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最後に晩餐

92話 最後に晩餐


 今度は小斧を両手に持った男が出てきた。

 手首を斬られた男は、後退した。


「こいつで斬られると痛いぜ!」


「あんたたち、わたしらを売ると言ったわね、傷物にしたら値が下がるんじゃない?」


「お、そうだよな兄ちゃん」


「バカ、なんでオレを見る」


 小斧男が後ろの兄を見た瞬間に前に出て、リアンを高く上げ、男の顔面に蹴りを入れさせ、ボクはかかとの方から足払いをかけて倒した。

 倒れた男の顔にリァンが着地で二発目。

 素早く彼女を上げて、元の位置に戻った。


「バカヤロ! ナニやってんだ! 傷物にしていいから、こいつらやっちまえ!」


 あの深夜に来たチンピラたちに混じって宿の雇われ人、使用人たちも。


 ボクはリァンを肩に乗せ、素早くあのチンピラどもを見つけ叩き倒し、片手の男を背後から締め上げた。


「使用人の皆さんは、好きで悪事をしてるわけじゃないでしょ」


「く、苦しいぃ」

「このおっさんを殺すのは簡単だ。あなたたち、闘いなれしてない方々は、もっと簡単だ。武器なんか使えないだろから、置いて去れ!」

 

 使用人たちは、武器を捨てた。



「まったく、不甲斐ない息子たちだね」


 宿の扉を開けて派手々な服着た女が。


 この女が、マダム・ヨーか。


 キレイな服で着飾ってるけど、なんでこんな深夜に化粧まで。


「着替えてたら、息子たちがのされてて。長男は首しめられて……ゴン、なんだいこのざまは、だらしがない」


「か、母ちゃん。たっすけ……苦し」


「厚化粧に時間をかけてるからこうなったのよ。バケモノババァ」


「まったく……」


 マダム・ヨーの目が動いた。


 飛刀が。

 ボクは思わず片手の男を盾に。


「グアッ!」


 連続で三刀、投げたのはあの仮面の男か。


 面が悪そうな笑みに変わっている。


「お客様、飛刀は三本と……」


 ナニ、肩車してるリァンの胸に飛刀が刺さっている。


「仮面の男! わたしをあまくみないでよ」


 リァンが飛刀をぬいた。

 あのヤロー、リァンにっ。


 男は飛刀を投げ始めたが、そんな物は当たらない!


「え、上!」


「ナニよ、あいつ女を乗せたまま跳んだ!」


 背後に着地してリァンの両足を持ち回した。

 飛刀を持ったリァンは仮面の男を刺した。


「お返しよ、急所は外したわ。死なれちゃ困るから」


「なぜ、正確に心臓を狙ったのに……」


 動きが鈍った男の背を蹴り倒し背に足を乗せた。


「ひと蹴りで、あんたの頭を砕いて一生廃人に出来る」


 と頭を掴み上げ仮面を取った。


 おや、この人はいくつだ。いい老人じゃないか。


「あ、この人。見たことある。ウチに来た変面師だ」


「ああ、コレは見事な腕前。御夫婦ですか、もしよろしければ、ウチの宿で用心棒を」


 手をたたきながら女将マダム・ヨーが。


「なったとしよう。でも、いずれボクより強い客が現れて、この男のように……。こんな悪どい宿の用心棒なんてやる気ない」


「では、お詫びにお食事を。聞けば、予算の都合で粗末なものしか……さぞ、おなかも。おい、いつまでのびてるんだ、使用人ども料理の仕度を!」


 なるほど、この流れでボクらを毒殺か。

 わかりやすいヤツらだな。


「リァン、ケガは大丈夫なのか?」

「大丈夫よ、コレのおかげで助かったわ。でも、中の鏡が破れちゃたけど」

「なんだいそのまるいのは?」

「お母さんに十五の誕生日にもらってから、はだにはなさず持ってたの。西方から来た商人から買った化粧道具でラミパスっていうのよ。でもコレ、直るかしら?」


「インアルに帰ったらランさんに聞いてみよう。あの人なら直せるよ」



「アレ、子どもがいたんじゃなかったか?」

「そうなのかい、何処に?」


「娘は先に逃がした、この宿はヤバそうだったからな」


「さすが……」


「仮面のおじいちゃん、あんたが用心棒を断ったらどうなるか見せてやるよ」


 使用人に綱を持ってこさせて、変面師の老人を縛りあげた。


「あ、チンライとか言ったな、娘は」


「はい、馬に乗せ無事逃がしました。あの子は何処へ?」


「さて、ドコかな」


 しばらくするとマダム・ヨーが。


「お食事の準備が出来ました。どうぞ中に」



 食事場に行くと魚やら肉やらが、見た目はどれも美味そうだ。


「女将。この変面師の用心棒に、今までの働きにご馳走してやってくれ」


「いや、わしはいらん! 腹など減ってない」


 このジイさんも毒殺のコトは知ってるのか。


「そう言わず食えよ。な、女将。何がおすすめだ?」


「そうだね、肉や野菜も美味しいけど、海魚の煮物が絶品です」


 さて、それは毒入りか、それとも別の物か。


「絶品だってさ、ジイさん。冥土の土産に食べておけよ」


「い、や〜わしは、いらん」


「大丈夫さ、あんたも長い間用心棒をご苦労だったね。なんだね、お若いの毒でも入ってると思って爺さんに毒見かい。大丈夫だよ、ほら」


 と、女将は爺さんに箸で魚を口に。


「美味い、こんな美味い魚は初めてだ!」


「そうか、じゃボクもその魚を」



「ペっ、食ったな小僧!」

「ぺっ、あんたと同じ食ったふりをした」


 女将が目でジイさんに合図したのを見逃さなかった。なにかあると思ったが。


「この毒は腹の中に入らないと効果がないのかな口の中へはジイさんしっかり入れてたけど……」


「バレちゃ仕方ない!」


  ドンドンドン


「夜分遅くすまん、誰かいないのかぁ泊まりたいんだが」


「取り込み中だよ、コン。追い返してきな!」


「はい母ちゃん」


「おかしいなぁ明かりが灯ってるから……」


 ドカッ、扉が蹴り破られた!


「なんだ、てめぇは坊主」

「ナニ、後ろの女たちは!」


「誰だい、おまえたち知ってるのかい?」


 ボクはもちろん声でわかってた。


「これは、晩餐の最中で。美味しそうだな」


「ダメです、師匠。そいつは毒入りだ!」


               つづく

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