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猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める  作者: 遥風 かずら
アフターストーリー 2

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トージの部屋とレイモンの部屋と

「おおぉ……! こ、これがトージのスキルなのか!?」


 俺はコムギさんに怒られてしまった反省と、レイモンに自分のスキルを隠していた反省も込めて、部屋に置いてある壊れかけのアンティーク家具を全てレストアした。


 スキルを使いまくったものの、心配していたコムギさんの消耗はほとんど感じられなかった。


 そんな彼女は俺を見ながら――


「――前に言ったとおり、私だってちゃんと強くなっているニャ。ニャフフ」


 そう言いながら誇らしげにしていた。


 かなり嬉しそうにしていたおかげで、俺に抱きついてきたレイモンのことはすっかり忘れたようだった。


「むぅぅ……トージのこのスキル、いや、トージが間近にいればわざわざ転移しなくても済むことになるというわけか……むぅ」

「何か心配でも?」

「いいや。そうではない……そうではなく、我はトージが欲しい!」

「はっ……い?」


 またコムギさんが怒りそうなことを口走るのか。せっかく機嫌よくなったのに。


 しかし、どう考えても古老のエルフであるのは間違いないとはいえ、エルフの女性にそんなことを言われると動揺してしまうな。


「トージは私のトージなのニャ!! ココアのトージにはならないニャ!」


 ……ああぁ、コムギさん。何て嬉しいことを。


「うむ。それは知っている。我が言ってるのはトージとこのまま別れるのは惜しいということなのであって、コムギが言うようなものではないぞ?」

「ニャウゥ……」

「ふふ、心配せずともトージを取ったりはしない」


 見た目がエルフだからとちょっとでも緊張するのはおかしな話だったな。俺にはコムギさんという大事な猫さんがいるというのに。


「なぁなぁ、トージ。用事は済んだのか~? 済んだならこのまま進むぞ~」


 レイモンとコムギさんが言い合ってる中、クウは自分には関係ないといった感じで俺の足にすり寄りながらそんなことを言ってきた。


「そ、そうだね。でもちょっと待っててくれるかい?」

「そうなのか~? 分かった」


 考えてみれば魔導師レイモンがいるここへは、あくまで()()されてきただけで、ダンジョンの出口を見つけたいクウにとっては特に意味のない場所だ。


 レイモンが望んでいた最新の物は叶えられなかったが、それに近い状態にしたわけだしここに留まる理由は正直言って無くなったと言っていい。


 クウにも寄り道させたし、そろそろ移動をしないとだ。


「コムギさん。そろそろ――」

「待つニャ!」

「え?」

「ココアがトージにお願いしたいことがあるみたいニャ」


 言い合っていた問題は解決したのかな。


「俺に話って何です?」


 クウを待たせることになりつつも、コムギさんを通してレイモンが俺に頭を下げているので話を訊くことにした。


「トージは亜空間を繋げて、外に残した我の小屋とトージの部屋を繋げたのだな?」

「まぁ、そうですね」


 外の小屋はやはりレイモンの小屋か。


「トージ! 我の場所とトージの部屋を繋げてほしい!」

「えぇ!? 部屋とここをですか?」

「うむ! そうすれば、トージといつでも会うことが出来るだろう? 我はその方がいい!」


 俺のスキルを欲しがっていたが、まさかここと繋げる提案をしてくるとは。


「俺とコムギさんが暮らしてるあの部屋は漁村で借りている部屋でして、うかつに村に出ようものなら大騒ぎになりませんか?」

「メルバ漁村だろう? あの漁村には遥か昔にいたことがあるぞ。元々は漁村の人間に許可をもらって小屋を建てたのだからな!」

「ええ? そ、そうなんですか?」


 俺の驚きに対し、レイモンは力強く頷いている。しかし遥か昔ということは、彼女を知る者はいないのではないだろうか。


 部屋とここを繋ぐのは出来なくはないが、そうなるとダンジョンの構造はどうなるんだ?


「あの、レイモンがいなくなったらダンジョンが変わってしまうんじゃ?」

「……む? ダンジョン? あぁ、上の洞窟か。問題ないぞ。我は全く関係してないからな」

「へ? あれ、でも上に上がれる階段があるって……」


 宝石を見つけに行くとか言って俺を連れ出そうとしてたけど、気のせいか?


「我がいる部屋はダンジョンとやらの手前の辺り。地上にある小屋に程近い場所だ。つまり、奥に続くダンジョンのことは何も分からないのだよ」


 ここが地下だから距離的な勘違いをしてただけなのか。


「いや、それ以外にも廃村に繋がる転送が……とか言ってませんでしたっけ?」


 宝石をはめ込んで使う杖で――とか言ってたけど。


「あぁ、杖だな? だがトージのおかげでアレキサンドライトが見つかったからな。その必要はなくなった。地上にさえ繋がればいつでも行けるから問題は片付いたといえる」

「……そうですか」

「トージ。ココアは頑固なのニャ……だから、繋げてあげてニャ」

「コムギさんがそう言うなら……」


 長い付き合いだからなのかコムギさんは半ば諦めた感じだ。そう考えると、やはり古老エルフなんだなと実感する。


「で、では、繋げるのはこたつがある部屋でいいですか?」


 何個か部屋があるが、一か所さえ繋げば自由に行き来出来るはずだ。


「よろしく頼む! トージの部屋に繋がったら、退屈させた詫びに拠点に連れて行ってやろう!」

「拠点? 近くに拠点があるんですか?」

「うむ。ふふ、特にそこのクウとコムギが喜ぶ拠点だ」


 ダンジョンの奥深くは関係ないと言ってるレイモンのことだからどこまで本当なのか分からないが、コムギさんとクウが喜びそうな拠点があるなら行くしかない。


「クウ。それとコムギさん。もう少ししたら、楽しめる場所に行けるからね」

「ニャ?」

「ん~?」

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