いつでもいっしょに感じられるニャ!
改めて大好きと言われると、凄く嬉しいしコムギさんを大事にしなきゃいけないって気持ちがまた強くなる。
ただ、部屋が繋がったのはいいとしても、コムギさんにはスキルのことを話しておかないと。
「――ということなんだよ。ごめんね、コムギさん」
岩山部屋に戻ったのが良かったのか、小屋にいた時よりも元気になったコムギさんに俺のスキルのことを教えてあげた。
すると。
「ふんふん……トージが謝る必要なんてどこにもないニャ! 私はトージの猫なのニャ。主人のお役に立つのが私の役目なのにお役に立てなかったらいる意味なんてないからニャ~」
しばらくにゃぅにゃうと頷いて聞いていたコムギさんだったが、俺をじっと見ながらそれがどうしたと言わんばかりの得意顔を見せた。
「意味って、そんなことないよコムギさん」
「あるったらあるニャ! とにかく、トージが気にすることじゃないニャ! トージが動き出したのに私だけだらけていたのが駄目だったのニャ」
ううむ、相変わらず自分に厳しい猫さん。
しかし冷静に考えてみると、俺が部屋でゆっくりしている間、コムギさんは常におつかいに行っていたが石板が使えなくなった辺りから一緒にいる時間を増やしてくれていた気がする。
ダンジョンを見つけた時に嬉しそうにしていた時も、俺に危険が及びそうになってからはあまり動かなくなってしまったし。
……そう考えると、俺のスキルによってコムギさんが消耗することは彼女にとっては役目を果たしていると思っているのかも。
俺が心配性なだけで、コムギさんは俺よりも遥かに強大な力を有する猫さん。心配し過ぎてもかえってやる気を出させてしまうってことになる。
「おわっ!? な、何だ……トージとコムギの部屋が何でここにあるんだ~?」
反省しないと駄目だななどと思っていたら、繋がった小屋の部屋からクウが顔を覗かせた。さっきまで猫のままだったのに、なぜか人間の姿になっている。
「あれ、クウくん? 何で人間の姿に?」
「とりあえず、おいらもそっちに行くぞ? ……行っても何も起きない?」
「もちろん! 遠慮しないでこっちにおいで」
「分かった~」
コムギさんは少しだけ俺に拗ねて寝ているようで、クウが移動してきても気にかけていない。
その隙に――というわけではないが、人間姿のクウを出迎えた。
「そうだ、トージ。種だけテーブルにおいても駄目になりそうだから、ここで渡すぞ~? 植木鉢に植えるんだろ? おいら、それくらい分かるぞ」
そういえば種を老商人から貰ったとか言ってたな。それが何の種なのかはともかく、確かにただテーブルに置かれてもどうなるか分からないし俺が直接手にした方がいいかもしれない。
「じゃあ、貰うよ」
「ほら、これだぞ!」
そう言うと、クウは小さな袋を俺に手渡してくる。
「結構入ってるね」
「よく分からないけど、沢山もらった。あの人間はおいらが食べると思ったかもしれないな。でも食べなかったんだ。おいら、偉いだろ~」
「そっかそっか」
人間の姿ではあるものの、何となく頭を撫でて欲しそうな気がしたのでクウの頭を撫でてあげた。
「えっへん! おいら、役に立つだろ~!」
そう言いつつも、頭を撫でられているのがとても嬉しそう。機嫌も良さそうだし、人間姿な理由を訊いておこう。
「ところでどうしてその姿に?」
「おいら、さっきまで小屋にいたんだ。そしたら、外から変な気配を感じたんだ。人間だと思ったけど、そうじゃない気がした。だから魔法を使うために人間になったんだ。そしたら来なかった」
小屋の外からの気配か。
小屋が綺麗に直ってることで誰かが見に来た可能性がありそうだな。だけど、人間のようで人間じゃないのはどういうことなのか。
もしかしたら魔導師、あるいは別の種族とかの可能性もあるけど何とも言えないな。それと、人間が小屋の中にいると分かって離れて行ったというのもおかしい。
「……というか、クウくんの魔法は猫の時は使えないの?」
「使えるぞ。でも、目線が低いから当たりづらいんだ。おいら、あまり魔法を使うのが得意じゃないからな~」
「なるほど。探検してる時は猫のまま?」
「そうだぞ。その方が隠れることが出来るし簡単だからな~」
化けるのに特別なスキルを使ってるでもなさそうだし、ダンジョンでは猫の方が都合がいいのかも。
「トージ。コムギは平気なのか~?」
そういえばさっきまで拗ねて寝ていたけど、疲れは大丈夫だろうか。
「クウには関係ないことニャ」
あ、起きてた。
「なんだよ~! おいらだって少しは気にしてたぞ」
少しなんだ。この子はマイペースそうだし仕方ないか。
種が入った袋はこの部屋に置いておくとして、コムギさんをこのまま寝かせて小屋に戻った方がいいかもしれないな。
「コムギさん。俺はクウと一緒に小屋に戻るよ。コムギさんはゆっくり休んでていいからね」
「トージと私はいつでもいっしょだってことを忘れないでほしいニャ! トージのスキルは私だけが感じられるからニャ~」
俺がスキルを使うことで疲れても、構わないという意味なんだろうか。
「え、じゃあ小屋に一緒に?」
「それ以外ないニャ! それに、クウだけじゃ頼りないからニャ~」
「なんだと~! おいらだってトージの役に立つぞ~」
「ま、まぁまぁ。それじゃあ、小屋に戻ろうか」
「ニャ~!」
戻ると言っても、すぐだけど。
クウが言ってたことが気になるし、なるべく小屋にいる方がいいのかもしれない。




