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第21話:旅立ち

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 朝になって、回復魔法を教えてくれるところは見学ができるのか聞いてみたくって、エルザさんを探して、集会所の中をウロウロしているが一向に見つからない。あれ? 今日は村にいるはずなんだけどな……などと考えていると、通りがかった役場の人が声をかけてくれた。


「おや、リナちゃん、どうしたの村長でも探しているのかい?」


「あ、いえ。えっと国防軍のエルザさんという女性の方を探しているんですけど、見ませんでしたか?」


「ああ、あの人たちは、村長の家に泊まるって聞いたよ。だから村長の家にいるんじゃないかな」


 あぁ、そうだったよ。教えてくれた役場の人にお礼を言って、村長さんの家に向かった。


 昨晩は疲れたうえに考えることもあって完全に忘れていたよ。

 役場と集会所、その周辺は焼け出された人たちの仮設住宅になっているから、村長さんの家に泊まるって言っていたなぁ。


 そんなことを思い出しながら、村長さんの家に行くと、ナジーラが出迎えてくれて、そのまま応接室に案内してくれた。

 応接室では、エルザさんは村長さんとユリアンさんヨハンさんで集まって今後の予定を話をしていたようだったけどちょうど終わったというので、そのまま私の話しを聞いてくれることになった。


 そういえば、ユリアンさんとは顔は合わせているけど、ちゃんと話したことが無いなーーなんて考えているとユリアンさんから話しかけてくれた。


「あ、ちゃんと自己紹介するのは初めてですね。私はユリアン・シュルツと言います。エルザさんと同じく少尉をしています。まあ同じと言ってもエルザさんは回復職で私は戦闘職ですけどね。どうぞよろしくお願いします」


「こちらこそ、挨拶が遅れました。リナ・アレンです。この村の薬師をしてます。よろしくお願いします」


「リナさんは本当に薬師なんですよね。昨晩の戦闘を見ましたよ。強すぎてちょっと吃驚しました。是非うちの隊に来てほしいですよ」


「いやーー、私は、いけませんよ、はっはは……」


「はぁ? そうですかね。大丈夫だと思いますけど……」


 ん? なんとなく言葉の違和感を感じながらも挨拶を交わした後、村長さんもいることだし、昨晩、考えたことを話してみると、村長さんとヨハンさんは、全面的に賛成してくれた。


「あぁ。そうじゃ。村を存続させるのか、それとも廃村となるのかは、わしら大人たちに任せて、リナは今、自分にできることを優先して考えて行動すべきじゃよ」


 ヨハンさんも頷いている。

 うん。そうか、私は私の出来ることをやるべきなんだな。


 その後、エルザさんと話して、回復魔法を教えてくれる場所は見学できることがわかったんだけど、紹介状があった方が良いだろうってことになって、ハンスさんに書いてもらうために、ユリアンさんが山中の砦にいるハンスさんのところまで行ってくれることになったんだよ。


「色々とすみません。わざわざ砦まで行ってもらって」


「なぁに大丈夫ですよ、任せてください。ハンスさんに言って、良い感じの紹介状を書いてもらいますよ」


 ん? 見学するのに、良い感じの紹介状ってなんだ??

 まあ、良いか。


 とにかく、本当に回復魔法を教えてもらうことになったら当分通うことになるから、ちゃんと見ておかないとな。それで、エルザさんたちも明日、村を出てマグリーナに向かう予定だったから、それに同行させてもらえることになったんだ。今までも、薬の原料を買い付けに街まで行くこともあったから、一人でも行けるんだけど、せっかくだからって一緒に行くことにしたんだ。


 よし。そうと決まれば、さっそく家に帰って私も旅の準備をしないと、街まで歩いて一日半から二日ほどかかるんだ。もちろん途中に宿なんてないから野宿だ。


 ――――


 家に帰りついたらまずは背嚢だ。これは、もともとお父さんが持っていたもので丈夫な布で出来ていて、背中に背負える袋状のバッグなんだ。これに着替えと一人用テント、寝袋、携帯食、食器を入れたら完了なんだけど、問題はその携帯食だな。そんな物は用意していないし、今の村の状態だと手に入らなそうだ……うーーん、作るしかないかな。


 麦はあるから、まずはこれを石臼で粉にしてっと。生活魔法で水を生成したら混ぜて、そこに、少しの油、塩、砂糖、それにヤギの乳を入れて……よぉーーっく練り込む。

 ひたすら練る、練る、また練る……

 うん、こんなもんかな。これを一旦、団子状に丸めて生活魔法の火で加温する。

 よしよし、少し膨らんできた。

 これを再び練りながら、ちぎって手ごろな大きさして丸める。

 それからーー平らになるように棒で丸く、薄く伸ばーーす。

 最後に、火力を上げた生活魔法で焼き上げたら完成!


 それと、後は乾燥野菜と乾燥果物は生活魔法の風で野菜と果物を乾燥させたら出来上がり。


 いやーー生活魔法をフル活用だな。まあ、いつもの薬を作るときと同じ要領だから慣れたもんだよ。おっっと、いつもの薬づくりと言えば、本職のはずの薬を忘れるところだった。ちゃんと、持っていく薬を用意しておかないと、最近、変な使い方で薬の消費が激しいんだけど、怪我治療セット(消毒、止血、鎮痛剤、化膿止め)、病状改善セット(解毒、胃腸薬、風邪薬、体力回復、魔力回復)に必要な原料は粉末にして持っていくか。これは、原料を粉末で持って行って必要になったら、その場で生活魔法で純水を生成して調合するんだよ軽量化だな。


 あ、忘れていた!!

 私、回復魔法が使えるようになったんだった。それにエルザさんが居るから怪我治療セットは要らない。おっと、鎮痛剤のルミナ草は解熱剤としても使うから、これは持っていこう。

 今はヒールだけだけど、他の回復魔法も使えるようになったら、持ち運びする薬の内容も見直しが必要そうだな。


 よし、薬はこんなもんかなって言いたいところなんだけ、最近なぜか消費が激しい薬も持って行っとくか……大きな処置にしか使わないはずの睡眠薬を大量に、それを、持ち歩きには不都合があるはずの割れやすい方の薬瓶に入れて、ホーンラビットの毛皮でゆるーく、薬瓶だけを簡単に取り出しやすいように巻いておく。

 そのうえ、普通、睡眠薬として使うときに混ぜるはずの中和剤は全く不要と……

 ふーーむ、薬師ギルドに行ったら、薬の悪用とかで捕まったりしないよなぁ……だ、大丈夫だよね??


 と、とりあえず。


 よぉーーっし! 準備完了だ!!


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