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第09話:襲撃 第二日目そして薬師リナ立ち上がる

本日の第三弾!!

「いくらヤイグさんが油断したとしても簡単にやられるわけがない。お前はただのガキじゃさそうだな。」


 先ほどガキ呼ばわりしてくれた賊が、にやりと笑って短剣を抜いた。

 こんな時こそ深呼吸だ!


「ひっ、ひっ、ふーーー。ひっ、ひっ、ふーーー」


 って何か違っている気もするが、落ち着けたから良いや。


 うぉーーっし! 怪我人が後ろにいるんだ。さがれるか!!


 武器になる薬が思いついたぞ!


 ゆっくりと力を抜きながら短槍を構える――複数を相手にするときは力任せに戦うことは得策ではない。こんな時は、いかにして相手を欺くかが鍵だ。


 賊たちは腰に片手剣を下げいる者もいたが、集団で接近戦を行うには不向きなのだろう。全員が短剣を手にして、一斉に襲いかかってきた。


 おっと!


 囲まれたらマズイ。側転して距離を取り、槍をゆっくりとくねらせて、どこに狙いをつけているのか見抜かれないようにする……って実は、どっこも狙っていない!

 必殺、トンボの目くらませ! グルグル、グルグル

 素早く肩掛けカバンから薬瓶を取り出す。

 ほんと、薬師とはなんぞやって思うな。


 賊たちに向かって薬瓶を投げつける。


「くっあ…! 目が、目がぁぁーーー!」


 そうだろう。そうだろう。どこかの大佐も同じようなことを言っていたようだぞ。

 しみる? しみるよなぁーーーー。この消毒液を使った後、間違えて目元を触ると大変な思いをするんだ。

 じゃあな、手前の賊を目掛けて短槍を突いた。


 残りの、二人は目を瞬かせながらも距離を取られてしまった。マズイな―。二対一で、しかも慎重になられると厳しい。私は防御とか回避は得意だが、自分から攻めるのは得意じゃあない。目がやられている、今のうちに倒したいけど、下手をすると隙を突かれて、こっちが終わる。


「リナ、大丈夫か!」


 背後から聞き覚えのある声が響いた。カイルとヨハンさんだ。


「カイル、ヨハンさん!」


 隊長とカイルは私の両脇からすり抜けるように賊に向かっていった。

 隊長は剣を振りかざして賊を袈裟懸けに切り倒し、カイルももう一人の賊に胴体を薙ぎ払うように切り付けた。それぞれ一刀で簡単に賊の二人を倒してしまった。目がうまく見えない賊など、二人の敵ではないようだ。


 ふぇーー。助かった!


 いやいや。まずはザークさんとベッカルさんの治療だ。


――――


 ひとまず、二人に刺さった矢を抜き、応急処理を施した。


「二人とも、矢は貫通していましたが毒も無し。大事な血管も無事なので、これで大丈夫ですよ」


「ありがとうリナちゃん。リナちゃんがいてくれて助かったよ」


「まったくだ。奴らに、走って逃げきれたら助けてやるって言われた時は、血の気が引いたよ。俺、体型見たらわかると思うけど、昔から走るの苦手なんだよねー」


 うん。ベッカルさん大丈夫だ。わかるよ。どう見ても速いとは思えないぞ。


 私が、ベッカルさんたちを治療している間に、カイルとヨハンさんは、私が眠らせておいた四人の賊を近くの木に縛り付けた。


「リナ、大丈夫だったか? 俺たちが来るまで待っててくれたら良いのに。無茶しやがって」


「いや、いや。待たれていたら俺たち死んでたよ。本当に危機一髪だったんだぞ。リナちゃんには感謝しかないよ」


「うーーん。そうか、でも心配したぞ」


 はっはは。私だって無茶はしたくなかったさ。大男と戦った時も、三対一で戦った時も死ぬかと思ったからな。でも、ザークさんたちを助けるのに間に合って良かった。私が殺される前に、カイルとヨハンさんが間に合って良かった。


 そういえば、私……初めて、人を殺そうと思って殺したな……今まで治療が間に合わずに亡くなってしまうのはあったけど、こうやって人を殺したのは初めてだ。そんなことを思って自分の手をジッと見てしまった。


「リナ、大丈夫か? お前、実戦は初めてだろう。すまんな、嫌なことを手伝わせてしまった」


「ううん。ヨハンさん大丈夫ですよ。私も人を殺したら、罪悪感とか忌避感とか感じるのかなって思っていましたが、思ったほどは感じていないので驚いています」


 そうなんだ。むしろ、やらなければ、やられる。殺しに来たからには、殺される覚悟もしてくてるんだろうって思ってしまった。薬師とか言っても、全ての命を平等に救うなんて崇高な考えは、少なくとも私は持っていない。

 村人の命と、その村を襲いに来た盗賊どもの命を平等に扱う気は全くない。

 村人を守るためなら、盗賊どもの命など、取るに足らないものになる……


「リナ、ところで、何かペラペラしゃべりたくなるような薬は無いかな? 国防軍で聞いたことがあるんだが薬の名前は覚えてないんだ。その薬があれば、こいつらから情報を聞き出したいんだ。残りの賊は何人で、どこにいるのか、そもそも、なんだってこんな田舎の村を大人数で襲いに来たのか。色々とわからんことだらけなんだ」


 私が、ぼーーっと考え事をしているとヨハンさんから話しかけられた。


「うーーん。近い効果がある薬はありますけど作り置きは無いですね。でも材料はあるので店に戻れば作れますよ。薬の名前は幻夢薬って言います。服用すると警戒心が無くなり、夢の中にいるような、少しぼんやりとした状態になり色々と話しやすくなります。本来は、強いストレスやトラウマなど心理的な問題を改善をするための薬なんですけどね」


 はい。結局、幻夢薬を作ることになりました。

 情報は大事だよな。敵の人数は三十人ほど見かけたというだけで、それが全員なのか一部なのかで、大きく変わってくる。あと、ヨハンさんも違和感を感じていたんだ。自分で言うのもなんだけど、こんな村を大人数で襲ってもメリット無いよ。

 ほんと、何しに来たんだろう。


 まあ、考えても仕方がないし、とりあえず私は先に店に戻って薬を作っておきますか。


 あ、そうそう。眠らせた四人の盗賊は、ヨハンさんとザークさん、さらに東西の櫓から一名づつ隊員を呼んで店まで運んでくれることになったよ。そして、壊された南門はカイルを含めた三人体制で見張るんだって。


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