暴言しか吐けないツンデレ悪役令嬢 〜鉄壁秘書の『超翻訳』で王子に溺愛される〜
新作です。
第一章:落とし物は『恋のハンカチ』ですか? いいえ、果たし状です。
「モニカ! 緊急作戦会議よ! 今すぐお茶とお菓子と、あと私の傷ついた心を癒やすための最高級クッションを持ってきなさい!」
放課後の生徒会室。
私、アリッサ・フューメル公爵令嬢は、真紅のドレスを翻して叫んだ。
バンッ、と机を叩く私の目には悔し涙が滲んでいる。
音もなく背後に現れたのは、私の専属侍女兼、秘書のモニカだ。
薄い茶髪を後ろで結び、分厚い眼鏡をかけた地味な少女。表情筋が死滅しているのかと思うほど無表情だが、仕事ぶりは天才である。
「お茶なら既に淹れてございます。お嬢様、本日は心を鎮めるカモミールティーと糖分補給のためのザッハトルテです」
「流石ね……。褒めて遣わすわ」
私はドサッとソファに沈み込み、フォークを手に取り、優雅に(内心はガツガツと)ケーキを口に運ぶ。
思い出すのは、先ほどの昼休みの屈辱だ。
我が国の第一王子、クローゼ殿下。
プラチナブロンドの髪に宝石のような碧眼。
歩く芸術品。私の最愛の人。
そして、今日こそ彼に「好きです」と伝えるはずだった。
なのに!
『――あ、あの、クローゼ殿下! これ、受け取ってくださいっ!』
私が渡したのは、三日三晩寝ずに刺繍した手作りのお守り。
だが、緊張のあまり私の口から出た言葉は、
「この私が貴方のために時間を割いて作ってあげたのよ! ゴミ箱に捨てるのが忍びないから、特別に貴方に処理させてあげるわ! 感謝なさい!」
なんで!?
どうして私の口は脳内指令を勝手に『悪役言語』に翻訳して出力するの!?
殿下はきょとんとした後、苦笑いを浮かべて『ゴミを渡されても困るのだが……』と去っていった。
私の心は粉砕骨折した。
「ううう……どうしてなの、モニカ! 心の中では『大好きです! 一生大切にします!』って叫んでいるのに、口を開くと『跪け愚民』みたいなことしか言えないのよ!」
「それは、お嬢様がいわゆる『ツンデレ』、いえ、この場合は『ツン』9割の『罵倒デレ』1割という特殊性癖、もはや呪いをお持ちだからかと」
「呪いなの!? それにデレてないじゃない! ただの嫌な女よ!」
私は頭を抱えた。
このままでは卒業パーティーで婚約破棄され、国外追放される未来しか見えない。
それだけは嫌だ。
私は殿下と結婚して、毎朝「おはよう」のキスをして、老後は庭で猫と日向ぼっこする平和な人生を送りたいのだ。
「モニカ、知恵を貸しなさい。貴方、私の秘書でしょう? 私の願いを叶えるのが仕事よね?」
「はい。お嬢様の幸福の最大化が、私の業務におけるKPI(重要業績評価指標)ですので」
モニカは眼鏡をクイッと押し上げ、懐から手帳を取り出した。
「現状分析を行います。お嬢様の殿下に対する好感度はMAXですが、伝達率はゼロ。いえ、むしろマイナスを振り切り、殿下はお嬢様のことを『いつも怒っている騒がしい公爵令嬢』と認識されています」
「うっ……的確すぎて吐血しそう」
「従って、まずは『お嬢様は実は可愛いところがある』という、ギャップ萌えを演出する必要があります」
モニカはペンを走らせ、一枚の紙を私に見せる。
そこには『作戦名:王道・ハンカチ落とし』と書かれていた。
「ハンカチ落とし……?」
「はい。古典的ですが効果は絶大です。殿下の前でわざとハンカチを落とす。殿下が拾う。お嬢様がお礼を言う。指と指が触れ合う。ズキュン! これです」
「本当にこれなの……?」
しかし悪くない。
会話が成立しなくても、物を介したコミュニケーションなら、私の暴走する口も封じられるはずだ。
「採用よ! 今すぐ実行するわ! 殿下は今どこにいるの?」
「GPS……いえ、私の独自情報網によりますと、あと5分後に図書室から出て中庭を通過されます」
「なら、行くわよ、モニカ! 最高にエレガントで、可憐なハンカチを用意しなさい!」
私は立ち上がり、さらに机の上にあった真っ赤なメッセージカードをペンでサラサラと書き殴った。
「モニカ、これもハンカチに挟んでおくわ!」
「拝見します……『覚悟なさい。今日こそ逃がさないわよ。貴方のすべてを奪って差し上げるわ』……あの、お嬢様?」
「完璧でしょ!? 『私の愛を受け止める覚悟をしてね』って、意味よ!」
「いえ、どう見ても果たし状、もしくは殺害予告ですが?」
「うるさいわね! これくらい強い言葉じゃないと、私の情熱は伝わらないのよ! これもセットで落としてみせるわ!」
◇
5分後。王立学園の中庭。
私とモニカは茂みの陰に潜んでいた。
手には、モニカが用意した純白のシルクのハンカチ。角にはフューメル家の紋章と、私のイニシャルが金糸で刺繍されている。
完璧だ。
「お嬢様、ターゲット確認。3時の方向より接近中」
「了解よ」
遠くから、クローゼ殿下が歩いてくるのが見える。
夕日を浴びて輝く髪。長い脚。読書中なのか、小脇に本を抱えている姿も知的で素敵! 好き! 結婚して! いけない、心の声が漏れそうになった。
私は深呼吸をし、タイミングを見計らって通路へと飛び出す。
自然に。そう、あくまで自然に歩き、すれ違いざまにハンカチを落とす。
(今よ!)
