アロン帰る
85話 アロン帰る
「アロン、アロンが帰ってきた!」
町に入ると、散歩の途中というマン・ケイに会った。肩車されているニュウ。
二人の横に。やや、ぽっちゃりした娘が。
誰だっけ?
「あ、アニキには紹介してなかった。でも、彼女はアニキを知ってるよ」
って、誰だ?
「彼女はチャオの居た様子江の村の娘でソン・スウーだよ」
「ちゃんとお会いするのは初めてですソン・スウーです。よろしく。アロン様」
「彼女、昨日この町に着いたばかりで。案内してるんだ」
「スウーはマンケーを追ってきた!」
「違うわ、ニュウ。マン・ケイが村に忘れ物をしたから届けに……」
「マンケーのパンツだ! アロン」
「なるほど……。スウー、アロン様はやめてくれ、アロンでいいよ」
「アニキ、何がなるほどなんだ?」
「いや、ソン・スウー。ゆっくりしていくんだろ。なんなら、ずーっと居てイイぞ」
「ホラ、アロン様も……」
「でも、師匠は女連れは修行のたまさげになると」
「玉下げ? マン・ケイ、それを言うなら妨げじゃないか……。しかし、師匠は王都に行くときに女連れだったぞ」
「え、師匠が!」
「ああ、凄く美人さんだった。後でわかったんだけどリーさんの母親だとわかったんだ」
「王都へ行くときに、そんなことが初耳です」
「ニュウも初耳!」
「あ、リーさんたちも直に帰って来るカナさんは家に居るかな?」
「いいや、カナさんは旦那さんと狩りに出かけたよアルとリァン一緒に。今夜はご馳走を作るらしい。ランさんの誕生日なんだ。楽しみだなぁ」
「ソレはめでたい! 師匠は?」
「多分娼館じゃないかと……ホラ、狐のねえさんが出ていちゃたから、寂しんだよ」
「そうか、もうひとりの狐女は、現れないか?」
「山で襲ってきた……女だよね。見ないな。見たのかい」
「いや、ぜんぜん。あれ以来姿を見せないなぁと思い」
「わからなくもないよ。あの女狐妖怪は美人だったからな……」
「マン・ケイじゃあるまいし。そんなんじゃない」
「マン・ケイの周りは美人さんばかりで……」
「いや、違うよスウー。師匠の周りが美人ばかりなんだ」
あの女狐も魔王のひとりと聞く。もしかしてメントウのラゴウという奴と組んだら、また戦うことに。
とりあえずボクは、ラン・ミーレン邸に戻った。
「あ、アロンさん。お帰りなさいませ」
「アンさん、ただいま。今夜はランさんの誕生祝いなんだって」
「はい、何処でソレを」
「町に帰ってすぐにマン・ケイたちと会って。聞いたんだ。夕方にはリーさんやチャオたちが腹をすかして帰って来るからソレを知らせに先に帰って来たんだ」
「そうですか、母たちが荒れ地へ肉類の調達に。なんでも最近オオトビネヅミが獲れないと」
「なるほど、戦のせいだと思う。でも、もう。あっちの戦は一段落ついたから、ヤツらも戻ってるかも……向こうの葬儀屋のおっさんが言ってたが向こうではハネネズミって言うそうだ」
「向こうの戦が終わったんですか?」
「とりあえず……が、まだ火種のトウメン国が」
「そらそろ帰って来る頃ですよ母たち。門の方に行ってみたら」
と、いうわけでボクは門の方に。入るときに居なかったシン・ユンシー隊長が。
「これは、アロン殿。戻られたと今、門兵に。あちらの様子は?」
「まだ、伝わってませんか? 華中軍が苦戦の末、県境を守り敵の主力兵を倒して今のところ県境は静かに」
「あなたたちの加勢は効いたんですかな?」
「いや、行ったら終わってました」
「また、謙遜しなさんな。昼頃に荒れ地で妙な連中を捕まえてな。トウメン軍の兵だというが皆、裸で。理由を聞いてみれば、敗戦し引き上げる途中に華中の残党狩りにあい。裸に、され。町まで走らされたと……まあ完全にウソとわかる言いわけをしてた隊長の男だが、詳しい話は下兵に聞いたよ。聞いてすぐにわかった。アロン殿たちの仕業と」
「そ~ですか。謙遜とか言ってましたが、戦で何も出来なかったはらいせで敗戦兵を」
「チツチツチツ、戦での活躍も聞きましたよ。まあ、ここでの活躍もトッケツと、私らのおかげにしてくれた、あなた方ですから」
「おお、隊長殿。そこに居たか」
「これはトッケツのソー・ムンラン殿。今、噂を」
「お、小僧。話は聞いたぞ。 隊長殿、私らは明日、町を出て村に帰る。村だってトウメンに狙われているからな。東の戦の失敗で、またこちらに来る恐れがあるからな」
「トッケツの情報は早いですな。では、門の方へは」
トッケツが町から。
たしかに遠くを先に攻めるやり方が失敗すれば。
近いうちにこちらに。
つづく




