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オアシスの村

83話 オアシスの村


 帰りはゆっくり徒歩でインアルの町へ向かう。


「ウーサイ、そのブタなんかヤセてないか?」


「来るとき走ったのと石つぶてを飛ばしたろう。そのせいじゃないかと。アレは思ったより体力を使うみたいだ。それに、ろくな物を食わせていないからな。インアルについたら褒美をやるつもりだ」


 ウーサイって、自分も変えられるが扱う動物も変えられるんだよな。

 初めてのときに襲ってきた大猿なんか中に入って操ってたし。

 ボクが死んだら、この体に入るのか。

 なんだか変な気持ちだが、そのときはボクの意識はココにない。

 なら、いいか。


「アロン、どうした? 暑さにやられたか? それとも残してきたリァンのコトでも考えてんのか?」


「いや、ただボーッとしてた」


「まえから気になってたんだが、リァンはアロンの女か?」


「あたしもだ、アロン」


「違うのかアロン。俺は、はじめからっ女だと思ってたが……まあアレは気が強そうだから尻に敷かれるぞ。女房にしたら」


「あら、もう敷かれてない。アロン」


「いや、別にタダの姉弟弟子関係ですから、彼女の方が先に師匠に指導を……」


「だから尻に敷かれてんのか。姉弟子か。まあ俺の好みじゃないが可愛いからいいじゃないか、別に門弟同士の恋愛はご法度じゃないんだろ」



「グッピーは、どんな女が好みなんだ?」


「こん中なら、あんただが……。俺は外国へ行って嫁を探すつもりだリー」


「あたしは自分より強い男を旦那に。ガキの頃からずっと……。そう言えばオヤジは結婚は……。 母だというインスウは妻ではなかった? でもインスウなら、オヤジより強くて賊の中では一番美人だった……」


「なんか、あんたんとこ複雑そうだな……」


「槍のグッピーは、本名も何も知らないが……」


「そうだな、知ってるのはチャオの兄さんに負けて準優勝だったことだけだ」


「アロンにも負けたぞ」


「あ〜おまえら。そんなコトしか……。まあそうだが、名前を知ってりゃいいじゃねーか」


「あたいは酒の席でグッピーがボヤいてるのを聞いたぞ。グッピーは槍の師匠の娘に手を出して破門になりかけた……」


「ウーサイ、俺そんなコトを言ったか?」


「ああ、酔ってな。子供の頃は棒持って女の子をイジメてたコトも」


「アレは……好きな子に近寄れず棒で。子どもの頃の俺はうぶだったんだよ……。あのなぁ俺から見たら新参者の俺は、おまえらみんな謎だらけだ。ひとのことをどうこう言う前に自己紹介でもしろや」


「今さら面倒……だよ、気になったら聞けばいいわ。名前がわかれば十分。グッピーの身の上話とか聞きたくないわ」


「身の下話ならいくらでもしてやるぞククククク」


「へんた〜い!」


「腹減ったな、なんか食べ物ない?」


「おまえの下にデカいのが居るだろ」


「こいつは食い時じゃない。さっきも言ったが痩せてきてる……」


「来るとき、走りすぎたが、この辺に村があったよな」


「あった、あった」


「荒れ地のオアシスみたいのが。湧き水の池の周りに数軒並んでたな」


 そろそろ見えてくる頃だ、おおあのくぼ地だ。


「おや、村がなんだか様子が変だ。人が外にたくさん見える」


「なんか、変だぜ。アレは兵隊じゃないのか、それもトウメンの兵服だよな……負け戦で逃げてきたのか」


「裏にまわって様子をみるか、あっおいウーサイ」


 ウーサイがブタと共に村の方へ。

 ボクらに手を上げた。


 ウーサイにまかせるか。



 ブヒィ


「なんだ、このブタは? その上に乗ってるガキは……」


「どうした?」


「隊長、ブタに乗った女のガキが。あっ立上がつった」


「そこのおまえ、聞こえたぞ。今、ガキと言ったな。あたいは背が、低いだけだ。この身体を見ろ、ガキの身体か! 」


 おおーっ


「隊長、違いました。ブタに乗った背の低い女です」


「なに、背の低い女!」


 池から隊長と呼ばれた男が裸で上がってきた。


「タクとレン以外、池で涼め!」


「おおーやった!」


 兵隊どもが服を脱いで池に飛び込んだ。


「あの、隊長さん。池は生活に使ってますから、汚さないでもらえます」


「大丈夫だ、二、三日すればもとに戻るだろ」


「おい、あんた。真っ裸でナニ偉そうにしてる。ブタが水を飲みたいんだ。どけてくれないか」


「偉そうにしてるんじゃなく、わしは偉いんだ。こんな立派なのを見たことあるか? おいマイロ、パンツを履かせろ」


「ハイ」


「その、胸の下も見たいもんだな女。いくつだ?」


「二百と二十くらいかな、くわしい年は忘れた」


「二百だと、おまえはブタに乗る天女かなんかか?」


「天女……ちょっと違うが、そんなもんだ。水飲ましていいか」


 池まで行くと村の連中が水浴びをしている兵隊たちを恨めしそうな顔で見ている。


 こいつらも、そんな目で見られてよく馬鹿騒ぎして水浴びをしている。


 普通の村人じゃなかったら、おまえら呪い殺されるぞ。


「おい、女。一晩どうだ。美味いモンを食わしてやる。そのブタなら宴会も出来そうだ」


「なんで、あたいのブタでおまえらが宴会する」


「おい、そのブタが食ってんの俺たちの服じゃねえか」


「こら、そんな汚い物食うな。腹壊すぞ」


「やめさせろ女、ココから出られなくなる」


「もう遅い半分以上食ってる。塩味が効いてて美味いそうだ」


「隊長、なんとかしてください!」


「おい、女。ブタに食うのをやめさせないか!」


「あと少しだ待ってろ!」


                つづく

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