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第20話:村の存亡!?

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 村には、ヨハンさんと私、そして非戦闘員のエルザさん。他に、もぅひとり、護衛役として戦闘員のユリアンさんという隊員さんと一緒に帰って来た。

 帰る前、砦でヨハンさんとハンスさんは二人っきりで長々と話をしていたが、何だったんだ? 捕まえた連中の事でも話していたのだろうか??

 そんなヨハンさんは村に戻るなり、村長たちと話をしないといけないと言って役場に行くようなので、私たちも一緒に役場に向かった。ヨハンさんは役場に到着するなり、村長さんと会議だと言って会議室に入って行ってしまった。守備隊の隊長さんだから砦の様子とか話すのかな?


 そうそう。エルザさんとユリアンさんの二人は、マグリーナの街に戻ってしまうようだ。マグリーナに常駐している第三中隊にフリードリッヒ小隊の引き取りを依頼するのと、アズスター帝国がマグリーナを狙っている件を伝えないといけないらしい。それは確かに重要だな。マグリーナが攻め込まれると怪我人が多く出そうで心配だ。


「そっかーエルザさん帰っちゃうのか……。もっと回復魔法を教えてほしかったんだけどなー」


「うーーん。リナさんは、とんでもなく飲み込みが速いから、中途半端に習うのではなく、きちんと基礎から回復魔法全体を学んだ方が将来的には良いと思うんだ。だから街で専門の教師のもとで教わって見るべきだと思うな。私の場合は、志願兵として入隊してから回復魔法が使えるってわかって勉強したんだけど、初めから使えるってわかっているなら、やってみるべきだよ」


「まあ、私も気にはなっているんだけど、この村には私しか薬師が居ないから、やっぱり行けないよ」


「う、うん。はぁーー。私は村の人ではないから無責任な事は言えな……『子供に頼りすぎじゃな』っ!」


 奥の会議室から出てきた村長さんがエルザさんの言葉を遮るように言った。

 お、ナジーラとヨハンさん、そしてカイルまで出てきた。

 で、さっきの村長さんの言葉は??

 私が、村長さんが何のことを言っているのか理解できずにいると、ナジーラが苦笑いを浮かべた。


「ふっふっ。お父さん、いきなりそれじゃあ、リナもわからないと思うの。リナ、ごめんね。たまたま二人の会話は聞こえてしまったの」


「あ、そうだったんですね。それで、村長さんの言葉か……でも、子供か大人かは置いておいても、私が居ないと病気や怪我の対応で困るよ? 私が出て行って、数年後に村に戻ってくると、病気が流行して誰も居なくなっていました。なんてことになったら嫌だからね。だから、私は村に居た方が良いんだ」


「ううん、それでは駄目なの! 私たちもちょうど、その件で話していたの。リナを村の唯一の薬師として縛り付けてしまうと、これからも、あなたは何処にも行けなくなってしまうの。それはあなたの可能性を私たちの都合でつぶしているの」


 うーーん。ナジーラの言っている事は理解できるよ。実際、客観的に見たらその通りかもって思うさ。でも、現実を見るとねぇ。薬師って回復士よりはいるけど、どこにでもいるって程では無いんだ。ましてや、村の薬師なんて儲からないから来てくれる人なんていないと思うぞ。

 それに、そもそも私は村の皆が大好きだ。だから、皆が体の不調とか病気や怪我で苦しむのは嫌なんだ。

 うん。やっぱり行けないよ。


「リナ、お前がこの村のことを大事に思ってくれていることは知っておる。それだけに、今から辛いことを話さんといけないんじゃ」


 村長さんの顔には悲壮感が漂っている。


「おそらく、この村は廃村になる。もう復興は難しいんじゃ」


「えっ!! な、なんで」


「お前も知っているだろうが、秋から冬にかけて魔物が餌を求めて襲撃が増える時期じゃ。なのに門は完全に破壊され、防壁も一部壊れてしまった。人間相手でも魔物相手でも防戦するのは難しいんじゃ。それに村人の生活もなぁ。今回の襲撃で村の三分の一以上の家が焼失してしまった。これから冬が来るのに住む家が無いのじゃ。急いで建て直すにしても、冬が来る前に、門と防壁を修理して、村民の家を建て直すというのは費用的にも時間的にも無理なんじゃ……」


「じゃあ、じゃあ、村は無くなって、皆はどうなるの?」


「それも、これから話し合って考えないといけないじゃろうな。現時点で廃村は決定事項では無いが、復興の難しさを考えると廃村にしてどこかに移り住む方が良いのかもしれん、その場合、各自どうするか。それぞれ行く当てはあるのか、無い人はどうすれば良いかを考えねばならんのじゃ」


「…………リナ、リナ、大丈夫か?」


「あ、カイル。あまりにショックが大きすぎて、ぼーーっとしてしまったよ。まさか村が無くなるかもしれないって、全く想定していなかったよ。去年の感染症が流行った時もたくさんの村人が亡くなって、本当にどうなるんだろうって焦ったけど、今回は死人も出ていないから、そこまで考えていなかったや。ちょっと私も自分自身どうするか考えてみるよ」


 色々と悩ましいことがあるけど、皆、疲れてしまっているので、一旦解散して仮眠をとることになった。うん。すっかり忘れていたけど、このままでは夜が明けてしまうな。


 ふぅーーーー。誰も歩いていない深夜の村を、一人で家に向かって歩いていると自然とため息が漏れてしまった。

 あちらこちらから、漂ってくる焼け焦げた臭いを嗅ぎながら、これからのことを考える。


 うーーん。もし廃村となったらカイルの家はマグリーナに移るだろうってことぐらいで、具体的には何も決まっていないだって、まあ、ヨハンさんは守備隊だからな。守備隊というのは、その地を治めている領主に雇われているんだ。だから、村が無くなれば、他の村か街で守備に就くことになるんだ。

 とは言っても、マグリーナが狙われているって話がある状況だから、守備強化のためにマグリーナ配属が濃厚だろうけどな。


 まあ、そうだよな。先週の今頃は、村が襲撃されるなんて誰も想定していなかっただろうから、私も、他の皆も村を出るなんて考えてもいなかったんだ。突然、そんな事態になっても答えはすぐに出てこないよな。


 ただ、これから村をどうするかは、そんなにすぐに決まる事ではないから、集会所の周辺には、私の店先で野戦病院として活躍していたテントたちを立てて、今度は仮設住宅として活躍するらしい。

 これから冬になってくると、テントは寒くって厳しいから、それまでに色々と決断と諦めが必要になってくるんだろうな。


 さて、私はどうするかな……。

 村が無くなるなら、私は他の村に引っ越すか、マグリーナに引っ越すことになるだろうな。

 それだったら、マグリーナに行って回復魔法を教わりたいな!

 うん。グダグダ考えても、村が無くなるかどうかは、私にはどうにもできない。

 村長さんや役場の人や皆が決めること、私はその決まった結果で行動を決めよう!


 よし! 村の存亡は皆に任せよう!


 私は、一旦、村から離れて頭を切り替えた方が良いのかもな。

 うん。エルザさんたちがマグリーナに帰るっていうのなら、一度、一緒について行って回復魔法を教えてくれる場所を見学してみようかな。

 ん? そもそも見学とかできるのかな?


 よし、明日の朝、エルザさんに聞いてみよう。とにかく今日は寝るぞ!!


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