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〜愛の投影法〜 Beginning town

君はいつか死ぬ

そう、君だ。

死ぬことからは逃げられない。

死ぬのが怖い?そうだよね

でも大丈夫、みんないつか死ぬ

だから、大丈夫、きっと、、


そうずっと誰かが僕に話しかけてくる。

絶え間なく、僕の心を動かす、何かを求めるように。


この物語は、冷たくて、うるさくて、賑々しい街で、この僕が、愛を見つけるまでの話しだ。



*******



日本 近畿地方 紀伊半島より南に500km 太平洋

日本の領海に佇む人工島

総面積120㎢ 

(これは、あのタイムズスクエアがあるマンハッタン島の約二倍の面積である)

人口 約80万人

今では世界有数の都市であるこの島の名前は


海上都市 ローレンス・アーク


日本が造った巨大人工島である。


 50年前、3回目の世界大戦が終わった。

勝敗というものは曖昧に、自国が得た利益もよくわからないまま、各国は和平、休戦という形で約5年も続いた戦争を終わらせた。


人類は最新とも言わしめる戦争に疲弊、絶望した。

だからこそ、人類は今を生き抜くために、争うのではなく、協調しあう世界を目指した。


戦後、あらゆる技術が発達した。

戦争下での医療技術、

復興を支えた建築技術、

このローレンス・アークもその技術を用いて造られた。

一度は滅びかけた人類文明が、今まさに、奇跡的に発展していっているのだ!

今、人類は新たな時代へと踏み出していた!


そう、全く別の世界へ!



*******



 机に置かれた『カプチーノヲ・コン・カカオ』を見下ろす。ラテアートが施されたそれを見て


「、、、買ってしまった。」


もう一度メニューを見る。

『カプチーノ・コン・カカオ  700yen』


「ひぇ〜〜・・・」


高い。普段飲む普通のカプチーノの二倍だ。

ただココアの粉がのってるだけだぞ。

何故カプチーノ二個分なのだろうか?


店内にはリズミカルな洋楽が流れている。

入口から、2人入店。おそらくカップルだろう。

僕は入口横の、外が見えるカウンターに座っている。

外では、11月の秋風に吹かれた枯れ葉たちが、煉瓦造りの街並みを通り過ぎている。


もうすぐ、冬か、

僕、これからどうすればいいんだろう。


視線を再び落とす。そこには、奮発して買ったカプチーノ。


「・・・の、飲むか、、」

さぁ、記念すべき大人への一歩、一口目を、、


「えぇ〜〜、いいじゃ〜〜ん」

後ろから大きな声がした。


「ホテル。行こーうよ」


さっき入ってきたカップルか、


「いや〜、今日時間ないんだよな〜」

彼氏らしき方は力が抜けた声でそう言った。

見た目は、整った顔立ちで、スラっとした体型。

金髪。吊り目。革ジャンを着ていてそれなりにお洒落。


まぁ、聞いた感じカップルじゃなさそうだな。

ホスト的なところだろうか?

そこらへんの知識はこれしき持ち合わせていない。


店内には、店員2人と、僕と、あのカップルたち。

でも、まだ2階がある。

あまりうるさい所は嫌いだ。

2階に移動しよう。

僕は立ち上がり、入り口から真っ直ぐにある階段へ向かった。


瞬間。爆音が響き渡る。

後ろを振り向く間も無く、ガラス片と突風が店内へと吹き荒れた。


気づくと、僕は階段の一番下でうずくまっていた。

なんだ、爆弾!? 

怪我は? いきなりのことで、体全身に感覚が行き渡らない。

煙が立ちこみ、周りも、自分のこともよく見えない。


そ、外に出よう。とりあえず、助けを。状況把握を。


・・・外に出て思ったが、

2階に上がった方が良かったのだろうか?

そっちの方が隠れられたし、なんと言っても、

『こんな風に』は、ならなかっただろう。

どういうことかって?


・・・今、僕は、崩れかけた煉瓦造りの廃墟とも言える街並みを見ている。

そして、もう一つ、

煙が晴れ、よく見えるようになったそこには

紛れもない、怪物がいた。

決して詩的表現ではなく、比喩でもなく、怪物が。



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