私は持っていたハンカチを、ふわりと手放した。
計算通り、ハンカチは殿下の足元へ……ヒュオオオオオッ!
その時だ。一陣の突風が吹きやがった。
なんという間の悪さ!
ひらひらと舞い上がったハンカチは、あろうことか殿下の顔面に張り付いた。
「むぐっ!?」
「あっ!?」
殿下が驚いて立ち止まり、顔からハンカチを引き剥がす。
最悪だ。
優雅に拾ってもらうはずが、顔面攻撃になってしまった。
さらに悪いことに、挟んでいた真っ赤なメッセージカードがひらりと落ち、殿下の手に収まる。
殿下は手にしたカードを読み始めた。
『覚悟なさい。今日こそ逃がさないわよ。貴方のすべてを奪って差し上げるわ』
殿下の顔色がサッと変わる。
そして、その視線が私を捉えた。
「……アリッサ嬢?」
名前を呼ばれただけで心臓が破裂しそうだ。
誤解だ。
それは愛の言葉だ。
謝らなきゃ、ごめんなさい! それはラブレターなんです! 大好きなんです!
そう言えばいいだけなのに、あまりの恥ずかしさとパニックで、私はビシッと殿下を指差し、口からとんでもない言葉を吐き出す。
「受け取りなさい、クローゼ殿下! それは私からの『果たし状』ですわ!」
死にたい!
今すぐ舌を噛み切って死にたい!
なんで『ラブレター』が『果たし状』になるの!?
いや、「確かにこれくらい強い言葉じゃないと」って言ったのは私だし、モニカの進言を断ったのも私だけど!
殿下の眉がピクリと動く。
「果たし状……? 『全てを奪う』というのは、僕の命を狙っているということか?」
「ち、違いますわ! 命じゃなくて、心臓を射止めたいというか……!」
「やはり、暗殺予告ではないか」
殿下が警戒して一歩下がる。
さらにパニックだ。
もう収拾がつかない。
殿下は後退りしながらも、私から目を離さない。
涙目になる私と、身構える殿下。
その時、スゥ〜と影のようにモニカが私の前に進み出た。
「失礼いたします、クローゼ殿下」
能面のような無表情で、モニカが完璧なカーテシーをする。
「我が主、アリッサお嬢様は極度の動転により、言語野に深刻なバグが生じております。先ほどの発言を翻訳いたしますと、『風のいたずらで驚かせてしまい申し訳ありません。そのカードは果たし状ではなく、殿下への情熱的な愛のポエムです。つまり貴方の心を奪いたい』と、こういう意味となります」
「ん……?」
殿下が目を丸くした。
私も目を丸くした。
ポエム言うな! いや、合ってるけどさ!
「何を馬鹿なことを! モニカ、余計なことを言わないで!」
「お嬢様、顔が赤いです。照れ隠しの宣戦布告は、ただのテロ行為ですので自重してください」
モニカは淡々と言い放ち、殿下に向き直った。
「殿下、お詫びと言ってはなんですが、そのハンカチは差し上げます。最高級のシルクですので、決闘の際の止血にでも使ってください」
「止血……?」
「はい。では、これにて失礼いたします」
モニカは私の腕を掴むと、流れるような動作でその場から撤収した。
私は引きずられながら殿下を振り返る。
殿下は、手の中のハンカチと『果たし状』を交互に見比べていた。
「ふっ……」
笑った?
今、小さくだけど笑ってたよね!?
