誕生会
86話 誕生会
「おお、アロンさん。帰って来たのか」
門の前から見てたら馬車が見えたので走って行くとやはり。
「アロン、お帰り!」
馬車から飛び降りリァンがボクにしがみついた。
足でボクの腰に挟み込み。腕は首に巻き付き頬は顔に。
「アロン無事で良かった心配したんだから」
こういので、皆に誤解されるんだよな。でも、悪くないけど。
「リァン、いちゃつくのは、家に帰ってからにして」
「あ、ランさんも行ってたんですか」
「ああ、遺跡の方にも行ってみたんだ。たいした物はなかった」
「久々にトビネズミのデカイのが獲れたよ」
と、センさんが大きな犬くらいのトビネズミを見せてくれた。
「今日はご馳走だよ」
「期待してます。夕方にはリーさんたちも腹すかして帰ってきますから。喜ぶと。今日はランさんの誕生日で…」
「こら、アロン。ソレは言っちゃダメ」
「え〜そうだった? 忘れてた。ボクはいくつたになったんだ……」
「誕生会、秘密だったのよアロン……あら、なんか股のあたりに硬い物を感じるけどアロン……」
「リァンがあんまり締めつけるから、あとボクの胸にリァンのおっぱいが……マン・ケイになんか習った?」
バシッ
リァンにひっぱたかれた。
そしてリァンが馬車に乗り、手綱をとり。門の方に。
置いていかれた。
晩餐。
「やっぱ、カナさんの料理は一流だ。どこで食った料理より美味い! なあアロン。ん、おまえ頬が腫れてないか?」
「いや、物が入ってるんだ。やっぱりトビネズミの肉は美味いなぁ」
なんでだ、普通は叩かれたり蹴られたりしても、なんともないのに。
リァンのは効いた。いまだにヒリヒリする。
リァンを見ると、なんだかコチラをさけてるような。怒ってる?
「あ、思い出した。ボクは、今年で十七だ。ね、アン」
「はい、わたしの誕生日も、十日後で。お嬢様と同い年ですから」
「そうだった、カナ。十日後にも誕生会やろう!」
「いえ、わたしはお仕いする身ですから」
え、ランさんは、ボクより年下だったんだ。マン・ケイのときほどではないが、驚いた。
あの西方眼鏡のせいか、年上に見えた。
「マン・ケイ、師匠はまだ?」
「おそいなぁ。いい女でも見つけたんでしょうか? あの狐のネエさんとアルさんがぬけてから、あそこの娼館の娼婦は落ちたと言われてましたから、私もしばらくは……」
「え、マン・ケイ。娼館へ行ってたの」
「あ、ソレは技をみがくためだスウー」
「技?」
「ここでは言いにくいから、食後部屋で。私は師匠の弟子だから……」
「武術の稽古に娼館へ行ってるわけ?!」
ソン・スウーは、マン・ケイより年上らしい。なんだか、もう尻にしかれた感じだ。
「スウーさん、マン・ケイは、ボクらとは違う系統の技人で武術とはまた違うコトを師匠から習ってるんだ」
「そうなんですか。で、なんで娼館なんです……」
しばらくしてスウーは赤くなって、話をそらした。
あ、わかったのか。村では嫁にいく歳だろうし。
一方、夜道を歩くリー・ハイシン。
「私をつけて、どうするつもりだ」
「私に感づいたか、坊主!」
「ほう。なりは人だが、あんたはいつぞやか山賊をしていた女狐ではないか。何しに、こんな所に。私を追ってきたのか?」
「なぜ、坊主を追う。わたしゃ宗教には興味ない。ちょっと用があり、この町に来てみりゃおまえが居てな。近くにあの小僧も……」
「アロンに興味があるのか魔天狐とか言ってたな。あんたは魔天十三魔王とか、言うののひとりらしいな。この町に用があると。もしかして姉にでも会いに来たのかな?」
「なに、おまえ姉を知ってるのか!」
「ああ、テルーと言う名でそこの娼館で働いていたわ。最初は人の気を吸い上げようとしてたがな、私が逆に吸い上げたらおとなしくなってな。可愛いやつだったが……」
「ナニ、魔天狐の気を吸い上げただと、おまえは何だ。人か?」
「人に決まっておろう。私がバケモノに見えるか? あんた。床技を知ってるか? 極めれば女の気も吸い上げられよう」
「ナニ、理由のわからんことを! で、姉はどうしたんだ。まさかおまえが食ったのか!」
「だから、バケモノではないと。おまえさんらみたいに人など食わんわ」
「わたしらも人間などという不味いもんは食わんわ」
「あんたの姉さんな、天狼のシリスとかいう魔王のひとりと外国に逃げたぞ。おかげで私は寂しい思いで……。そうだ、あんたも姉さんみたいな床技の持ち主か、またあの女狐の色っぱい姿を見せてくれ」
「ナニ……姉が、シリスと逃げた……まさか、こんなとこまで来て」
「聞けば、二人は恋仲と聞く。こんな所より静かな地を求めて旅立ったのだ。純愛ではないか。邪魔はいかんぞ」
「人間の分際でわたしに説教か……地獄を見せてやるわ坊主!」
「いや、私はあんたに極楽を見せよう!」
つづく




