義兄弟トーク
コメディーを意識して作りましたが……
暇潰しに読んでくれると嬉しいです
「義兄さん……結婚おめでとう」
「ありがとう、といっても来週だけどね結婚式」
「それにしても……」
「ん?」
「よくあんな姉と結婚しようと思いましたね」
「……なんてこと言うんだ」
「だって……あの姉ですよ、近所からは変人、実弟からは化け物扱いされてる」
「実弟って君だろう!?」
「まあ、そんな細かいことはいいじゃないですか」
「細かいって……」
「ところで当の姉はどこにいったんですか?」
「ああ、あいつなら……その……」
「どうしたんですか?」
「……ネッシー釣りにいくって言ってネス湖に向かった」
「……結婚一週間前ですよね」
「まあ、そうなんだけど」
「なんで止めなかったんですか!?」
「止められると思うかい?」
「無理ですね、一度言い出したら止まんないですよ、あの姉は……まあ結婚式当日には帰ってくると思いますけど」
「僕もそうんだと思う」
「それにしてもあのときは驚きましたよ」
「あのとき?」
「姉さんが彼氏だといって義兄さんを紹介したときですよ」
「そんなに驚いた?」
「驚いたどころじゃなかったですよ、だって姉に彼氏ですよ。姉と付き合える相手はサイヤ人か正義超人ぐらいかと思ってましたから、それに類する人を見つけたのかと」
「……君は一体、姉をなんだと思ってるんだい?」
「いやだって学生のときの体育で世界新記録叩き出すし、トラックと正面衝突してもけろりとしてるし、銀行で強盗を働こうとした武装集団を一人で鎮圧するし、素手で地震止めるし、北極熊を素手でしとめるし、本気出すと背中の筋肉が鬼の顔に見えるし、あとは――」
「ちょっと待って。後半に地上最強入ってる。いやそれ以前に全部冗談だよね……冗談って言ってよ!!」
「やだなー本気にしないでくださいよ。もちろん冗談です」
「な、なんだ。そりゃそうだよね。いくらあいつでも」
「まあ、やればできそうですけどね」
「……なぜだ。もはやファンタジーの域なのに完璧に否定できない……!!」
「とまあ、そんな姉の彼氏とはどんな人なのかと怯えいたら普通の人だったわけですよ」
「僕は普通だからね」
「心情的には蛇だと思ったらツチノコだったみたいな感じでした」
「……ツチノコ扱いされたのか僕は」
「落ち込まないでくださいよ。ただのたとえですよツチノ――義兄さん」
「今、僕のことツチノコって言いかけなかった?」
「気のせいですよツッチー義兄さん」
「何いきなりアダ名つけてんの!?絶対にツチノコからきてるよね!?」
「え、じゃあヘタレジミーと呼べと?これから義兄になる人をそんな風には呼べないんですよ」
「別にアダ名を変えろって訳じゃなく――ってヘタレジミー!?僕がヘタレで地味って言いたいのか!?君は僕をそんな風に思ってたっていたのかい!?」
「やだなー」
「だ、だよね、冗談だよね。いくらあいつの弟だとしともそんな酷いアダ名をつけないよね」
「自分より一回り年が離れた男の子に馬鹿にされたからってそんな嬉しそうにしないでくださいよ」
「してないよ!!僕はMじゃない!!」
「そうですね。Mじゃないですよね」
「……分かってくれたようだね」
「僕が間違っていました。謝ります。」
「いや、そんなに真剣にならなくていいよ。分かってくれたんなら……僕が――」
「はい、わかりました。義兄さんがドMってことが」
「そうそうは僕はドM――って違う!!分かってないどころか悪化してるじゃないか!!」
「だから嬉しそうな顔しないでください。気持ち悪いですよ。いくら一回り年が離れた男の子に変態扱いされたからって」
「だからしてないって!!……ていうかなんでさっきから一回り年が離れた男の子を強調してるの?」
「だって……義兄さんってショタコンの気があるんですよね?」
「ないよ!!誰に聞いたんだよそんなデマ!?」
「姉さんから義兄さんを紹介される前に聞きました」
「あ、あいつ……!!そして君は信じたんだね。じゃあアレかい!?君のなかでは僕はショタコンでドMってなっていたのかい!?」
「とんだ変態ですね」