「翻訳付きの果たし状か。面白いな」
そんな呟きが聞こえた気がして、私の顔は夕日よりも赤く染まった。
◇
「モニカァァァ! なんてことしてくれたのよ!?」
「作戦成功です、お嬢様」
「どこがよ! 命を狙うテロリストだと思われたじゃない!」
「いいえ。『印象に残る』という第一段階はクリアしました。それに私物を受け取らせることにも成功しました」
モニカは眼鏡の奥で、キラリと光る瞳を細めた。
「これで殿下はハンカチを見るたびに、貴女の『熱烈な殺意(愛)』を思い出します。さあ、次は誤解を解くための『お詫びの茶会』への招待状を送りつけましょう。もちろん文面は私が校正しますのでご安心を」
淡々と次の一手を提示する私の有能すぎる秘書。
私は彼女に縋り付くしかない。
待っててね、クローゼ殿下。
私の恋の戦略は、まだ始まったばかりよ!
第二章:手作りクッキーは『毒』か『愛』か
学園の裏手にある、白亜のガゼボ(洋風東屋)。
そこは本来、王族や高位貴族のみが使用を許される聖域であり、予約は三ヶ月待ちが当たり前だ。
だが今日、そこには私とモニカ、そして完璧にセッティングされたティーセットがあった。
「ねえ、モニカ。本当に殿下はいらっしゃるの? あと、ここをどうやって予約したの?」
「もちろん殿下は来られます。私の『偽情報流布スキル』により、他の予約者の時間をずらしましたので、現在は貸切状態です」
「さらっと怖いこと言わないで……」
私は震える手で、テーブルの上のクッキー皿を直した。
今日のメインウェポン。それは私が昨夜、厨房を小麦粉まみれにしながら焼き上げた『愛の手作りクッキー』だ。形は少々不格好だが、味は保証付き。
何せ、毒味役の執事が涙を流して食べてたから間違いない。
「いいですか、お嬢様。本日のKPIは『手作りクッキーを殿下の口に入れ、美味しいと言わせること』です。余計な会話は不要。クッキーを勧め、微笑む。これだけです」
「わ、分かってるわよ! 微笑むくらいできるわ!」
私は頬を引きつらせてニヤリと笑う。
「……般若の面のような笑顔ですね。まあ、ないよりはマシでしょう」
「失礼ね!」
その時、足音が聞こえた。
現れたのは護衛を下がらせ、一人でやってきたクローゼ殿下。
午後の日差しを背負ったその姿は、神々しいまでに美しい。
「アリッサ嬢、招待に感謝する。君から手紙をもらうなんて珍しいが」
殿下が爽やかに微笑む。
その笑顔の破壊力に、私の思考回路は一瞬でショートした。
『微笑む』というタスクが飛び、『威嚇』という防衛本能が作動する。
「勘違いしないでくださいまし! 別に貴方とお茶がしたかったわけではありませんのよ!」
出た、テンプレ通りのツンデレ(ツンのみ)。
「ただ、昨日の果たし状の件で、貴方がまだ命を狙われていると怯えているんじゃないかと不快でしたの! だから、この最高級の紅茶で口止めして差し上げようと思っただけですわ!」
殿下の笑顔が引きつる。
あああっ、違うの!
私は、「お詫びに美味しい紅茶を用意したので、仲良くしてください」って、言いたいの!
すかさず、ポットを持ったモニカが一歩前に出る。
「失礼します。翻訳いたします。お嬢様は『昨日の無礼を深く反省し、夜も眠れませんでした。このお茶会で少しでも殿下にリラックスしていただき、改めて感謝の気持ちを伝えたい』と仰っております」
「……ん? 今の罵倒が、そうなるのか?」
殿下が目をぱちくりさせる。
モニカは表情一つ変えずに紅茶をカップに注ぐ。
「はい。お嬢様は照れ屋ですので、好意が強ければ強いほど、言葉が攻撃的になる『反転術式』のような呪いにかかっておられます。どうぞ脳内で変換してお聞きください」
「なるほど……呪いか。それは大変だな」
殿下は妙に納得し、席についた。
なんか可哀想な子を見る目で見られている気がするけど、嫌われるよりはマシだ。
とりあえず第一関門突破。
次はいよいよ本番、クッキーだ。
私は皿を手に取り、震える手で殿下に差し出す。
(さあ、言うのよ、アリッサ! 『頑張って焼いたので食べてください』!)
「食らいなさい!」
なんで!?
なんで、戦闘開始の合図なの!?
