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猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める  作者: 遥風 かずら
アフターストーリー 2

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猫族の拠点・ミネット村

 魔導師レイモンは、俺とコムギさんが暮らす部屋と地下の部屋を繋げられて満足そうだった。


 その満足度が物凄く高かったようで、彼女はメルバ漁村に程近い森林へと案内してくれているのだが――


「――村の人が驚いてたんですけど、後でもう一度きちんと話をしてもらっていいですか?」


 彼女は繋がった俺の部屋からすぐに出て、メルバ漁村を何の警戒もなく歩き回ってしまった。その結果は言うまでもなく。


「む? 何を話す? トージの家から出入りした時点で認知されていたと見たぞ?」


 何を認知されたのかなんて怖くて聞けない。


「怪しい者か、あるいは全く気にしなくていいのか、の確認みたいなものですよ。猫のクウくんも怪しまれるくらい村の人は警戒心が高いので……」

「ふむ……。我が地上に出ていない間に人々は警戒を絶やさなくなったのか。それは難儀なことだな。ならば、村に戻ったらきちんと話すことにしよう」


 言い方が何とも古めかしい感じがするんだよな。


「ココアが話してる拠点はどの辺にあるのかニャ?」

「そうだぞ~。おいら、この辺も結構歩いたけどそんなところはなかったぞ~」

「何だかぐるぐると同じところを歩いているような気がするニャ……」

「ふふ。それはそうだろう。目的がはっきりしていなければ、あの者らは入り口を閉ざすのだ」


 コムギさんの言う通り、森林エリアを歩きだしてからあまり距離を歩いた感じがしない。それどころか何度も同じところを歩いているような感じだ。


 レイモンが地上を歩くのは数十年ぶりらしいが、ほぼ地下にいるせいで実は単なる道迷いなのではと思う程に歩き回っている。


「この森は奥に行けば行くほど、人間が近くにいれば警戒するのだ。たとえトージが()()でなくともな」

「トージは全然危険じゃないニャ!」


 コムギさんが怒ってくれるのは嬉しいが、反面俺には何の危なさもないという意味でもあるから、いいのか悪いのか複雑な気分だ。


 しかしここにいるコムギさんやクウ、そしてレイモンにも強さという意味では敵わないのは事実だからな。


 レイモンを先頭に小屋周辺の森林エリアをしばらく歩いていると、歩くレイモンを避けるようにして前方の木々が左右に避け出し始めたような、そんな風に見えた。


 レイモンはエルフだから森の精霊とかが歓迎してるとかそんな感じだろうか?


「不思議な感じだなぁ」

「ニャ? トージ、どうかしたかニャ?」

「ん~? なんだなんだ?」

「な、何でもないよ」


 思わず口に出していたが見えているのはどうやら俺だけで、足元を歩くコムギさんとクウには見えていないみたいだった。


「……よしよし。()()()()は我を忘れず拒まないでいてくれるようだ。無論、トージがいてもな!」

「へ?」

「トージには見えていたはずだ。根元が太い植物が自ら折れて、道を作ってくれている光景を。アレは我を歓迎、いや認めているからこその動きなのだよ」


 やはり()()()()解釈で合っていたのか。


「コムギやクウは猫だから見えなくとも問題はない。猫なら出入り自由なのだからな」

「……なるほど」


 つまり、猫優遇の拠点?


 そうしてしばらく歩いていると、一本の大木の中央に小屋の作りと同じ木製の扉があった。猫、あるいはエルフ用の扉のようでドアノブは見当たらない。


 どう見ても入り口の扉にしか見えないが、歓迎されないと見えない扉だな。


 レイモンが扉に近づき、手をかけるかと思いきや。


「トージ。この扉を開けてくれ」


 そう言って俺に開けさせようとしている。


「え? 俺でいいんですか?」

「我はすでに認められている。だが、トージが認められなければこの扉は消えるのみ。トージが猫に認められていればすんなり開けられるはずだ」


 ううむ。猫に認められるとか、それは真の意味で確かめられてるな。


「じゃ、じゃあ開けてみます」

「うむ」

「トージなら大丈夫ニャ!」

「おいらを助けてくれたからな~。トージなら何も心配ないぞ~」


 コムギさんとクウに可愛く応援されながら、俺は扉を押してみた。


 扉を押すと、そんなに強く押していないのにまるで向こうから開けられたように中へと吸い込まれ、前のめりになったどころか俺だけ先に中へと飛び込んでしまった。


「うわっ!?」


 地面に転げてしまう姿勢だったが、顔はもちろん全身で受け止められた感触はまるで猫そのもののようなモフっとした抱き枕のようなものに近い。


「いらっしゃいませニャン! トージ・ムギヤマさん、ミネット村にめでたくご入場ニャン~!」


 モフモフな感触をたっぷりと感じながら自分の耳に聞こえてきたのは、可愛い猫さんの歓迎の声だった。


 もしや俺にとって最高の拠点なのでは!?

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