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第105話:作戦開始!派手に暴れろ!

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「全員、突入!」


アンジェリナ大尉の号令が響いた瞬間、私たちはグラーデン要塞の巨大な門を突破した。


王国軍本隊の攻撃により、要塞の正面は大混乱に陥っている。敵兵たちは指揮を失いかけながらも、まだ抵抗を続けていた。


「敵魔導士、上層に3名! 弓兵5、槍兵8!」


ビアンカが的確に情報を伝える。


「魔導士が厄介ね……。マリア!」


サンドラが振り返ると、マリアはコクリと頷き、静かに詠唱を始めた。


「土魔法――アースバレット!」


バシュン! と乾いた音を立て、無数の土弾が壁上の魔導士たちへと襲いかかる。魔導士の一人が慌てて防御魔法を展開するが――


「甘いわね」


サンドラが「ウインドカッター」を放ち、敵の防御ごと斬り裂いた。魔導士が倒れ込み、ビアンカが狙いを定める。


「……ウインドブレード」


彼女の放った風の刃が、敵弓兵たちを一掃する。


「くっ、遠距離攻撃だけじゃ、きりがない!」


フランチェスカが大剣を振りかぶり、前方の槍兵たちに突撃する。


「フラン、援護する!」


私はすかさず「ヒール」を使って、彼女の小さな怪我などを治しておく。


「リナさん、いつもありがとうです!」


フランチェスカは笑顔を見せながら、大剣を振るい、敵をなぎ倒していく。



私は負傷した仲間を回復しながら、戦況を見極めていた。


「リナ中尉! そっちは大丈夫ですか!」


カール曹長が剣を交えながら叫ぶ。


「なんとか! でも、回復だけじゃ追いつかない……!」


私は汗を拭い、深呼吸する。戦場では回復士は後方で怪我人の治療を最優先で動かなければならない。だが、このままでは小隊が押し切られる。


(……ここで守りに徹していたら、みんなが危ない!)


私は短槍を握りしめ、決意を固める。


「――私も戦う!」


次の瞬間、槍兵が突撃してきた。


「ハアッ!」


私は短槍を構え、相手の攻撃を受け流す。その勢いのまま、槍の柄で相手の足を払うと、敵はバランスを崩して地面に倒れ込んだ。


「ぐっ……!」


敵が起き上がる前に、私は短槍を振り下ろし、確実に戦闘不能にさせた。


「さすがですね。リナ中尉!」


サンドラが笑いながらウインドカッターを放つ。


「油断するなよ!」


カール曹長が剣で敵を弾き、背後から迫ってきた槍兵をフランチェスカが一撃で吹き飛ばす。


「よし、押せる!」


アンジェリナ大尉が前進を指示し、私たちはさらに要塞の奥へと進んでいった――。


「ここから先は狭い通路が続く! まとまって進むのよ!」


アンジェリナ大尉の号令で、私たちは要塞内部へと突入した。


石造りの廊下は薄暗く、壁の隙間から射し込む光が戦場の埃を照らしている。この狭い空間では、魔法の使用が制限される。

下手な魔法を使えば、自分たちにまで影響が出る。


これは近接戦闘に優れた敵にとって有利な状況だった。


「先行して敵を引きつけます!」


フランチェスカが大剣を肩に担ぎ、前線へ躍り出る。


「待って、フラン! 突っ込みすぎると――」


私が止めるよりも早く、彼女は目の前の槍兵を一撃で吹き飛ばした。


「大丈夫です! 私が盾になりますから!」


……いや、フランの言うことも一理ある。


彼女のような圧倒的な防御力と近接戦闘能力を持つ戦士が先陣を切れば、私たちはその後ろから確実に敵を減らせる。

彼女には魔力がある。ただ、攻撃魔法の適正が無いから魔導士とはしてはイマイチだ。

しかし、彼女の場合、その魔力は全て防御魔法として使っているのだ。


「なら、援護する!」


私は「ヒール」を詠唱し、フランチェスカの傷を癒しながら前へ進む。


「よし、サンドラ、マリア! 私たちは敵の進行ルートを塞ぐわよ!」


ビアンカが鋭く指示を飛ばし、彼女たちはすぐさま魔法の準備に入る。


「アースウォール!」


マリアが土の壁を生成し、敵の移動を制限する。


「火魔法――ファイアーアロー!」


サンドラの火矢が、壁の向こうで足止めされた敵兵たちを次々に撃ち抜いた。


「いい感じ! リナ中尉、後方の回復は任せますね!」


「わかった!」


私は「エリアヒール」を発動し、小隊の負傷を最小限に抑えながら、さらなる進軍を支えた。



「リナさん、後ろ!」


フランチェスカの警告が飛んだ瞬間、私は身を低くした。


――次の瞬間、敵の剣が私の頭上をかすめ、壁に突き刺さる。


「っ……!」


私はすぐさま短槍を構え、敵の腕を払いのける。その隙に、カール曹長が素早く背後に回り込み、一閃。


「助かった、ありがとう!」


「リナ中尉が戦うなんて珍しいですね。最近は回復士に徹しているようでしたが」


カール曹長が笑いながら応じる。


「……回復士も、ただ見てるだけじゃダメだからね!」


私は再び短槍を構え、仲間たちと共に戦場を駆け抜ける。


要塞の最奥に近づくにつれ、戦況はさらに激しさを増していった――。


私たちは激しい戦闘を繰り広げながら、グラーデン要塞の最奥部へと迫っていた。


「あと少しで指令室よ!」


アンジェリナ大尉が叫ぶ。その言葉に応じるように、敵兵が最後の抵抗を試みてくる。


「敵の増援が来る! ここで決めるぞ!」


サンドラが火魔法を準備し、フランチェスカが大剣を振り上げる。


「おおおおおっ!」


フランチェスカの渾身の一撃が、突撃してきた敵兵を吹き飛ばした。


「ビアンカ!」


「わかってる!」


ビアンカが「ウインドブレード」を放ち、残った敵の陣形を崩す。


その隙に、私は素早く駆け寄り、倒れかけた仲間を回復する。


「エリアヒール!」


光が広がり、仲間たちの傷が癒されていく。


「リナ中尉、助かります!」


カール曹長が剣を振るいながら笑った。


「まだ終わってないよ!」


私は短槍を構え、敵兵の攻撃を防ぐ。


「リナさん!」


フランチェスカの叫びと同時に、私は体を反転させる。槍兵が突き出した槍を、私は紙一重でかわし、短槍で腕を弾いた。


「ハアッ!」


反撃の一撃を叩き込むと、敵はその場に崩れ落ちた。



「指令室を制圧した!」


王国軍の兵士が叫ぶ。


敵軍の指揮官は降伏し、要塞内の魔導兵器もすべて無力化された。


「……やった、のか?」


私は息を整えながら周囲を見渡す。仲間たちは傷つきながらも無事だった。


「勝ったぞ!」


フランチェスカが剣を掲げ、歓声が上がる。


私は肩の力を抜き、近くに居たクララの頭を撫でながら微笑んだ。


「……みんな、生き延びたね」


「ええ、もちろんです!」


クララが微笑む。


要塞奪還作戦は成功――したかのように思えたが……


次は19時台に投稿しまーす!

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