「え……?」
「この中には、食べた瞬間、貴方の息の根を止める最終兵器……じゃなくて! 三途の川を渡らせるための引導……違う、えっと、地獄への片道切符的な……!?」
言葉を選べば選ぶほど『暗殺道具』の方向へ転がっていく。
殿下の顔から血の気が引いていくのが分かる。
「……アリッサ嬢? やはり昨日の果たし状は本気だったのか? 私を毒殺する気か?」
「ち、違いますの! 死んでほしいんじゃなくて、死ぬほど好きで……ああっ、もう! 黙って食べればいいじゃない!」
パニックになった私は、あろうことかクッキーを鷲掴みにし、殿下の口元へ強引に押し付けようと手を伸ばした。
完全に暗殺者ムーブである。
ガシッ。私の手首がモニカに掴まれた。
「お嬢様、物理攻撃は禁止です」
モニカは私の手から優しくクッキーを回収すると、ナプキンの上に乗せ、恭しく殿下の前に置いた。
「殿下、補足説明いたします。お嬢様は『私の愛が詰まりすぎていて、胸焼けするほど甘いかもしれませんが、一生懸命焼いたので食べていただけると死ぬほど嬉しいです』と、仰っています」
「……今の『地獄への片道切符』発言がか?」
「はい。『天にも昇るような美味しさ』のメタファーですね。文学的表現です」
「……そ、そうか。文学なら仕方ないな」
殿下は苦笑しながら、クッキーを手に取った。
そしてサクッと一口。
「…………」
沈黙。
私の心臓が早鐘を打つ。
まずい? 焦げてる? それとも本当に毒だった?
「……美味い」
殿下が目を見開いた。
「驚いたな。見た目は無骨だが、味は王宮の菓子職人にも引けを取らない。甘さ控えめでスパイスの香りが絶妙だ」
「ほ、本当ですの!?」
嬉しさのあまり、ようやく素の声が出た。
殿下は私を見て、ふわりと優しく微笑んでいる。
「ああ。君は意外と家庭的なんだな、アリッサ嬢」
「~~~~ッ!!」
褒められた。
あのクローゼ殿下に家庭的と言われた!
頭が沸騰しそうだ。嬉しすぎて、また口が暴走しそうになる。
『当たり前よ! 貴方のために練習したんだから!』
そう言おうとした時。
「あら、クローゼ様じゃありませんこと?」
鈴を転がすような、甘ったるい声がガゼボに響いた。
重複
重複
空気が凍りつく。
私と殿下が同時に振り返ると、そこにはピンクブロンドのふわふわした髪を揺らす、小柄な美少女が立っていた。
男爵令嬢、リナ・ベルジュ。
最近、学園で『守ってあげたくなる系女子』として、男子生徒の視線を独占している噂の編入生だ。
そして何より、殿下に馴れ馴れしく近付く私の天敵だ。
「こんなところで奇遇ですね。私、迷子になっちゃって……あ、もしかして、そちらの怖そうな方とお茶会ですか?」
リナは私を見て、わざとらしく怯えたように身を縮めた。
「ひっ……ごめんなさい。睨まないでくださいぃ……私、何もしてないですぅ……」
は? 睨んでないわ! 地顔よ!
殿下が困ったように眉を下げる。
「リナ嬢、彼女は僕の連れだ。失礼なことは言わないように」
「でもその人、悪役令嬢って噂のアリッサ様ですよね? クローゼ様がいじめられてるんじゃないかって心配で……」
リナは上目遣いで殿下の腕にぴたりとくっついた。
なっ、ななな何触ってんのよ、あの女!
そこは私の(未来の)指定席よ!
私の頭の中で何かが切れる音がした。
戦闘態勢。
迎撃準備完了。
「ちょっと貴女! 気安く殿下に触るんじゃないわよ! 身のほどを知りなさい!」
「きゃあ! やっぱり怖ぁい!」
リナが殿下の背中に隠れる。
完全に私がいじめっ子の構図だ。
まずい。これでは殿下の好感度が下がる。
私は助けを求めて、モニカに目で訴える。
『モニカ、翻訳して! 今の私の怒りを、なんかいい感じにオブラートに包んで!』
モニカは眼鏡の奥の瞳を鋭く光らせ、懐から分厚い手帳を取り出していた。
「ターゲット確認。リナ・ベルジュ。彼女の出現はイレギュラーですが、排除対象として認識しました」
モニカの声が今までになく低い。
え、モニカさん? なんでペン先を出してるの?
それは武器じゃないわよね?
