第12話:襲撃 第三日目そして増援
さぁ第三弾です!!
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私が魔導士を倒している間に、ヨハンさんもしっかりと残りの盗賊どもを倒してくれた。
「ヨハンさん、怪我は無いですか?」
「ああ、俺は大丈夫だ。リナも大丈夫そうだな。攻めてきた賊は全部倒したが、昨晩聞いた感じでは、まだ居るんだろうな」
「あ、そのことなんですが、賊についていた魔導士を眠らせておいたので、後でじっくりと尋問しておいてください。魔導士なので、たぶん寄せ集めで来た奴じゃあ無いと思うんですよ。だから、昨日の連中よりも詳しい情報が聞き出せると思うので」
「ふむ。それは、どんな話が聞けるか楽しみだな。よし増援が来たら、交代して尋問に取り掛かろう」
そんなことを話していると、守備隊の隊員が駆けつけてきた。
ああ、あの人は……西の櫓からきたようだ。
「隊長、国防軍が、国防軍が来てくれましたーー! まもなくこちらに到着します」
おっ!!
「ふーー。来てくれたか。思ったより早く到着してくれたな。助かった」
「ふぉーーー。やった!……やりましたね、ヨハンさん。これで、私たちの勝ちですね」
私は、そう言うと、その場に座り込んだ。
「そうだな。良く持ちこたえたよ。南門が壊された時は駄目かと思ったぞ」
ヨハンさんも顔中を煤と返り血でドロドロになっているが、安堵の笑みを浮かべた。
ふむ! そのまま地面に倒れ込みたいが、まだそういううわけにはいかない。まだ戦いが終わったわけではない。一旦、盗賊団は撤退したが、近くに彼らの本拠地や頭領が存在している以上、安心はできないよな。
槍を支えに、足に力を入れて立ち上がる。
「リナ、大丈夫か?」
ヨハンさんが私の顔を心配そうに覗き込む。
「ええ、少し疲れただけです。でも……このままで終わらせてはいけませんよ。まだ敵はいますからね」
「その通りだが、今は少し休め。お前が倒れたら、治療できる者がいなくなる。」
そう言いながら、ヨハンさんは自分の肩を軽く叩いた。ヨハンさんも、この戦いで相当の疲労を溜め込んでいるんだろうな。でも、そんな素振りを見せないのはヨハンさんの強さであり隊長の責務でもあるんだろうな。ヨハンさんの声に頷きつつ村の方を見ると、至る所で私が応急処置した人たちが見える。皆心配になって覗いていたんだね。
私も、皆を守れたかな。
未だに、燃えさかる炎に包まれている家もあれば、既に瓦礫と化した家もある。
はぁーー。今回の戦闘で村の三分の一ぐらいが破壊されたようにみえる……復興が大変だ。
……私の家、大丈夫かな? 結構、村の奥まで火災が広がったみたいだけど。
「リナーー。大丈夫かーー」
あの声はカイルだ。おう。元気だな! 肩の骨が砕けているはずだけど……さすがに心配だ。
「ヨハンさん、私、カイルのところに行ってきます」
「分かった、気をつけろ」
カイルは北と東の櫓を見張っていた守備隊のメンバーに支えられているのが見えた。元気だったのは声だけで、やっぱり、痛いんだろ! 慌てて駆け寄り傷の具合を見た。
走ったせいだろうか、応急処置は剥がれかけて、包帯から血に染まっている。
ったく無茶したがって!
「リナ!」
カイルは微笑んだが、顔には痛みがにじんでいる。
「カイル、大丈夫? 肩の傷が酷いね、止血も効いていない……しっかりして。すぐに治療を始める」
包帯を外して、傷の状態を確認した。あぁ、止血と鎮痛、化膿止めをセットにした応急処置の湿布がずれてしまったんだね。悪化したんじゃないかって心配したぞ。
よし、もう一度、応急処置をやり直してっと。ただ、痛みは抑えられても、怪我が酷いことに変わりはない、後遺症が心配だから早めに完全な治療をやりたいんだよな。
「痛みが引いて来たよ。助かったよ、さすが薬師だな」
カイルが私の顔をみて、かすかな笑みを浮かべる。
「うん、そうなんだよ。実は、私、薬師なんだよ」
私は、カイルとは違って苦笑いを浮かべた。そう、なぜか賊と戦って倒して、ひと段落ついたように思えたけど、そっちは本業じゃあない。残念だが、私の仕事は、これから始まるのだ。
はぁぁーーーー。疲れたが、休んでいられない。大勢の怪我人がいるんだ。
「ヨハンさーーん。怪我した人の本格的な治療を始めたいので、私は一足先に店に戻りますねーー」
ヨハンさんは、守備隊の人と村長さんの三人で話をしていたようだけど、声をかけることにした。
おや、いつも間にか村長さんも来ていたようだ。
まあ、あっちこっちの家が燃えてしまったり投石で壊されたりしたから、今後のことも話し合わないと駄目なのかもな。
「おう、わかった。怪我人は役場の者に手伝ってもらって店に運んでもらうように頼んどくよ。あと、カイル、お前もリナと一緒に行って治療してもらえ」
守備隊の人手が足りないから後回しになるかと思ったけど良かったよ。今一番酷い怪我はカイルだから、カイルから先に治療したかったんだ。
「リナちゃん。ナジーラにテントと簡易ベッドを店に運ぶように言っておくから、そこで皆の治療を頼むよ。本当、疲れとるところすまんね」
「そうだった。患者さんがいっぱい来ても居場所もなかったや。村長さんありがとう。じゃあ、戻っとくねーー」
おっと、あぶない。あぶない。村長さんに気づいてもらって良かった。
――――
私とカイルが店に戻って、カイルの治療の準備をしていると、集会所からナジーラと役場の女性スタッフたちが来てくれた。ナジーラたちは、役場からテントと簡易ベッドを持ってきてくれて、テントの設営まで準備をしてくれた。
うん。完全に店の前は野戦病院のようになっている。
「リナちゃんは、治療に専念してもらって、患者は私たちの方で誘導するよ。とりあえず患部が見やすいように服を脱がしたりしておけば良いよね」
「ありがとう、ナジーラ。すごい助かるよ。じゃあお言葉に甘えて、さっそくカイルから治療を始めるよ」
私は、こうして処置室に入っていった。
カイルの治療は、やはり時間が掛かった。シュザイルさんの治療をしたばっかりだから、手が覚えていてスムーズに処置できたが、怪我の具合は酷かったので、少し時間が掛かってしまった。
治療を終えたカイルは麻酔が効いたまま、スタッフの皆さんがテントのベッドに運んでくれた。
疲れたが、大丈夫。私は、まだやれるよ。
さぁーーて。次の患者さんに取り掛かりたいところだけど……薬が無くなった。
あわてて、貯蔵庫から薬草や他の原料を取り出して調合から始める。
ゴリゴリ、ジャリジャリ、コポコポ……
だぁぁーーーー疲れる!!
ある程度、薬を作ったら、再び治療開始。
それの繰り返し、繰り返し……
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