ルール 02
「うわああああああああ!!」
ビルから俺が落ちるのを見ながら、春波が叫ぶ。
「とりあえず壁を蹴ってみろ!!」
壁を蹴ったって落ちるだけだって!
俺はそう突っ込みつつも仕方なく蹴ってみた。
すると、いつの間にか左足も壁を蹴り、
左右交互に足が壁を蹴り始め、
いつの間にか俺は壁を走っていた。
「な、何これ!!!?」
「それが、多分お前の能力だよ!
様々な場所を超スピードで走る力。
即ち、超脚力だ!」
壁を走りながらう俺は思った。
これって凄い爽快感を感じる。
後ろに突き抜けていく風がかなり心地いい。
地上に降りた俺はそのまま走りぬけ、
そこでUターンをして今度は逆に走りながらビルの壁を上る。
行ける。今の俺ならビルも上れる。
そう思い、俺は思いっきり壁を上ろうとした。
しかし、直後頭から転倒した。
「馬鹿、そこまでの力は無いぞ。
重力の偉大さを覚えとけ」
そう言って春波が笑った。
俺は仕方なく階段で100階まで上った。
超脚力を身に付けた俺は
2分ほどであっという間に100階に着いた。
青柳がドアを開けながら言う。
「どうだ?分かったろ、自分の力が」
「はい、嫌になるほど」
そこで、俺は気になることを一つ聞いた。
「そういえば、青柳さんや由里さん、
そして春波の能力って一体何なんですか?」
「知りたい?」
そう言った途端3人はすくっと立ち上がった。
「いや、別に今はまだいいです!」
俺は何だか凄いことになりそうだったので聞かないでおいた。
青柳がまた、話を続ける。
「まあ、これで大体この電脳シティのルールは把握しただろ。
じゃあ、後は第二トレーニングを繰り返すだけだな」
「え、第二トレーニング?」
青柳がにやっとえくぼを作って笑う。
「そうだ、お前が今日やったあのエレベーター上り。
あれは俺が考えた物で、いわば第一トレーニングだ。
今度はあれの強化版を次のゲームまでにずっと続けてもらうぞ」
由里さんが振り向いてにこっと笑う。
「ちなみに次の第二トレーニングは私が考案したの」
その笑顔は、とっても綺麗だった。
でも、なぜか俺には鬼のように見えた。
ああ、何でなんだろうね。