「お嬢様、ご安心を。この程度の『害虫』、私の事務処理能力で速やかに駆除(退場)させます」
モニカは無表情のまま、スッとリナの前に立ちはだかった。
「失礼いたします、リナ男爵令嬢。フューメル公爵家秘書のモニカと申します」
「な、何よ、侍女風情が……」
「警告いたします。現在、このガゼボは我が公爵家が学園への正規申請を経て『貸切』としております。貴女の行為は、明確な『不法侵入』及び『重要行事への業務妨害』に当たります」
モニカは手帳を広げ、淡々と読み上げる。
「さらに学則第8条。『王族への許可なき身体接触の禁止』。先ほど貴女は殿下の腕に触れましたが、殿下の許可は得ておりましたか? もし得ていない場合、これは『不敬罪』として即座に憲兵へ通報する案件となりますが?」
「へっ……? ふ、不敬罪!?」
「はい。証拠として今の接触時間は4秒。目撃者は私とお嬢様。状況証拠は揃っております。……今すぐ憲兵を呼びますか? それとも、この場から即時退去し、二度と我々の視界に入らないよう善処しますか?」
モニカの眼鏡がキラリと光った。
それは完全に獲物を追い詰める捕食者の目だ。
「ひいっ……! お、覚えてなさい! アリッサ様なんか、いつか吠え面かかせてやるんだからぁ!」
リナは涙目になり、捨て台詞を吐いて脱兎のごとく逃げ出した。
速い。迷子設定はどこへ行ったのやら。
静寂が戻るガゼボ。
モニカは涼しい顔で、私の元へ戻ってきた。
「害虫駆除完了いたしました。残りのティータイムをお楽しみください」
「あ、ありがとう、モニカ」
私が呆気にとられていると、クローゼ殿下が静かに口を開く。
「ふっ、君の秘書は優秀だな。あそこまで理詰めで追い詰めるとは」
「も、もちろんですわ! 私の教育の賜物ですもの!」
私は胸を張った。
本当はモニカが勝手にやったことだけど、結果オーライだ。
これで邪魔者は消えた。
「クッキー……もう一枚、いかがです……?」
私が恐る恐る尋ねると、殿下は優しく微笑んで手を伸ばしてくれた。
こうして、波乱のお茶会はなんとか(モニカのおかげで)平和に幕を閉じたのだった。
しかし、この時の私は知らなかった。
逃げ出したリナが、さらなる『罠』を仕掛けてくることを。
第三章:舞踏会の罠は秒で論破させていただきます。
学園の『星降る舞踏会』。
それは恋人たちが愛を語らい、未来のパートナーを見定めるための重要なイベント。
煌めくシャンデリア。
生演奏のワルツ。
その華やかな会場の片隅で、私は仁王立ちしていた。
「目障りね……」
私が睨みつける先(内心では涙目で見つめる先)には、クローゼ殿下がいる。
そして、その腕にはピンク色のドレスを着た男爵令嬢、リナが張り付いていた。
「なんなの、あの女! 殿下の腕は手すりじゃないのよ!? あんなに体重かけたら殿下の体幹バランスが崩れて腰痛の原因になるじゃない!」
「お嬢様、嫉妬の方向性が整体師になっています」
背後に控えるモニカが、手帳を見ながら冷静にツッコんだ。
彼女は今日、いつものメイド服ではなく、私のドレスに合わせて、濃紺のパンツスーツを着こなしている。どう見ても『できる女秘書』だが、眼鏡の奥の目は笑っていない。
「リナ・ベルジュ。ここ数日、学園内で『アリッサ様にいじめられている』という噂を流しています。被害者ムーブによる同情票の獲得。古典的ですが、大衆扇動には効果的です」
「ムカつくわ! 私、まだ何もしてないのに! これから『靴紐をこっそり固結びにする刑』に処そうと思ってたのに!」
「お嬢様のいじめのレパートリーが地味すぎて涙が出ます」
その時だった。
ダンスが終わり、殿下がリナを伴ってドリンクコーナーへ向かおうとした。
チャンスだ。
私は扇子をパチンッと閉じる。
「行くわよ、モニカ! 偶然を装って殿下に接触し、『あら、殿下。ダンスのお相手がいなくて寂しそうですわね。仕方がないから私が踊ってあげてもよろしくてよ!』と言うのよ!」
「翻訳:『お願いだから私と踊ってください、一生のお願いです』ですね。承知しました」
私は優雅に(早足で)殿下たちの動線へと割り込んだ。
だが、リナの方が一枚上手だった。
「きゃっ!」
私とすれ違う瞬間、リナが何もないところで躓いたのだ。
さらに手にしていた赤ワインのグラスを、自らドレスにかけた。
「あっ!?」「わっ!?」
鮮やかなピンクのドレスが赤黒いシミに染まる。
リナはその場にへたり込み、震える指で私を指さした。
「ひ、ひどい……! アリッサ様、いくらクローゼ様と踊りたかったからって、突き飛ばしてワインをかけるなんて……!」
会場中の視線が私に突き刺さる。
ざわめきが波紋のように広がる。「また公爵令嬢か」「ひどいな」「嫉妬に狂ったか」。
違う! 私は指一本触れてない!
弁明しなきゃ。
私は慌ててリナを見下ろした。
「何を言ってるの!? 私は何も……っていうか、貴女、大丈夫なの!? そんなに濡れて風邪引くわ!」
心配、私の本心は100%心配だった。
だが、口から出た言葉は違う。
「まあ、前衛的なドレスですこと! まるで血の池に落ちた亡者みたいですわよ! 寒気がするほど不愉快ですから、どこかへ消えてくださる!?」
(翻訳:まあ、大変! そんなに濡れて寒いわよね!? 風邪を引くと大変だから、早く着替えに行って!)
