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町を出たら

93話 町を出たら


「おお、あぶないあぶない。毒入りかい」


「あなたは、天林寺のリュー殿ではないか」


「ご老人、知り合いでしたか?」


「私は一時期、天林寺に滞在していた変面師のメン・ミンともうす……」


「変面師の……? すまん、憶えがないな」


   ドタドタと、あの保安長が部下を連れて宿内に。左目の周りにアザが、誰かにやれれたのか。


「天林寺のリューって、あんた。リュー・ハイシンか? そんな男がこんなトコに」


「ホホホホホホホ、リュー・ハイシンだって、そんなのはウソっぱちだ。あの男はタダの伝説の架空人。おまえたち! 奴らに毒の料理をご馳走してやりな!」


「おー母ちゃん!」


 なんだか、開き直ったのか、連中料理を手づかみで投げてきた。

 そんな物が当たって毒にやられずハズもない。


 マダム・ヨーは後に下り、食事場から逃げ出そうとしたが。


「待ちやがれ、ここから逃さないよ!」


 リーさんとチャオが裏から。


「小娘め、マダム・ヨーをなめるんじゃないよ」


「マダ厶・ヨー? 何者かは、知らないがあたしの剣をうけるがいい!」


 カンカンカンカン


「この、九節鞭をうけよ!」


 九節鞭とは、鎖のような武器で、その先には短剣が。


「そんな物は子どものオモチャだょ!」


  カキーン


 九節鞭が弾かれ、リーのもう片方の剣がマダム・ヨーの手首を斬った!


「ヒイッ! 手が」


「手首が武器ごと飛んでった! 次は、あたいの大河酔拳!」


「ハァッ!」


「ヒィ! 貴様ら、なんでウチの宿を?」


 マダム・ヨーは片手でチャオの攻撃をうけるが。


「さぁ、なんでかな。自分の胸に聞いてみな!」


「痛ったたた! 何処を掴んでいるんだ!」


「秘技おつぱい搾り!」



「さて、保安長さんよ。この宿は、殺人罪も含めいろいろな悪事をはたらいてる、逮捕願おう」


「あ、ああ……おい、抵抗した連中を逮捕だ!」


 ボクらにヤケクソでかかってきたマダム・ヨーの息子たちを含める宿の連中をボクとリァンに師匠が倒した。


 保安長の部下がそれをしばり上げる。


「ここの連中を捕らえたら……私の生活は……」


「あんた、保安長なのに一宿に、雇われてたのがおかしいんだ」


 馬のかける音がして。


「シショー! 連れてきたよ」


 と、ニュウと一緒に入って来た出っ腹の中年男は? 


「よし、ご苦労だったなチビスケ。よくぞ、まいられた町長どの」


「ほお、町を牛耳ってた悪党どもを捕えたとか。でかしたぞ保安長。コレからはあんたは役所で働いてもらうよ」


 この町長も、この宿の連中には手をやいていたんだろう。




反対側の女将の宿。


「料理人の毒殺の件も奴らは吐いた。これで、ウチも安心して商売が続けられる。ありがとうね皆さん、旅立ちの前に美味しい物を食べっていって」



 町から少し出た荒れ地。


「あの女将、食事代も宿泊代もとらなかった……」


「大分、旅の資金が減ってきてるから助かりましたね師匠」


「良事は金にならんと言うが、それなりになってるもんだアロン。いくらでもするがいい」


 あの悪徳宿から、馬を取り返したのでボク以外は馬。リァンとウーサイは豚車、なぜか、歩くと言ってたニュウは、僕の肩の上だ。


「ニュウ、鍛えるならお前も歩け!」

「さっきまで歩いてたらマメが出来た!」


「ヤワな足だなぁ」


 まあ子供の足だし。


「師匠、平和な県都へは向かわないんですか?」


「県都は、つまらなそうだからな。さらに西を目指す」


「と、言うと断崖にあるというグァイビの町ね」 


 盗賊の馬の鞍から簡単なタイホーの地図が出てきた。それを見ながら。


 無法地帯と言われる県境近くを通るコトになるが、県の南より北の方が剣客やら武者修行者、わけあり武術家であふれているともナボンの町で聞いた。

 人は悪北良南と呼ぶそうだ。


「おお、なんか来たぞ」


「ええ、アレは」


「たしか、吟遊詩人とかいう西方の女」


「おお、よく憶えてたなチャオどの、たしか、名前は……」


「こんにちは、また会いましたね」


「おう、そうだローラ・レイ殿だ!」


 ローラ・レイは相変わらず鎧を着たようなオオネズミの背の椅子に日傘をさし乗っていた。


「また、すれ違いか。残念だ、いつかそなたの歌を聞いてみたい」


「それなら、このあたりで休憩をテントを張ってお茶でも飲みながら……どうです」


 そう言ってローラさんは、鎧鼠から降りると椅子の後の荷物を降ろし。


「手伝いますローラさん」

「ありがとう」

「テントってなんです?」


「布と木の骨組みで作る日除け、雨よけになる布の小さな家みたいなものよ」


「チャオ殿やリー殿、焚き火に使う石を集めてきてくれないか」


「あいよ」


「師匠、湯沸かし鍋もいるわね。ウーサイ、荷台のどのあたり?」


「下じゃないよ、ホラぶら下がってるだろ」


 家型にもなるらしいが日除けが出来ればと日陰が作れる形に。その前に石で簡単な窯を。


 湯が湧くまでの間にローラさんが名前も知らぬ弦楽器で歌を。


♪しあわせ〜もとめてぇ 旅する わたしは 雨の荒地、風吹の砂漠。一人ゆく〜のぉ〜まだまだ旅はおわらないのぉ〜よぉ〜はぁあああ

 ドコまで行くのだろ〜ふぅうううう……そして新しい朝がくるわ……♪ 


 美しい声の歌が終わる頃に湯は沸き、お茶を作る僕。


 ローラさんは、緑の瞳でボクを見て。


「美味しいお茶ね。コレはなんていうお茶?」


「ジーフイ茶といいまして、頭が良くなるお茶と」


「え、そうなのアロン。わたし、はじめて聞いたわ」


「リァンは聞かないから、言ったことないんだ」


「そうだっけ」


   ズバァーツ


「ナニッ! テントの布が切られた!」


               つづく

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