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猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める  作者: 遥風 かずら
アフターストーリー

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コムギの摩訶不思議なダンジョン

 ふむふむ、なるほど。


 俺はキャットホイールのような物を手に取り、軽く持ち上げたり触ったりした確かめてみた。


 素材は木製、付属の爪とぎがあって台座もしっかりとした作りで、どこからどう見ても猫カフェにあったのと同様のキャットホイールそのものに思える。


 クウくんが上に乗って歩いてしまったことで回転しだしたが、歪みもなければ曲がりもないから特段問題はなさそう。


 しかし洞窟の中に何で原形を留めた状態で捨てられているのか。


「トージ、トージ。何か分かったかニャ~? あれっ? ピカピカニャ~」

「コムギさん。彼との話はもういいの?」

「クウはこの洞窟を隈なく歩いていたみたいだニャ。だけど、途中から迷って抜け出せなくなって、気づいたらその回転するものに乗ってしまったみたいニャ」

「そうなんだ」


 洞窟探検する猫さんってわけか。


「クウくんは?」

「とりあえず外に出てみると言っていなくなっちゃったニャ」

「そっか」


 そもそも冒険者は人間だけとは限らないわけだし、この世界に関して言えば冒険猫がいても不思議はないんだよな。


 ……そういえばさっきコムギさんが何かに驚いてたような?


「コムギさん。ピカピカって何が光ってるの? って、あれっ?」


 少し考え事をしていたらコムギさんの姿がどこにもない――かと思いきや、いつの間にかさっき触れていたキャットホイールにコムギさんが乗って、楽しそうに歩いている。


 気のせいか新品同様に綺麗になっていて、確かに光って見えるような。


「思い出すニャ~」


 そう言えば、猫カフェ時代のコムギさんはキャットホイールとかキャットウォークを物凄く楽しんでいたな。


 まさか異世界で似たものが見つかるとは思わなかったけど。


「にゃふ~……楽しめたニャ」

「それは良かった」

「それにしても、不思議な感じがする洞窟ニャ~。トージがいた世界では洞窟をダンジョンって言ってたかニャ?」


 ゲームとかアニメとかの話をしていたこともあったけど、そんな話もきちんと聞いて覚えてるんだ。流石はナンバーワンの美人猫さんだっただけのことはある。


「そうだね。魔物が出てくるようなことがあったら、その時点でダンジョンと呼んでもいいかもしれないね。今の時点では洞窟かな」

「ふんふん」


 俺の言ってることを理解したようで、コムギさんは首を上下に動かして頷いてみせた。


 ……出来れば魔物が出てこないことを祈るけど、奥深く広がっているのだとしたらいても不思議じゃない。


 過去に大きな獣と対峙したコムギさんがいるから安心だろうけど。


「トージはそれをどうするつもりニャ?」


 コムギさんが可愛い手でキャットホイールを指している。


「ん~……綺麗になったから持ち帰りたいとは思うけど、ちょっと大きいから保留にしておくよ。コムギさんがお部屋で使いたいなら何とかしたいかな」

「いらないニャ。トージとお出かけしてるから、お部屋で使うことなんてないと思うニャ」

「確かにね」


 部屋で留守番をしていたのは俺だったわけで、コムギさんはいつもどこかにおつかいに出かけていた。つまり、その時点で部屋に置く必要はないという結論になる。


「それじゃあ、ここから奥に進んで行くかニャ? それともお部屋に戻る?」

「まだそんなに経ってないはずだし、もう少し奥の方に進んでみようか」

「分かったニャ」

「進んでる途中でもし魔物が出てきたら、その時はどうしようか?」

「トージが心配することなんて何もないニャ!」


 ……などと言うコムギさんが逞しく見えた。


 俺とコムギさんは、クウくんが歩いてきたという洞窟の奥深くまで進みまくり、下り坂のようになっている洞窟をひたすら進みまくることに。


 その間、いくつか落とし穴のような穴が見えたが、気をつけながら進んでいたので大した危険もなく奥へと進むことが出来た。


 しかし、徐々に通路が狭まってきたところで俺の不安が洞窟内にでも伝わってしまったのか、魔物と呼んでいいのか分からない蝙蝠が頭上付近で飛んでいるのが分かった。


 それに対しコムギさんは――


「トージは動かずにいてニャ」


 コムギさんがそう言った直後、彼女の力でもある聖なる光を放って頭上を飛んでいた蝙蝠を追い払ってくれた。


「うん、健在だね」

「任せてニャ~! トージは絶対に守るニャ!」


 相変わらず頼もしい猫さんだ。


「それにしても蝙蝠がいるとは驚いたよ」

「やっぱり魔物が出てきちゃったニャ。ということは、ダンジョンになっちゃったニャ?」

「そう言われればそうなるね。不思議な……いや、摩訶不思議なダンジョンかもしれないね」


 頼もしく思える反面、移動販売スキルを使える時にどうして戦えるスキルの一つや二つを買っておかなかったんだろうと後悔。


 お客さんにそういったスキルを売ったこともあるのに自分で覚える為にとか、あの時は全く思い付かなかったから仕方がないんだろうけど。


「コムギさん。俺も何か戦える力があった方が楽になるんじゃないかな?」

「ニャ? トージは戦いたいの?」

「う~ん。無いと思うけど、もしはぐれてしまった時に何か出来たらいいかなって」


 基本的には俺の歩きにコムギさんが合わせてくれているけど、ダンジョンということはどこかで道迷いが生じてもおかしくはない。


 その時に俺だけで魔物に対処出来るかどうか。


「絶対ないとは言い切れない問題ニャ……」

「だよねぇ」


 俺とコムギさんで頭を抱えながら考えていると、足元にいるコムギさんが俺を見ながら――


「――でも、トージには戦ってほしくないニャ!」


 強い口調で言いながら、俺を真っ直ぐ見つめてくるコムギさんが可愛く思えた。

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