トレーニング 02
なんやかんやで俺は誘惑に負けて、エレベーターに乗ってしまった。
そもそも青柳という初対面の男を信じられるわけもなかったし、
そもそもエレベーターは動くから付いているわけであって、
そもそも俺の脚はもう限界を迎えていたからだ。
100階のボタンを押して、閉じるのボタンを押す。
エレベーターの入り口が閉まり、通常通りに機能した
エレベーターは徐々に100階へと上がっていく。
ああ、やっぱりあれはハッタリだったんだな。
そう俺が思っているとエレベーターの天井から声が聞こえてきた。
「あーあ、乗っちゃったね」
その声が聞こえた瞬間急にエレベーターが止まった。
一体何が起こった?
今の声は青柳だった気がするが……
まさか気付かれた!?
焦る俺、迂闊だった、青柳がこのエレベーターに
乗るなと言った以上このエレベーターを見張っているのは
当然のことなのに。それを考えていなかった。
よく見ればエレベーターの隅には監視カメラがあり、
どうやらそれがどこかのモニターと繋がっているらしい。
青柳はそれを見ながら俺が来ないか見張って立ってわけだ。
青柳は残念そうに言った。
「階段で上ってこいとあれほど言ったのに……」
そんなに言ってない気もするけど。
「罰として一階までこのエレベーターを落とすよ」
「え!?」
俺がそう言った瞬間プッツンという音がして、
エレベーターがが自由落下した。
どうやら青柳がエレベーターのロープを切ったらしい。
そしてエレベーターは安全のために用意されたのであろうクッションに乗っかり、
俺は1階からまた100階を目指さなければならなかった。
「嘘だろ……?」
そう言って俺がエレベーターのドアが開くのを待った。
しかし、ドアが開く様子は無い。
何だか嫌な予感がした。
「違うよ、出口はそこじゃない。
天井を見てみてよ。そこから出るんだ」
俺は青柳の言ったとおりジャンプして天井の蓋のような
部分を空けて、そこからエレベーターの上に乗った。
そして上を見た。
遥か高いところに青柳がいる。
その青柳が恐ろしいことを言った。
「罰としてそこからロープでよじ登ってきてね!!」