終わった……。
完全に『やり終えた犯人』のセリフだ。
リナが「う、うぅ……」と嘘泣きを強める。
クローゼ殿下が厳しい表情で私を見ていた。
その瞳には、失望の色が見える。
「君がそこまで攻撃的な人だとは思わなかったな。謝るんだ」
「ち、違いますの、殿下! 私はただ、リナ様を……!」
「嘘です! 証拠ならあります!」
リナが叫んだ。
「私、アリッサ様に背中を押されたんです! ここにいる皆さんが証人です!」
周囲の生徒たちまでも、「ああ、俺も見たわ」「押したように見えたな」と、同調圧力に流され、適当なことを言い始めた。
孤立無援。
私が唇を噛み締め、悔し涙を堪えたその時。
カツン、カツン、カツン。
硬質なヒールの音が響き、私の前に人影が立つ。
濃紺のスーツに身を包んだ、鉄壁の秘書、モニカだ。
「異議あり。その証言には物理的かつ論理的な矛盾がございます」
モニカの声は会場のざわめきを、一瞬で凍らせるほど冷徹でよく通った。
「ま、また貴女。ただの侍女のくせに……」
「訂正してください。私は侍女である以前に、アリッサお嬢様の『危機管理担当』です」
モニカは懐から、一枚の図面を取り出した。
「こちらは先ほどの接触事故の瞬間を、私が脳内シミュレーション、及び会場の魔導照明の反射角から解析した弾道計算図です。リナ様、貴女は『背中を押された』と証言しましたね? しかし貴女が転倒したのは『前方』ではなく、『左斜め後方』です。背中を押され、その向きに倒れるなら、道化の転び芸でもない限り説明がつきません。貴女は曲芸師ですか?」
「な、何の話……?」
モニカは、リナの問いを無視し、淡々と続ける。
「次にワインの飛散状況。ドレスのシミは中心から放射状に広がっています。これはグラスを『落とした』のではなく、胸元で『自分から傾けた』場合にのみ発生するパターンです。物理法則は嘘をつきません」
モニカは眼鏡をクイッと押し上げ、一歩踏み出す。
「さらに決定的な証拠を提示します」
彼女は指をパチンと鳴らすと、天井の梁の上から、数匹の『使い魔』が降りてきた。
「ひいっ!?」
「当家が独自に配備している、会場警備用の使い魔『マウス・カメラ』です。先ほどの映像、及び音声を記録しております」
モニカが水晶玉を取り出すと、映像が投影された。
映し出されたのは、私とすれ違う直前に、リナがわざと自分の足を絡ませ、ニヤリと笑いながらグラスを傾ける姿だった。
さらにリナの小さな独り言まで聞こえる。
『これで悪役令嬢も終わりね……』
会場が静まり返った。
「こ、これは捏造よ! そう、幻覚魔法だわ!」
「当家の記録媒体は王立魔導研究所の改ざん防止認証済みです。法的効力もございますが、憲兵を呼びますか? それとも『過失による器物損壊』及び『名誉毀損』で示談になさいますか?」
モニカが懐から『示談書』とペンを取り出す。
「い、いやぁぁぁ!」
リナは耐えきれなくなり、泣き叫びながら会場から走り去っていった。
完全勝利。
いや、オーバーキルだ。
モニカは涼しい顔で水晶玉をしまい、私に向かって一礼した。
「トラブルシューティング完了いたしました、お嬢様」
「……モニカ。貴女、いつからあんなネズミを?」
「お嬢様が会場入りした時からです。リスクヘッジは秘書の嗜みですので」
なんて恐ろしい子だろう。
私が呆然としていると、クローゼ殿下が近付いてきた。
気まずい沈黙が流れる。
殿下は逃げ出したリナではなく、私をじっと見つめている。
「……すまない、アリッサ嬢。私は君を誤解していたようだ」
殿下が頭を下げた。王族が、公の場で。
私はパニックになった。
「あ、頭を上げてくださいまし! 殿下が謝るなんて! 私は気にしてませんわ! あんな小娘の浅知恵なんて蚊に刺された程度のことですもの!」
また可愛げのないことを。
「信じてもらえて嬉しいです」って言いたいのに。
しかし、殿下はふっと表情を緩めた。
「君は強いな」
「え?」
「濡れたリナ嬢を見て、最初に『風邪を引く』と言っただろう? 自分が謂れのない非難を受けている中、相手の体調を気遣える。そう、できることではない。君の言葉はいつも棘があるが……その奥には不器用な優しさがあるのかもしれない」
ドクンと、心臓が跳ねた。
本当の胸の奥が伝わった?
私が顔を真っ赤にして言葉に詰まっていると、横からモニカが小声で囁く。
「お嬢様、チャンスです。今こそ『デレ』のターンです。『分かってくださって嬉しいです』と言うのです」
「分かってるわ。今度こそ言うわよ」
私は深呼吸をして、殿下を見上げた。
「当たり前ですわ! 私は未来の国母となる女! 愚民の健康管理も義務の一つですのよ! 別に貴方に褒められたくてやったわけではありませんからね!」
だめだったァァァァ!
