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第62話:所長を救出せよ!

除虫菊は実在する植物ですね。蚊取り線香として有名ですね。


下の☆☆☆☆☆から評価いただけたら幸いです。

 ゴキブリ型の魔物カラバリスに覆われた軍の司令塔は、黒い魔物の動きに合わせて蠢いているように見えた。司令塔内部に閉じ込められているハーマイン少佐と司令部のメンバーを救出するため、私たちは除虫菊を燃やしてカラバリスを撃退する方針を取ることにした。


「リナ、状況把握は済んだ?」


 アンジェリナ大尉の声には焦りが含まれているようだ。夫でもある所長は、まだ塔の中にいるはずだからな。


「はい、大尉。塔の周囲に自生している除虫菊を燃やせばカラバリスに有効だと思います。ただ、除虫菊がまばらな部分もあるので、ある程度は塔周辺以外からも採取して積み上げた方が良さそうです。ただ、その場合、もうしばらく時間がかかります。その間、塔内部の人々が持ちこたえられるかどうか……」


「いいわ、やりましょう。私たちで塔に寄って来る魔物を退治して時間を稼ぐわ。あなたは訓練生たちと一緒に除虫菊を準備して」


 大尉の承認は得られた。では、あとはやるだけだ!

 私は、訓練生たちに除虫菊の現物を見せながら説明を行い、塔以外に周辺から除虫菊を集めて来るように依頼した。


 しかし、いざ除虫菊を採取を開始すると、すぐに問題が出て来た。鬱陶しいことに、魔物が草葉の陰や建物の陰など、ところどころに潜んでいて、それらが突然、奇襲を仕掛けて来るのだ。

 魔物はカラバリスだけではない、ムカデ型のセンティリオンもいる、そして空からはカラスに似た鳥形の魔物アヴェロスが襲い掛かって来た。


 サンドラ達は、サンドラとクララが防衛に回る一方で、スカーレットとマリアが魔物の妨害を振り払いながら採取作業を行っているようだ。


「マリア、スカーレット。大丈夫?」


「あ、准尉、魔物が襲ってくるので手間取っていますが大丈夫です。もしアンジェリナ大尉がここにいたら、『いつまで待たすの、早くしなさいよ』って叱られますね」


 マリアが苦笑混じりに答えてくれた。


「はっはは。その通りだね。でも、大丈夫! 大尉は必ず持ちこたえてくれるよ」


 大尉、待ってて下さいね! 私はローランドに乗って訓練生全体の指揮を取りながら、近づく魔物を倒していく。



 除虫菊を集めて、訓練生たちと共に、戻ると大尉達は塔の入り口付近で応戦していた。大量のカラバリスが周囲の空間を埋め尽くし、教官たちの攻撃も気にせず、触角を揺らしながら、数に物を言わせて迫って来る。


「なんでこんなときに、あの人が塔の中に閉じこもるのよ!」


 大尉は独り言のように吐き捨てた。


「少佐の事ですから、きっと指令室への侵入を阻止しているんですよ」


 カールさんがカラバリスを剣で突き刺しながら声を張り上げた。


「それは、わかってるけど……」


 大尉の声はいつもと変わらないけど、その手はほんのわずかに震えている。普段の毅然とした態度とは裏腹に、彼女の内心には夫への不安と怒りが入り混じっているようだ。


「カール、入口付近のカラバリスは駆除するわよ!  あの除虫菊が効果を出すまでに突破口を作るわ!」


「了解!」


 カールさんと教官たちがカラバリスを次々と倒していく。他の訓練生たちは私が指揮して、足りていないところに除虫菊を積み上げていく。


 うぉーーっし! 準備は整った!!


「ビアンカさん、サンドラさん、スカーレットさんはファイアボールで除虫菊を燃やしてください!」


 積み上げた除虫菊を目掛けて、次々とファイアボールが放たれた。

 徐々に殺虫効果がある煙が立ち上り始めると、カラバリスは苦しみ始め、触角を激しく振り乱しながら後退を始めた。

 今だ!! 大尉と私、カールさんで塔内へ突入した。ローランドはお留守番。

 もちろん、武器はいつもの短槍の持ち替えている。屋内戦で槍は扱いにくいのだ。


「ハーマイン! どこにいるの!」


 大尉の声が響く。

 塔の中は崩れかけ、瓦礫が散乱していた。塔の中にもカラバリスとセンティリオンが侵入している。


「アンジェ、こっちだ!」


 廊下の先には指令室に侵入しようとする魔物と、それを阻止しようとする司令部の面々が見えた。

 その部屋の奥に、部下たちを指揮していたハーマイン少佐の姿が見えた。


「カールさんは私と一緒に殲滅作業をおねがい! 大尉、行ってきます!」


大尉に一声かけて、私とカールさんは、一気に廊下を走るとカラバリス達を倒しまくっていく。

だぁーー。カラバリスとセンティリオン合わせて二十匹ほどを倒すと、ようやく所長と対面出来た!


「アンジェ なぜここに…!?」


 驚いた顔をするハーマイン少佐。


「なぜ、じゃないでしょ! あなたが死ぬかと思った!」


 大尉は近づくと拳を振り上げ、彼の胸を軽く叩いた。


「本当に馬鹿なんだから…!」


「すまない。でも私は、ここの所長なんだ。だから部下たちと街の人たちを守らないとな」


 所長の声は低く、しかし力強かった。


「知ってる。だから、私が助けに来たのよ」


 大尉はそっぽを向きながら言った。その頬には、わずかな赤みがさしている。


「ありがとう、アンジェ」


「ふん。…その言葉だけで済ませないで」


 所長が大尉の肩を抱き寄せて……


「ゲフン。ゲフン! あーえっと、他に侵入している魔物が居ないか確認してきます!!」


まったく、私が居るのに、良い雰囲気を作られても困るなぁ。


 カールさんは悪いが大尉と所長の傍に置いて来た。彼は恨めしそうな顔をして、私の事を見てきたが、仕方が無い我慢してくれ。

 誰かが大尉達の護衛をしておかないと危ないのだ。


 司令室に残っていた人たちも動員して、簡単に塔の中を確認して回ったが、他に侵入している魔物は居ないようだったが、窓がいくつか破損している。とりあえず鎧戸を閉めて魔物の侵入を阻止しておく。


 んーー。なんで、カラバリスがあんなにも沢山、この塔に群がったのだろう? カラバリスとセンティリオン、どちらも虫系の魔物だ。除虫菊が周囲に自生している、この塔に来る理由が分からない。除虫菊は燃やさなくても防虫効果はある。わざわざ、虫系魔物が来るはずがないのだ。


 ブツブツと考えていても仕方が無い。所長の無事を伝えて、皆のお手伝いをしますか。


 塔を出ると、モクモクと立ち上る煙に燻され、弱った虫系の魔物達が、あちらこちらで、止めを刺されていた。この辺に居る虫系魔物はかなり殲滅されたようだ。

 しかし、動物系の魔物は、いまだ健在だ。とにかく目についた奴から順次倒していく。あぁ空を見上げると、新たにアヴェロスが向かってくるのが見えた。


 全く、キリが無いな……ん、ん!

 司令塔のてっぺんに付いているのは、何だ? あんな物付いていたっけ!?


※ 作者からのお願い


「面白い」「続き読みたい」など思った方は、ぜひログインしてブックマークと下の☆☆☆☆☆から評価いただけたら幸いです。よろしくお願いします!


つまらないと思った方は、☆一つでも評価つけてくれると勉強になりますので、よろしくお願いします。


毎日更新できるように、頑張ります。

よかったら、他の作品も見に来てくださいね。

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