第14話:襲撃 第四日目そして回復魔法?
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「えっと、すみません。どこか間違えていますか?」
「いや、間違いはないけど、なんで血管が接合されているんだい? この部分は神経と言って腕や指を動かすのに重要な部分なんけど、これもなんで? 絶対に傷の状態から見て、ここは切断されていたでしょう?」
ん、ん?? エルザさんはカイルの体を見て混乱しているようだけど、私はエルザさんの言葉で混乱しているぞ。なんで血管や神経が繋がっているのかって……大事な血管は、しっかりと繋げないと、腕が壊死してしまうぞ? それに神経は繋げないと傷が治っても手や指が動かせなくなるよな? でもそんなことはエルザさんも知っているはずだし??
「は、はい。血管は複数個所で切断、神経も神経束が千切れていました。なので、それぞれを繋げました」
「えっ、えぇぇーー! どうやって繋げたの?」
「えっっと。こうやって切断面を合わせて、そのまま指で摘まんで、くっ付くのを待って……」
「ちょっと待って! 指で摘まんでおくだけ? そんなんで接合されるわけないでしょう!」
へ? いやいや、何を言っているんだ。だって今までこうやって治療して来たぞ!
……って、あれ? いやそんな馬鹿な。
あれ? 私はお母さんが行っていた治療方法を見よう見まねでやって来たけど、こうして指摘されると、確かに変だよな。
怪我の箇所を手や布で押さえつけて止血する圧迫止血って方法もあるんだけど、あれは血液内の成分が固まるから止血できるんであって、破れた血管自体が修復出来ているわけではない。
血液の凝固機能だけで圧力のかかる太い血管が繋がるか? さらに血液と関係のない神経は??
反論しようと口を開いたが、その直後、自分の中で訳が分からなくなってしまい、ただ、口をパクパクしてしまった。
「リ、リナさん、カイルさんには申し訳ないですけど、何かあっても後で私がちゃんと治しますから、ちょっとこの血管を切って、もう一度繋いでもらえますか?」
「そ、そうですね。神経は危ないから駄目ですけど、血管なら……」
いや、血管でも駄目だけど思わず……。
戸棚から、消毒済みの小さなナイフと止血クリップを取り出す。
太めの血管をある程度の長さで二か所、止血クリップで血流を止める。
で、小さなナイフでクリップとクリップの間をサクッと切る。
もちろん、クリップで止血しているから大して出血しない。
出血をきれいな布でふき取って、いつも通り、血管の切断面と切断面をくっつけて指で押さえるぅぅぅっと良し!
うん、いつも通りくっついた。止血のクリップを外しても血が漏れてこない。大丈夫そうだ。
って、横を見るとエルザさんが目を丸くしていた。
そ、そうだよな。改めて考えると変だよな。
「リナさん!!」
うぉっと! いきなり手をつかまれた。びっくりしたなーー
「これ、回復魔法!!」
「へ? 何を言っているのでしょうか? そんなの私は使っていないし、そもそも使えるわけないですよ?」
「いや、絶対そうだとは言えないですが、それ以外に考えようがない。普通、指で摘まんだだけで血管が接合されるわけがないし、かといって今、特別な薬も使っていなかったよね? それなのに、こんな短時間で接合出来てしまった。おそらく無意識に微弱な回復魔法を発動している? しかも無詠唱で!? 」
――――
あれから、私たちは混乱しながらも、カイルの怪我だけはエルザさんの回復魔法『ヒール』で治してもらった。
これで、カイルは一安心だ。骨などを失っていたら『リジェネレーション』という再生魔法が必要になってくるんだけど、これは上級回復士じゃないと扱えないらしい。しかし、私が治療したときに、小さい骨もちゃんと正しい場所に配置しておいたから『ヒール』だけで治せたと言っていた。うん。良かった。
そして、私はというと……
「リナさん、今回の件がひと段落ついたら、是非、我々と一緒にマグリーナに行こう。あなたは回復士の素質があるかもしれない。薬師で回復士なんて、今まで聞いたことが無い。両方の知識を身に着けたら、わが軍の死傷者を大きく減らすことが出来る。これは、とても素晴らしいことだよ。いや、なーーに。軍は戦うだけが仕事ではない。時には今回のように救援に行くこともある。そんな時に薬師でかつ回復士であれば活躍できる機会は多い。あなたの独壇場だよ。そもそも、回復士なんて、そんなに居ないんだ。あれは先天的な素質が無いと、どうにもならないからね。それがあなたにはあるかも…………」
はぁーー。ちょっと疲れた。
エルザさんにカイルを治療してもらった後、シュザイルさんも治療してもらいたくって、シュザイルさんの居場所を確認するためにヨハンさんのところに行ったんだけど、そこには、小隊長のハンスさん、村長さんも居て。
そこで、エルザさんが、私が無意識に回復魔法を使っているかもって話をしたら、もう大変、ハンスさんのテンション爆上がり。
シュザイルさんの居場所を聞くどころか、ハンスさんに口説かれること一時間。
「ま、まあ。まあ。リナも、ちょっと落ち着いて整理しないといけないでしょうし、ちょっと考える時間をあげてやってくださいな」
ヨハンさんも、村長さんも唖然としていたけど、ようやくヨハンさんが正気に戻って助け舟を出してくれたよ。
「あぁぁ、まったくだ。すまない。ついつい興奮してしまって、回復士が足りなくって間に合わずに死んでしまった仲間を思い出してしまって、リナさん、すみませんでした。それでも、あなたは自ら進んで軍に行くべきだと思っています。ちょっと検討しておいてください」
ん? 自ら進んでって、変わった言い方だけど、まぁ良いか。ハンスさんは頭を掻きながら謝ってくれた。で、その後、ハンスさんには、村長とヨハンさんから村の事情と私の立ち位置というものを説明してくれたようだ。
「ごめんね。こんな大騒ぎしてしまって、驚いてしまったよね。軍では三個小隊集まって一個中隊になるんだけど、回復士って、その中隊規模で下級回復士が一人いる程度なんだ。だから慢性的な人員不足でね。まあ、小隊長も言っていたけど薬師の知識と回復士の能力があれば治療の幅は広がると思うよ」
エルザさんも、私のことを思って回復士を進めてくれているようだ。確かに村にとっても回復士は欲しいんだよな。
どうすっかなぁー。勉強はしたいけど、その間、村はどうする? 病人や怪我人が出たら誰が見てくれんだ。
そもそも、マグリーナで勉強っていってもタダでは無いよね? それにマグリーナでの生活費はどうする??
簡単ではないな……
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