結局、いつものツンデレ(強め)だ。
私は自己嫌悪で泣きそうになったが、殿下はなぜか嬉しそうに笑った。
「そうか。やはり君は面白いな。お詫びと言ってはなんだが……一曲、踊ってくれるか? 未来の国母殿」
「~~~~ッ!?」
赤く染まった頬のまま、私はその手を重ねた。
だが、震える手で精一杯の悪態をついてしまう。
「し、仕方ありませんわね! 貴方のステップが下手で私が恥をかかないよう、指導して差し上げますわ!」
(翻訳:夢みたい! 死んでもいい! 大好き!)
私の心の声は、きっとモニカにだけ届いていただろう。
背後で秘書が、「KPI達成率80%」と小さく呟き、手帳にチェックを入れる気配がした。
第四章:その言葉に翻訳機は要りません
学園の裏山にそびえ立つ『星見の塔』。
そこは、王家の者が国の大事を決める際に、星を読む場所であり、同時に『ここで愛を誓った二人は永遠に結ばれる』という伝説を持つ聖地である。
その場所に、私は呼び出されていた。
夜風が吹き抜ける塔の最上階。
満天の星空の下、私は震えていた。
「どうしよう……これって、やっぱり処刑宣告? 『お前のような性悪女は塔から突き落とす』っていう断罪イベントなの!?」
「いいえ、お嬢様。これは俗に言う『告白イベント』です。生存率100%、成婚率は当社の試算で98%です」
物陰に潜むモニカが、淡々と答えた。
「告白!? 殿下が私に!? ありえないわ! だって、私は舞踏会で『指導して差し上げる』とか偉そうなこと言っちゃったのよ!?」
「殿下はドM……いえ、懐の深い方ですので、お嬢様の暴言も『スパイス』として楽しまれているようです。自信をお持ちください」
そんな馬鹿な。
しかし約束の時間は刻一刻と迫っていた。
ギィ……と重い扉が開き、クローゼ殿下が現れる。
夜会服をラフに着崩し、月光を浴びたその姿は、心臓が止まるほど格好良い。
「待たせてすまないな、アリッサ嬢」
「べ、別に待ってませんわ! 私がここに来たのは、あくまで夜風に当たりたかっただけで……貴方に会いたかったわけではないわ!」
私の口は、今日も絶好調にひねくれている。
いつもの私なら、ここでモニカを見て、「翻訳して!」と目で訴えるところだが、今日のモニカは動かなかった。
ただ暗闇の中で、静かに首を横に振っている。
『ここから先は、ご自分で』。そんなモニカの無言のメッセージが聞こえた気がする。
「相変わらずだな」
殿下は苦笑しながら、私の隣に立った。
手すりにもたれかかり、広がる王都の夜景を見下ろす。
「今日は君に伝えたいことがあって来てもらったんだ」
「伝えたいこと……?(まさか、『やっぱり君の性格にはついていけない』とか!?)」
「私は、君のことが好きだ」
「え……?」
世界が止まった気がした。
今、好きと……?
「最初はずいぶん喧しい令嬢だと思っていた。いつも怒っては、何かにつけて突っかかってくる」
「うっ……(反論できない)」
「でも、君の秘書……モニカだったか。彼女の『翻訳』を聞いて、君の行動をよく見るようになってから気付いたんだ」
殿下は私の方を向き、真剣な瞳で見つめてきた。
「君は誰よりも不器用で、誰よりも一生懸命だ。ハンカチを落とすのも、クッキーを焼くのも、濡れたライバルを心配するのも、いつも全力だった」
殿下の手が、私の震える手をそっと包み込んだ。
なんて温かいんだろう。
「その裏表のない……いや、表は激しすぎるが、君のことが私は愛おしいと思うようになった。……アリッサ、私の妃になってくれないか?」
……プロポーズ。
正真正銘、王道ど真ん中の求婚。
嬉しくて、嬉しくて、涙が出そうになる。
「はい、喜んで!」と言いたい。
今すぐ抱きつきたい!
でも、私の喉の奥で、長年染み付いた『悪役令嬢の呪い』が猛反発する。
『素直になるなんて恥ずかしい!』
『私のキャラじゃない!』
『もっと高飛車に!』
口を開きかけたその瞬間、いつもの暴言が出そうになる。
『勘違いしないでよね! 貴方がどうしてもって言うなら考えてあげなくもないけど!』
ダメだ。今日だけは。この瞬間だけは、
そんな言葉で誤魔化してはいけない。
モニカも助けてくれない。翻訳を通した言葉では、私の本当の気持ちは届かない。
私は唇を強く噛んだ。
血が滲むほどに。
暴れまわる『ツン』の感情をねじ伏せ、心の奥底にある、小さな『デレ』の欠片をかき集める。
「……っ……わ……」
「アリッサ?」
殿下が心配そうに顔を覗き込む。
頑張れ、私。言うのよ。たった一言でいい。
「私……も……」
声が震える。顔が熱い。全身から冷や汗が出る。
「わ、私も……殿下のことが、す……す……」
言えない!