「まったくね!!……はぁ……はぁ……」
「そんなに興奮しないでくださいよ」
「興奮なんかしてない!!……いや、してはいるけど変な意味じゃなくて……その」
「なんだかテンパりすぎて逆に怪しいですよ」
「だから違うんだって!!僕はそういう変態的要素は一つもない!!」
「でも姉と恋仲になってる時点で十分変態ですよ」
「…………」
「俺が言うのもなんですが否定してください」
「いや、それ言われちゃうとなにも言えなくなっちゃうかな」
「じゃあ、義兄さんはド変態ということで……」
「ちょっと待った。やっぱり変態は嫌だ」
「なら反論してください」
「そうだな……Mかどうかは勝手に周りが弄ってくるだけで別にいじめてほしいなんて言ってないし嬉しそうな顔も見る人によるだろうし。そもそも僕本人が違うって言ってるんだから違うんじゃないかな。それにもし……もしだよ。もし僕にMの素養があってもそれは無意識だと思う。そりゃ僕をいじめてくださいと懇願してたら変態扱いしてもいいしされてもしょうがないと思うよ。でも自覚がない、もしあったとしても否定してる人間に対して変態はないんじゃないかな」
「なるほど……ならショタコンについては?」
「それなら簡単だよ。君はショタって見た目でも年でもないでしょ」
「……確かに」
「よし、これで僕は潔白だね」
「なら、姉さんと結婚することは?」
「………………」
「あ、そうだ変態義兄さん。一つ言っておくことがありました」
「その呼び方はやめてよ!!確かになにも言えなかったけどその呼び方はあんまりじゃないかな!?」
「義兄さんならしないとおもうんですけど」
「無視された……」
「浮気とかしないでくださいね」
「僕が?するわけないじゃないか」
「もししたら去勢してやるって姉さんが言ってましたよ」
「するわけない!!絶対にしない!!神に誓うよ!!」
「もし、浮気して姉さんにバレたら真っ先に俺に知らせてくださいね」
「なに、助けてくれるの?」
「いいえ、去勢なんて生ぬるい。さらなる苦痛や洗脳、調教をほどこして二度とそんな不埒な真似できないようにしますんで――どうしたんですか?そんな青い顔して……大丈夫ですよ浮気とかしなければいい話なんで」
「顔が恐いよ……それにしても前から思ってたんだけど……」
「なんですか?」
「けっこう君もあいつのこと好きだよね」
「…………まあ、普通ですよ」
「そんな照れなくていいよ」
「照れてないですよ」
「またまたー実はシスコンな癖にー」
「……それ以上しゃべると姉さんに義兄さんから性的悪戯されたっていいますよ」
「ごめん!!悪かった!!多分あいつ信じちゃうからホントに言わないで!!」
「冗談ですよ」
「あ、焦らせないでよー」
「あ、あともう一つだけ言うことがありました」
「なに?さっきみたい感じじゃないよね」
「違いますよ……これから話すことは姉さんには言わないでください」
「わかったよ」
「義兄さんには本当に感謝してるんですよ」
「いきなりどうしたんだい?」
「まあ、聞いてくださいよ」
「あ、ああ」
「昔の姉さんは無茶苦茶でした。思い付いたことは即行動。楽しそう、面白そう、興味があることなどを身の危険を度外視してなんでもやってました。自傷行為に近い感じでした」
「そうなんだっだんだ」
「多分、日常生活がつまんなくて仕方なかったからでしょう。満足できなかったんでしょうね」
「…………」
「でも義兄さんと出会ってからは変わりました。満たされてると見て分かります。義兄さんと話してるとずっと笑ってるんですよ。義兄さんの話しになると幸せそうなんですよ。まあ、今でもたまに暴走しますけど……それでも前よりか全然マシです」
「…………」
「だから、義兄さんには感謝してるんです。姉さんと出会ってくれて……ありがとうございます。姉をよろしくお願いします」
「もちろん、これからもあいつと楽しく生きていくよ……君ともね」
「……え?」
「君は僕の義弟だろ」
「……そうですね、俺たちは義兄弟ですから……これからもよろしくお願いします」
読了ありがとうございます。
こんな駄文に付き合ってくれてとても嬉しいです