目が覚めるとそこは…………草原だった……。
「…………………………………………………はっ?」
予期せぬ事態に思考は混乱し呆然となる。
それから数分後――。
正気を取り戻した俺は自分の格好の変化に気づく。
耳が長くなっている……しかも着ている服装が明らかに違う。
しかも服装は俺がutopiaでプレイしているキャラクターが装備している物と同じだ。
これってまさかと思い試しにステータスウィンドウは見れるのかと思ったら本当に見れたよ……。
名前:レイオット
性別:男
種族:ハイ・エルフ
level:92
HP:1985
MP:3487
STR:628
DEF:723
SPD:648
DEX:542
INT:1856
WIS:2258
LUK:542
class:大魔導師 魔道具創造者
classスキル
攻撃魔法ダメージ15%up。
被攻撃魔法ダメージ15%DOWN。
高速MP回復。
待ち時間無しで魔法発動可能。
魔道具製造。
魔道具製造成功率30%up
道具使用時の効果20%up
道具作成成功率25%up
装備強化可能
とりあえずclassスキル意外は今はいいとして……。
どうやら異世界に来たらしい……マジでどうしよ………。と空を見上げ黄昏ていると――。
ガサッ!
音がした方に振り向くとそこには少女がいた。
髪は腰あたりまでの長さで色は肩まで銀色だがそれ以降から段々と焦げ茶色に変わっている。
瞳の色は赤で可愛らしい顔つきだが体は少し痩せている。
そんな少女が言う。
「……おじさんは誰?」
グサーーーーッッ!!
少女の言葉が俺の心に突き刺さった。
まだ二十歳なのにおじさん……この言葉の方が異世界に来たという事実よりショックだった。