討伐
「やぁ君、立てるかい?さっきはかなり助かったぜ。中々勇気のある青年だな」
「・・・・・・」
「・・あん?どうした?だまりこんで?
あぁ、、自己紹介したほうがいいか?
・・・えーとっ、俺は『セルジオ』のメンバー、、『セルジオ』は分かるよな?」
「あ、いや、、えっと、分かんないです、、」
「あっ!まじ?そこからか〜、えっとな、」
・・・なんか、めっちゃチャラいな、この人。
苦手なタイプだ。
「対氷鬼組織『セルジオ』、氷鬼を退治する団体だ。君がさっき見た怪物さんが、日本名で氷鬼ってやつだ」
ん?日本名?
「ど、どうして僕が日本人ってわかったんですか?」
「そりゃぁ、日系って顔してるからな。まぁ、ハーフってところか?俺はレオン。
レオン・ウェーバー、ドイツ人だ」
「あっ、えっと、僕はレイです。レイ・ブラウン。さっきは助けてくださりありがとうございます」
すると彼は、クシャッっとした笑顔で
「あーいや、いいよそんな、それが仕事だから。てなわけで、俺はああいう怪物を退治してるんだけど、最近ね、、どうやらここらで氷鬼の事件が多発してるんだよねー、だから民間人に情報提供の協力をしてもらおうと思っててな。だからさ、はい、これ俺の連絡先」
そういうと彼は僕に電話番号の書かれた名刺を渡してきた。
“レオン・ウェーバー x xx-xxxx-xxxx
変な氷を見たらご連絡を。 デートの誘いはお断り”
「・・・デートの、お誘い、、、、あっ!さっきの、彼女さんは?」
「あー、あの子なら死んじゃったよ。即死。頭抉れ、、、おっと、あんまり刺激の強いことは控えたほうがいいよな、ごめんごめん。でも、あの子は別に彼女とかじゃなくて、あの子がデートに誘ってきただけだからさ。巻き込まれたのは可哀想だけど、ここはそういう街だからね」
そういう街?・・・・
「だから、なるべく男の人に協力してもらいたいんだよ。ほら、俺モテちゃうからさ、?、、、、、反応悪いな。 まぁ、とにかく、怪我とかしてないんなら俺はこれでさよならだ。あとは俺に任せて、帰りな」
そう言うと、レオンさんは踵を返してカツカツと怪物の屍へ歩いて行った。
立ち上がる。ズボンについた埃を払う。
お尻が痛い。尻もちついたな。
周りを見れば、瓦礫と、ひび割れた道路。
僕のいたカフェは奇跡的に原形は保っていたものの、中にいた店員さんたちは無事だろうか?
・・・あ、カプチーノ。
カプチーノ、、、、カカオ・コン・カプチーノ
僕のカプチーノッ!!!
あーー!!
せっかく買ったのに、どうしてくれるんだよ全く。
ほんと嫌な目にあったな。
やっと落ち着いてきた。
レオンさんは、怪物のところにしゃがみ込んで何かしている。
このまま帰るのか?帰っていいのだろうか?
まぁでもここにいてもやることは無い。
帰ろう
*******
帰り着いて色々思い返すことがあった。
まず、レオンさんがどうやってあの怪物を倒していたのか?
僕が見た限りだと、何処ぞの漫画にでも出でくるような錬成魔術みたいに、岩石が空中に浮いたと思ったら、急に鉛筆の先っちょみたいに尖って怪物めがけて一直線。
普通あり得ない、、あり得ないよ、な?
僕がおかしくなった訳じゃない。
それにいいのだろうか、あんなに街を破壊しといて。あんなおっきな怪物の死体があって、いいものなのだろうか?
ベッドに寝転んだ僕は顔を枕に埋めて考える、考えているふりをする。
なんだかもう、どうだっていいような感じがしてきた。
わからないものは、わからない。
それに家族のことも思い出してしまった。
あの怪物が家族を殺した。他の個体であろうが、僕からしたら無視していい相手じゃないだろう。
でも、もう疲れた。
とてつもない倦怠感が僕を襲う。心身ともに疲労困憊だ。