第17話:襲撃 第五日目そして突撃
おもしろかったら、下の星マークも忘れずにつけてね
夜も更けて、日が変わったタイミングで突撃が始まった。
暗がりの中、私たちの目の前には破壊された門と、門を守備していた二人の賊が、のたうち回っていた。衣服に引火したから消そうと頑張っているけど、うまく消せないようだな。私が消すのを手伝ってあげましょう。命の灯をね……
などと、気持ちだけカッコを付けつつ短槍で刺していると、ハンスさんの方は既に始末し終わっていた。
良いんだよ。気持ちの問題だから!
うぉっと。門からワサワサと出て来たよ。ハンスさんは片手剣に手をかけて賊の中に駆け込んでいく。相手の懐に入る寸前に剣を抜き逆袈裟に斬る。早いねー、剣先が見えないよ。ヨハンさんも強いけど、ハンスさんも同じぐらい強いだなーー。
おっと、人のことを見ている場合ではなかった。
私目掛けて斬りかかってきた剣を短槍で横殴りに流す。
しかし、こいつは躱すだけ、そのまま体を回転させながら、しゃがんで! 後ろにいた奴の足を――払い飛ばす!
足を払われた奴は体制を崩して倒れかかるが、私の立ち上がる勢いに合わせて槍先で斬り上げる!
「一人目!」
ちゃっかりと、後ろから近づいて来た奴をサイドステップで躱す。
突きを狙った剣が私の脇を流れていく。その動きに合わせるように、短槍を横払い!
顔面を柄で殴られ、仰向けに倒れ込む――追随するように槍先で腹と地面を縫い付ける!
「二人目!」
最初に剣を短槍で殴って逸らせた奴が再び襲い掛かってきたが……遅い! 体をねじって片手突き!
「三人目!」
うぉーーっし! 終わった!!
「リ、リナさん、かなり強いんですね。吃驚しましたよ。うちの新兵どもでは相手になりませんね」
「はっはっ、自分から攻め込むのは苦手なんですけど、攻めてきた相手をいなすのは得意なんです」
そんなことを言いながら、壊れた門をくぐる。
さーーて、突入ですね!
……おや?だれも来ませんよ。
うむむ。奥の方で金属の叩きつける音がしているので、そっちで戦闘中かな。
などと、呑気に構えていたら、ヒューヒュヒュヒューーと風を切る音が!
「矢だ!!」
ハンスさんは叫ぶと共に走り出した。
もちろん、私も走るよ。じっとしていたら的になっちゃう。
うがーーっ! 夜の矢は見えにくい。こんなものは目で見て避けていたら間に合わないから感覚で――躱す!
音と空気の動き、矢が迫ってくる気配、これを読んで――かわっす!!
矢が降り注ぐ中、走る、走る。弓兵を倒さないときりがない。どこだぁ!!
うぉーーっし! 見つけたぞぉ!!
建物の上に……ん? ボウガン兵か? へーー。話に聞いたことはあったけど初めて見たよ
いや、それどころでは無いな。
うーーん。ボウガン兵が五人が集まって建物の屋根に居る。なんで同じ場所に陣取っているんだ?
馬鹿なのかな??
散らばって配置すれば複雑な射線が取れて、狙われる方としては避けにくいのにってまあいっか。
一か所に集まっているなら都合が良い。
これは、睡眠薬の出番だな。身体強化が掛かったこの体なら、簡単に薬瓶を屋根まで投げつけられる。
うーーん。よいやっさ!
薬瓶が弧を描いて、屋根の上の連中目掛けて飛んでいく。
命中!!
小さくガラスの割れる音と共に矢が止まる。あ、一人落ちてきた。
うーーむ。他の奴らは屋上で眠ったらしい。あとで忘れないようにしないとな。
これで一安心かと思いきや。まぁ、湧いてくる、湧いてくる。
次々と建物から出てこようとして――睡眠薬!!
はい。一撃です。まとめて黙らしましたよ。
ん? ハンスさん、なんで私を、そんな目で見ているんです??
「な、なんか敵が哀れに感じますね」
え? 解せぬ!
――――
正面にあった建物から出てきた連中を制圧し、さらに別の建物へと向かっていると、別ルートで突入してきた小隊メンバーと合流した。
「こっちは、それほど数はいませんでしたよ。小隊長はどうでした? 小隊長の方も静かそうだったから居ませんでした?」
「ああ、こっちは二十人ぐらいだ」
「えっ? そんなにいたんですか。リナさんを守りながらだったから大変だったでしょう。リナさん、怪我無いですか」
「いや。俺が倒したのは五人ぐらいで、他の敵は全てリナさんが一人で無力化してくれた。俺の出番は無いな」
小隊の皆さんは、驚きの目で私を見てきた……テ、テヘ!
っ!!!!
「散開!」
ぬぉぉぉっ!!!!
とにかく、目についた建物に向かって全速力で走った。
ズッドーーーン!!!!
あと少しで建物の陰に入れるかってタイミングで、背後に爆裂音が鳴り響いた!
爆風が体を突き飛ばし、そのまま地面に倒されてしまう。
あ、マズイ。
慌てて起き上がろうとするが、誰かが後ろから覆いかぶさってきて地面に伏せる形となった。
ブォーー―という音と共に熱風が駆け抜ける。
あっ!!
覆いかぶさってくれたのはハンスさんだった。
背中の防具は半分焼け落ちて重度の火傷が見える……が、それよりもマズイのは脇腹の大きな裂傷だ!!
内臓まで到達している。大量に失血している。
どうする!? そうだ! エルザさん!!
振り返ると……先ほどまで、皆で立っていた場所が火の海と化していた。
んな、なんだ、これは!?
いや、他の皆は……
よ、良かった。さすがに逃げ遅れるような鈍くさいのは私だけだったようだ。
ほっとしたのもつかの間、敵が向かってくるのが見える。
戦っている場合じゃあない! ハンスさんが死んでしまう!!
焦る私を尻目に皆は交戦体制を取った。
「リナさん、小隊長をお願いします! 我々が敵を食い止めます!」
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひログインしてブックマーク、下の評価の5つ星をよろしくお願いします!
星マークを付けてくれたら作者のモチベーションも上がりますので、更新がんばれます。よろしくお願いします!
面白かったら、是非、他の作品も見に来てくださいね。




