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第11話:襲撃 第三日目そしてバリケードで攻防

さぁ第二弾です!

面白かったら、星マークの評価をお願いしますね。

 慌てて、駆け出すが……駄目だーー! 間に合わん!!

 

 って、カイル!?


 バキッ!


 乾いた木を踏み折るような音。


「っく!」


 バジルさんに投石が当たる寸前、カイルが飛び込むように割って入ったんだ。

 投石はカイルの右肩に命中し、当たった衝撃で吹き飛ばされるカイル。

 これは、マズイ。大怪我をしたかも……


「カイル!」


 意識がないのか、動かない!

 すぐに駆け寄り、飛んで来る矢を短槍で払い除けながら、建物の陰に引きずって連れて行く。


 怪我をした場所と状態は、東の櫓で怪我をしたシュザイルさんと同じように見えるが、意識がないので、頭も打たのかもしれない。

 皮鎧を脱がせて、応急処置を施したが……軽い脳震盪なら良いが、それ以上の怪我になると薬では治せない。


 し、死ぬなよ!!


「っがぁ!!」


 カイルが大声を上げながら、意識を取り戻した。

 かぁーーーー良かった!!


「カイル! 大丈夫か。あんた、意識がなかったんだよ。痛いのは肩だけ? 頭は? 頭は痛くない? めまいはする? 吐き気は? この指何本に見える??」


「大丈夫。大丈夫だから。リナ、とにかく落ち着いて。う、うん、ちゃんと三本に見えるからね。ね。」


 ついつい焦ってしまって、色々と質問してしまったが、会話もちゃんと成り立っているし、視覚に異常も無いようだ。

 いやーー良かった。一瞬、薬師が乗り越えられない壁が迫ってきたのかと思ったぞ。


 重傷者は…………こわい。


「リナ、俺は東と北の守備隊に救援を求めに行く!」


 えっえぇぇぇ!!


 いや、痛み止めは塗っているけど、肩の骨砕けているから、十分痛いはずだけど。

 などと考えている間に、カイルは立ち上がり、そのまま走って行ってしまった。


 お、おぅ。気を付けて……


 同時に、他の人も西に向かって走って行くのが見えた。西の(やぐら)に居る守備隊に援軍を求めに行ったのだろう。


 投石まで飛んでくるようになって、村の皆にも怪我人が出るようになった。

 今まで、木の盾を上にあげて、降ってくる矢を防いでいたんだけど。投石は盾で防ぐのはキツイから何とか(かわ)したい。

 躱すためには、盾を上げていると投石の軌道が見えないから下ろす。するとそこに矢が……。

 頑張って盾で投石を防いでも、やはり投石が当たると衝撃が大きくバランスが崩されてしまう。そこに矢が……。

 そんな、こんなで怪我人が増えて来る。


 私も飛んで来る矢を短槍で払いのけ、投石は躱しながら、怪我人たちの許へ駆け寄り、片っ端から建物の陰に引っ張りこんでは応急処置をしていったが、段々追い込まれている。手持ちの薬が不足してきた。


 暫くは粘っていたが、怪我人も増えてきており、このままでは死人が出そうということで、ヨハンさんの指示で、一旦、矢が届かないところまで後退してもらい、そこにも第二のバリケードを作ってもらうことになった。


「リナ、カイルは大丈夫だったか? 東と北の隊員を呼びに行けとは言ったが、怪我したんなら、ほかの村の者に行ってもらえば良かったんだがな」


「うん、そうだね。伝令ぐらい他の人でも出来るよね。あの怪我だと鎮痛剤使っても、腕が揺れるたびにかなり痛いはずだけど」


 いや、今はのんきに話をしている場合では無かった。


 破壊された門の向こうに盗賊たちの姿が見えた。恐らく十人ほどだ。


 今、この場でまともな戦力はヨハンさんと、薬剤師のはずの私だけだ。

 ほんと、薬師とはなんぞやって思うな。


 とにかく、二人だけで防衛線を維持しなければならない。

 盗賊どもが、雄たけびを上げながら突入してくる!


「行くぞ、リナ!」


「はい!」


 短槍を構え、ヨハンさんと共に盗賊団に立ち向かった。

 飛びぬけて剣術で強い者は居なさそうだが、攻撃魔法が使える魔導士がいた。

 誰が魔導士かは、火消をしながらも、ちゃんと見ておいた。逃がさないよ!


 うぉーーっし! 覚悟しろ!!


 魔導士目掛けて走り込むが、他の奴らが守ろうと剣を抜いた。

 正眼の構えを取る相手に対し、短槍で剣の腹を横殴りに叩いて構えを崩させる。

 剣を叩いた反動を利用して槍を横に回転させ、体制を崩して倒れてきた相手に合わせて首を――叩き斬る!

「一人目!」


 剣が下から伸びて来る。斬り上げか。槍の柄と剣が触れた瞬間に手首を返し、剣を巻き上げて軌道を逸らせる。

 そのまま槍を立て回転させ石突で喉を――突く。

「二人目!」


 脇構えからの胴切り狙いだとーー甘い! 槍の槍先を強く地面に突き立て、それを軸に、横に流れる剣の軌道の上を飛び越える! そのまま、槍を抱えて自分を回転させ、相手の背を――切り裂く!

「三人目!」


 振り被った剣を斬り下ろしてくる。迫り来る剣に槍先を添わせる。お互いの武器が火花をあげながらも剣を流すが! っ重い! 私の槍先も一緒に斜め下に流され地面に槍先が刺さる! 


 うおっっりゃ!


 槍先が地面に刺さったまま、柄の部分を蹴り上げる! 地面から抜ける反動と蹴り上げる力が合わさってスピードの乗った槍先が相手の腹を――貫く!

「っ四人目だ!」


「うぉーー邪魔だ!!」


 何とか周りの連中を蹴散らせて、魔導士に近づく。


 っな? 魔導士がファイアボールの魔法を詠唱している!?

 あ、馬鹿か! こんな近距離で打つつもりか!?

 うぁ、打ちやがったーーーー!!


 とぅーあっったぁ!!!!


 無我夢中だ。咄嗟に、迫り来るファイアボールに合わせて槍先で叩きあげた。


 魔導士の奴、口を大きく開けて固まってる。

 いやいや、やった私が一番びっくりしているぞ。まさか、まさか、魔法を短槍で殴り飛ばすなんて!?

 そんな、話は聞いたことが無いが、実際、ファイアボールは打ち上げられ上空で爆散した。

 う、うーん。マジか……何がどうなっているんだ??


 おっと、今はそれどころではない。

 うん。とりあえずこの魔導士は生け捕りにして、尋問した方が良さそうだ。

 せっかく、口を開けて固まってくれているので、スッと睡眠薬の薬瓶を口に突っ込んであげた。

 ……はい。何の抵抗もなく倒れていきましたよ。


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