どうしても「好き」の二文字が喉につっかえてしまう! 限界だ。もう無理!
もう、こうなったらと、私は破れかぶれになって叫ぶ。
「好きに決まってるでしょうがぁぁぁッ!!」
あ、叫んじゃった。
しかも、すごいキレ気味に。
「貴方の顔も、声も、ちょっと意地悪なところも、全部全部、大好きなのよ! 悔しいけど愛してるのよ! だから他の女になんて渡さないわ! 貴方は一生、私のものになりなさいよ! バカッ!」
ハァ、ハァ、ハァ……言い切った。
最後はやっぱり命令形だったけど、言いたいことは全部言った。
私は真っ赤な顔でうつむき、返事を待った。
引かれたかな?
やっぱり怖かったかな?
沈黙の後。
ふわり、と温かいものに包まれた。
気付けば、殿下が私を抱きしめていた。
「ああ、謹んで君のものになろう」
「えっ?」
「君の『バカ』という言葉が、こんなに甘く聞こえるなんて思わなかった。……ありがとう、アリッサ。勇気を出してくれて」
耳元で囁かれる優しい声。
私はこらえきれずに、殿下の胸に顔を埋めて泣きじゃくった。
「ううぅ……大好きぃ……」
「ああ、知ってる」
星空の下、私たちは初めて翻訳なしで心を通わせたのだった。
◇
それから数日後。
フューメル公爵邸の一室で、私は優雅に紅茶を飲んでいた。
そして、隣には婚約者となったクローゼ殿下がいる。
「それでね、モニカったら結婚式のドレスのデザインをもう100着も考えてきたって言うのよ? 気が早すぎると思わない?」
「はは、彼女らしいな。でも、君なら何を着ても似合うだろうな」
「も、もう! またそうやってさらりと言うんだから!」
顔を赤らめる私と、微笑む殿下。
そこへ静かにモニカが現れた。
手には分厚いファイルと、一枚の請求書を持っている。
「失礼いたします。お二人のイチャイチャ空間に水を差すのは心苦しいですが、業務報告です」
「あ、モニカ! 見て! 殿下にもらった指輪よ!」
「確認済みです。カラット数、透明度ともに最高ランク。資産価値として申し分ありません」
モニカはいつも通り眼鏡を押し上げながら言った。
「さて、お嬢様。これにて『第一王子攻略プロジェクト』は完遂いたしました。KPI達成率は120%。当初の予定よりも、早期の婚約成立です」
「ええ、本当にありがとう! 貴女がいなかったら、今頃、私は国外追放されていたわ」
「お役に立てて光栄です。つきましては……」
モニカは、スッと請求書をテーブルに差し出す。
「成功報酬としての特別ボーナスの支給と、来年度からの私の給与ベースアップ(3割増)及び、有給休暇の完全消化を申請いたします」
「3割増し!?」
「当然の権利です。翻訳業務、諜報活動、物理演算、ネズミの飼育費用。これらを含めれば破格かと」
私は請求書の桁数を見て白目を剥いたが、隣で殿下が笑い出した。
「いいではないか、アリッサ。私たちの愛のキューピッドだ。私費からも上乗せして払おう」
「殿下まで! ……まあ、いいですわ。貴女にはそれだけの価値があるもの」
私はペンを取り、サインをした。
モニカはそれを確認すると、初めて、本当に初めて口元に微かな笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。……お幸せに、お嬢様」
その笑顔は、いつもの能面とは違う、どこか誇らしげなものだった。
「モニカ! 有給休暇が終わったら、次は結婚式の準備よ! 世界一の式にするんだから!」
「御意。プランAからZまで用意しておきます」
モニカは恭しく一礼すると、分厚いファイルを誇らしげに叩いた。
その頼もしい姿に、私と殿下は顔を見合わせて笑った。
素直になれない悪役令嬢アリッサと、懐の深い完璧王子クローゼ。
二人の恋路は前途多難かもしれない。
でも、大丈夫。
私の背後には、鉄壁の秘書がいつも控えているのだから。
〜完〜
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悪役令嬢の取り巻きAですが、断罪イベントの段取りを完璧にこなしたら、なぜか俺様王子に引き抜かれました
[日間]総合すべて2位
【短編】https://ncode.syosetu.com/n2525ln/
【連載版】https://ncode.syosetu.com/n2121ln/
それではまた( ´∀`)ノ




