廊下の灯
99話 廊下の灯
「コレは勝手な想像だが、門弟たちを買い取ってるのはトウメン国ではないかと、あのような小さな国が戦をおこして兵士が足りるとは思えんのだ」
「兵士集めもあって、あの国は周りからじわりと攻めてきてるのでは?」
「平民集めても、たかが知れてる。奴らは手強い西のタイホ―を攻めずに兵を手に入れるのに、買うことを選んだのではないかな……」
「そんなに、金があるのかあの国は?」
「おそらく魔性の者の国、本当のカネだか、わかったもんじゃない。金庫を開けたら木の葉っぱなんてな」
「かもな、あの国は魔人の持ち国だ」
「魔人の……」
「そういうことだそうだ、女将。報酬はそれなりにあるのだろ。私の弟子たちが力になるはずだ、そちらの、にいさんはどうしても良い」
「なんか、話を聞いてしまったら女将に同情するな、しかもあの道場が技泥棒と聞くとな。やるぜ女将、俺も手を貸す。じゃ酒代はいいな」
「ああ! 決まりだ。あんた、夕食には手を出さないことだ、痺れ薬で、動けなくなったトコへ、グサリだよ。今、代わりの弁当を作るわ」
町長の道場宿。
師匠おそいなぁ。
「戻ってきた」
「おお、まだ起きてたか……」
「なんだか、強い酒を飲んだらしい。彼が手を貸すと言ったが、よろよろしながら歩いて帰ってこれた」
「あ、すいませんスー・チーアルさん」
「ん? 俺、名前おしえたか?」
「道場に呼ばれたときそう」
「そうか、 おっあのボロ雑巾なヤツが戻っている」
「あなたの居た場所に食事が置いてありますよ」
アレは、痺れ薬入りか。いつ襲ってくるんだ、ここではないだろ。人も居るし。とりあえず、女将のくれた弁当を。アレは窓から捨てるか。
「坊さんが弟子たちとか……あれ、もう寝てる」
「居酒屋で何か食べたんですか。師匠の分、悪くなっちゃうな。食べちゃおうか」
彼らの分には薬はないだろう。
「技は明日披露かな?」
「ええ、そうです。今日はあのボロボロの人で終わりましたから」
「そうか、ヤツでな……」
ヤツは技を伝授したのか?
女将は明日の朝、敵討ちに来ると。
坊さん、この弟子たちがとか、言ってたが。俺より若い小僧に娘三人、それに小さい子供。本当に大丈夫なのか。まあいざとなれば坊さんも動くのだろう。
その日の夜中、俺は一芝居うってみた。
寝床の部屋から抜け出し道場の方に。
「お客人、夜中の出歩きは」
「ナニか、薬はないか? 腹が痛いは、手足がなんだかビリビリと」
「ちょっとまってて下さい医師に聞いてきます」
待ってね―よ、俺は見張りの門弟が行ったスキに奥に。
廊下を行くと深夜だというのに明かりがもれてる部屋が。
町長室と書いてある。
さすがに鍵がかかっているが、かすかに声がする。
町長の声では、ない。女?
誰か来る!
オレは天井へ駆け上った。
来たのは女だ。アレは女の門弟ではないな。娼婦のように見えるが。
トントントンドン
と、最後だけ叩き方が違う。すると扉が開いた。
「今日の町長は、お盛んよ。一人二人じゃ足らないらしいわ。もう体全体が性器よ」
「今夜は満月だからね……」
なに、ココの拳法は性交は御法度ではないのか。門弟には禁じて自分は、ということか?
女が部屋に入ったら、天井から降りて元の場所に。なんだと、そこに。
「おまえ、ドコへ行っていた。ここで待てと言われたはずたろ!」
覆面をした連中がオレを道場に追い込み。
偃月刀で、襲ってきた。
技が独特だ、こいつらはあの町長の配下か? 動きは道場で闘った連中とはまるで違う。
町長の暗殺部隊か?
幸い広い道場内、偃月刀を避けながら相手のスキを見て手首に手刀を打ち、武器を落とさせ奪った。
「貴様、腹痛で手足が痺れていないのか?」
「うぁあ痺れてて、たたいたら敵の武器が俺の手に!」
「何をふざけた事を!」
「とあっ!」
「ナニ、仲間が!」
「あ、ちょっと振り回したら。人を斬っちまった! どうしよう?」
「こいつを生かしておくな、やれ!」
つづく




