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猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める  作者: 遥風 かずら
魔導世界

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第28話 タイムセールと逞しき乙女たち

 追加注文で氷を掴んでも平気な手袋を発注しようとすると、画面にはなぜか時間制限が表示された。


 これってもしや、タイムセールか?

 

 【人魚専用手袋】 ただし、ルゴー洞門限定 

 【人魚専用ドライアイス】 ただし、ルゴー海域限定

 【ドライアイス・ブロック型】 異世界お試し用


 残り時間 59:08


 ルゴー洞門限定とかルゴー海域限定商品?


 時間制限されても時計がないから俺には判断出来ないんだが。しかし、幸いにも全て銅貨で買えるみたいなので渡された銅貨を全て使って、買えるだけ注文してみた。


 すると、


「まぁっ! 透明なものが勝手に手に張り付いているわ! トージ! これが手袋なのね?」


 ……スキルアップしてないのに人魚族には優しい設定か?


「そ、そうです! 手袋を外さない限り、心配はないはずです」

「ウフフ。それは最高ね!」


 少しだけ俺への態度が軟化しただろうか?


 それはそうと、ドライアイスの威力と効果を見せるには手本を見せる必要がある。


 俺用の手袋が無かったので、目に見える範囲に捨ててある棒を拾い、それを使って見せることにした。


 ルゴー洞門は両側とも岩になっている。しかし、アドリアナの力で海中に放り投げられるように出来るらしく、俺はドライアイスのブロック型を使って実行。


 その効果はすぐに表れた。


「――! トージ!! ドライアイスが消えてしまったわ! それも霧のようによ!」

「それなら心配ないです。それがドライアイスなんです。時間が経てば、周辺の海水が冷えてくるはずです。ただし、あくまで一時的なので追加で使いたい場合は……」


 説明しようとすると、少しだけ冷たくそれでいて柔らかな感触が俺の顔に当たった。抱きつかれたものと推測するが、コムギさんのもふもふには勝てないから問題はない。


「トージ、ありがとう! あなたのおかげでわたくしたちはゆで上がらずに済むわ」

「お役に立てて何よりです」

「追加で欲しくなったらあなたのお店に行けば買えるのかしら?」

「……残念ながら、私は固定のお店を構えてないんですよ」


 仮に構えていても人魚さんが地上に出てくるのは難しいだろうな。


「すると、その変なもので移動しながら商売を?」 


 魔導車には警戒してるのか。


「そうなんです。ですので、また購入して頂くには今からお見せするボックスで直接購入していただくか、魔導師の拠点に来ていただいて相談していただくかになりますね」

「魔導師といえばガルスの村が近いけれど、人間のフリをするのは魔力を必要とするから面倒なの。だから、ボックスを見せてちょうだい!」


 ……そうなるよな。


 そういえば、スキルでボックスを出せるようになったけど、どうやって出すんだ?


「トージ。ボックスはどこにあるのかしら?」

「し、少々お待ちを……」


 アドリアナと他の人魚たちが、動きが気になるのか俺に期待の眼差しを向けている。


 こんな緊張感でどうすればボックスを出せるっていうんだ?


「コムギさん~」


 こういう時に都合よくコムギさんを頼ってしまうが、


「唱えればいいニャ」


 ……などと、コムギさんはあっさりと答えを教えてくれる。唱えるというと、魔法名を唱える時のあれだよな?


 多少の恥ずかしさはあるが、人魚さんたちが注目しているし仕方ない。


「ま、魔導宅配ボックス!」


 とにかく空いてる場所、それもアドリアナの目の前がいいだろう――そう思いながら、声に出して叫んでみた。


「…………やれやれニャ」

「えっ? なんか間違ってました?」

「そんなことないけどニャ……」


 周りを見ると、人魚さんたちもコムギさんと同様の反応を見せている。


 魔法を唱える感じと言われても俺にはよく分からなかったのだが、多分出現してくれるはずだ。


「……そんな感じでボックスが現れてくれるのね?」

「は、はい」


 そうして少しの間を置いたところで、アドリアナの目の前に透明タイプのボックスが降ってきた。


「これがボックス……合ってるかしら?」


 透明というかシースルーボックスだな。これも人魚さんに合わせた色合いなんだろうか。


「はい。それが魔導宅配ボックスです。使い方は――」


 一通り説明しただけで人魚さんたちは使い方をマスターしてくれた。スキルアップによる恩恵はどうやら人魚さんたちに与えられたとみえる。


「トージ。ボックスの代金はおいくら?」

「あぁ、それは……」


 王都ロディアークは初めてだったからボックスの料金は貰わなかったが、やはりボックス自体も売るべきだよな。


 アドリアナが持っているか分からないが、ボックスの価値や使い勝手を考えたら魔導石を代金にするのが望ましい。


「それならアドリアナ」

「ええ」

「魔導宅配ボックスの代金は、魔導石を頂くよ。魔導石はレアなものだからもしかしたら持ってないかもしれないが……」

「魔導石ね。分かったわ。これで足りるかしら?」

「二個か。それでいいよ。ありがとう」


 ――って、えぇ!? 


 魔導石が二個も手に入ったのか!?


 こうもあっさりと渡されるなんて、海の中は一体どれだけのお宝が。


「ウフフ、これで取引成立ですわ! トージ。これからもわたくしたちをお願いね!」

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