三つか二つ、どちらがいい?
82話 三つか二つ、どちらがいい?
「風呂は良いなぁアロン」
「ですね。この生ぬるさがちょうどいい」
グッピーさんと風呂に。
混浴ではないので女性は隣の風呂に。
ココは男女の入る風呂の大きさがぜんぜん違う。女風呂は男風呂の半分以下だ。
「熱からず、ぬるからず。ずーっと入っていられる」
そこに二人の男が。
「良かったな、中央があの外道国をやぶり、このハイサンを取り戻したらしいぞ。さっきな港で中央兵が来て、残党狩りをしてた。まあほとんど荒れ地に逃げちまったらしいが」
「そうか、まだ遺跡の塀の向こうに居ると聞いたぞ。新しい部隊が来るのを待ってるとか」
「まだ、ヤル気かね。いいかげんにしてほしいな」
本当に戦場はこりごりだ。
「そうだ、武術大会に出てこなかったチャオの兄はドコ行ったのかなぁ」
「俺みたいに海外に行くこと考えて国を出たかもな。ヤツは闘う相手をなくしたからな。しかし、俺の場合は、おまえが現れた」
「グッピーさん、ボクはやる気は、もうないよ。アレは師匠に言われ仕方なく……」
「ああ、俺もやる気はねぇ。おまえ、この世の者じゃねぇからな」
「人を幽霊みいに言わないで下さい」
「幽霊じゃなく怪物だ」
「どっちもイヤです」
「キャアーヤダ、やめなさいよチャオ! そんな大胆なかっこうして」
「また、女性たちが騒いでる」
「またって、いつもああなのか」
グッピーさんが女風呂の壁に耳を。
「今、女の声がしたな。ソレも若い」
後から入ってきた二人組みも壁に。
「ウーサイ、またおっばい大きくなってない?」
「おい、この風呂は下に壁がないぞ」
「ってことは潜れば女風呂に……」
「あんたら、隣の女たちは俺の連れだが潜って向こうに行ったら多分、殺さされるぞ。良くて半殺しだ。俺なら行かねぇ」
「あんたの連れはそんなに強えのか?」
「ああ、強えなんてもんじゃねぇ。三人居るが、三人で軍隊を全滅させた。あんたらが話してたハイサンを取り戻したのは隣の女たちだ」
「そんなバカな……。女三人で」
「試しに腕を入れてみな、なくなるかもな」
ふたりは顔を見合わせて。
「俺、ちょっと潜ってみる」
と、頭から湯に入ったひとりが。
「ギャー!」
足が出てバタバタとやりはじめた。
そしてしばらくして頭が。
「ぷっふぁあ……死ぬかと思った」
と、腕を出すと手首が赤くなってる。
「この腕掴んだ女はどんだけ力が……」
「だろ、命があっただけめっけもんだ。にいさん」
「ああ、頭出したらどうなってたか……」
「目をつぶされてたかもな」
「出るか、この腕のアザをつけた女と会ったらまずい」
「ああ……。俺、潜らなくて良かった」
夕食時。
「あんたたち、ちょっと腕見せて」
「あ〜っホラ見ろ。アレは俺たちじゃないぞ、なぁアロン」
「なるほど、あんたたちは女湯を覗きに入った奴を知ってるのね。なんで、止めないのよ!」
「止めたさ。そんなことをしたら殺されるぞと。なあアロン」
「うん、でも聞かなくて……」
「よっぽど、そっちへ行ってやろうかと思ったわよ痴漢を捕まえに……」
「行ったらこっちの裸見られちゃうわよって、あたしチャオを止めたの」
「ヤツの顔と特徴は?」
「腕を女湯に入れただけだろ許してやんなよ」
「まあ……。裸見たら目玉をくりぬいてやるつもりだったんだけどね、まあ未遂だから許すか」
思った通りだ。
チャオならやりそうだ怖い。
「知ってるか、アロンの目は怪物級で風呂の壁がな、透けて見えてたんだぞ」
「そういうウソはやめてくださいよグッピーさん!」
「なに! ほんとか、アロン。あたいの胸はいくつだった?」
「だから、ウソだよ、チャオ。胸は二つだろ」
「あ、やっぱり見た。あってる」
「あたりまえのことだチャオ。三つ有ったら化け物だ!」
「じゃ、あたいは化け物かアロン」
と、ウーサイが前を広げて胸を見せた。
「マジかよ!」
「目が飛び出してますよグッピーさん。アレはウーサイの゙手品です」
あいつは、胸や尻を自由に変えられるらしいが手品にしておいた方が無難だ。
「本物かと思ったぞ……。しばらくご無沙汰だからな。アロン、今夜どうだ? 娼館」
「そんなカネありません。明日は師匠たちの所へ帰ろう」
「なら、俺一人で行ってくるかぁ」
夕食終えたら、彼はホントに店を出ていった。
「アロン」
「なんだ、ウーサイ?」
「三つと二つ、どちらがいい?」
「やめろウーサイ、こんなとこで、出すな!」
つづく




