第130話:王都決戦――始まりの号砲
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夜明け前の王都――。
空はまだ薄暗く、冷たい風が肌を刺す。
王都の城壁の上には、無数の松明が灯され、王国軍の兵士たちが一様に緊張した面持ちで構えていた。
私は城壁の上に立ち、遠くの地平線を見つめる。
(……来る)
地平線の向こうに、黒い波のような影が広がっていた。
「……これが、ウィジアナ共和国軍の本隊……」
スカーレットがゴクリと唾を飲み込む。
「すごい数ですね……」
フランチェスカが静かに呟く。
二万以上の軍勢が押し寄せてくる様はとんでもない迫力となっている。
これだけの人が殺意を持ってやってきているのだ。
「リナ中尉、すべての準備が整いました」
カール曹長が私の隣に立つ。
「弓兵部隊、魔導士隊、近衛騎士団、すべての部隊が配置に着いたようです」
「ありがとう、カール曹長」
私は深く頷く。
「……みんな、心の準備はいい?」
私は振り向き、仲間たちを見渡す。
ビアンカが弓を握りしめながら微笑んだ。
「今さら怖じ気づくわけにはいかないわね」
サンドラが火魔法の準備をしながら黙って肩をすくめる。
「任しておいて! 全力全開で暴れてやるから!」とスカーレットが楽しそうに拳を振り上げると
横で、クララが少し心配そうにスカーレットの事を見ていた。
「生き延びるために、最善を尽くしましょう」
マリアが冷静に頷く。
「王都を守るために、戦いますわ」
フランチェスカが大剣を握りしめながら微笑む。
「うん……!」
私は短槍を強く握りしめた。
そうだ。こんなところで、負けるわけにはいかない。ましてや、仲間を失う訳にはいかない!
絶対に、仲間と王都を守り抜いてやる!
ドォォォォン……!!
大地が揺れるような太鼓の音が響き渡った。
「敵軍、前進開始!!」
偵察兵の叫びが、戦場に響く。
遠くの地平線で動いていた黒い影が、一斉に前へ進み始めた。いよいよウィジアナ共和国軍の本隊が
進軍を開始した。
「……来るわね」
サンドラが魔法陣を展開する。
「弓兵、狙いを定めよ!」
指揮官の声が響く。
城壁の上に並んだ弓兵たちが、一斉に弓を構えた。
敵軍は圧倒的な物量で、王都へと迫ってくる。
ドドドドドドッ!!
騎兵隊が地響きを立てながら駆ける。
歩兵隊が密集した陣形を組み、まるで黒い津波のように迫る。
思わず、私は息をのんだ。
そして――。
「弓兵、撃てぇぇぇっ!!」と指揮官の号令が響き渡った。
シュバババババッ!!
王都の城壁の上から、無数の矢が敵に向かって降り注いで行く。
「ぐぁっ!!」
「ぎゃぁぁ!!」
先陣を切っていたウィジアナ共和国軍の歩兵たちが次々と倒れる。
しかし、彼らは止まらない。
矢を受けてもなお、前進を続ける。
「魔導士隊、攻撃魔法準備! 各自射程距離に入ったら撃て!」
「ウィンドカッター!」
「ファイアボール!」
王国軍の魔導士たちが、一斉に魔法攻撃を放つ。
ズガァァァンッ!!
炎と風の魔法が爆発し、敵軍の一部が吹き飛んだ。
だけど……まだまだ数が多すぎる!
「城門前の敵が接近中!」
伝令が叫ぶ。
――ドゴォォォォン!!
突如、轟音が響いた。
「なっ……!?」
私は驚いて城門を見下ろした。
そこには――。
巨大な魔導砲が、敵陣に展開されていた。
「王都の城門を破壊する気か!?」
エドワード王子が叫ぶ。
「門が破壊される前に、敵の魔導砲を破壊しなければ!」
私はすぐに仲間たちを振り向いた。
「ビアンカ、狙撃で砲手を止められる!?」
「やってみる!」
ビアンカが魔力を込める。
「ウィンドアロー!!」
シュバッ!!
目に見えにくい風の矢が一直線に飛び、魔導砲を操作していた兵士の一人の肩を貫いた。
「やった!」
しかし――。
「まだだ! 交代要員が動いている」
敵の別の砲手が、魔導砲の照準を王都の城門に向けた。
「まずい、撃たれる!!」
私が叫んだ瞬間――。
ズォォォォンッ!!
眩しい光が魔導砲の先端に収束し、城門へと発射された。
ドォォォォォォン!!
轟音とともに、城門が大きく揺れる。
「城門が……!!」
煙が晴れると、城門の一部が崩壊していた。
「敵軍、突破口を作ったぞ!!」
「くそっ、城門を守れ!!」
近衛騎士団が城門へ向かって駆ける。
私は短槍を握りしめ、仲間たちに叫んだ。
「ここからが本番だ! 城門を死守するぞ!!」
「了解!!」
そして――。
王都攻防戦が、本格的に始まった。
「城門が……!!」
魔導砲の直撃を受けた王都の城門が、一部崩壊した。
敵軍の前線部隊が、その突破口に殺到する。
「敵軍、突入!!」
「くそっ、食い止めろ!!」
城壁の上から降り注ぐ矢や魔法の攻撃をかいくぐり、敵兵たちが次々と城門を越えてくる。
私は短槍を強く握りしめ、仲間たちを振り向いた。
「我々も出て敵の侵入を阻止するぞ!」
「了解!!」
フランチェスカが大剣を構え、先陣を切る。
「せぇぇぇぇぇいっ!!」
ガキィィンッ!!
重い剣撃が敵兵を弾き飛ばす。
「ウィンドブレード!!」
ビアンカの風魔法が、突撃してきた騎兵たちの進軍を妨害する。
「ファイアアロー!!」
サンドラの火矢が敵陣を燃え上がらせ、混乱を引き起こす。
「リナ中尉、前衛が厳しくなります!!」
カール曹長が叫ぶ。
私は短槍を構え、突き進む。
「分かった、じゃあ、まずは前衛を支えるよ!!」
ドンッ!
敵兵の槍を弾き、私は一気に反撃へ転じた。
このまま、城門を突破させるわけにはいかない!
戦いは激しさを増していく。
私は負傷者を見つけるたびに回復魔法を発動しながら、戦闘を続けた。
「リジェネレーション!!」
負傷した兵士たちが回復し、再び戦線へ戻っていく。
「くそっ、回復士が前線にいるなんて反則だろ……!」
敵兵の一人が驚愕の表情を浮かべる。
「ふっ甘いな! 回復士だからこそ、戦うのだ!! お前ら、怪我人を増やすんじゃねぇ!」
私は短槍を振るい、敵兵の攻撃を弾きながら反撃する。迫りくる敵を素早く突きを入れて崩していく。
敵の回復士が嫌がりそうな事、それは怪我人が増えることだ。
一人必殺ではない、重傷患者を量産してやる!!
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