県境の戦い2
74話 県境の戦い2
ハイサン県県境。トウメン国占領地。
ムサンの町。
「グァン・カン、非道いやられようだな。自慢のヒゲまで半分に」
「妙な武器を使う女と剣技のたしかな女が、わたしを目のかたきにな。まあ所詮人間。次はまとめて八つ裂きにしてやるわ。ヒゲの代償は大きい……」
「ちょこまかとした、鎖玉の爺さんがウザかったがタタキ飛ばしてやったわ。アレは骨折し、もう戦場には出れまい。甲冑で、中がまるで見えなかったのが居たろう、アレは意外に動けていたが剣を折ってやったわ」
「棒の坊主が、居たからてっきりコーメイのインアルで闘った坊主かと……」
「で、その坊主は?」
「違ってたが、手強い坊主だった、百年前では、坊主が武器など持たぬものだった。気をつけろよインアルの坊主はただ者ではない」
「弓の達者なのも、居たな。あれもやっかいだ」
「ああ、目でも射抜かれたらあぶない」
「そうだ、ルファの奴がもう一人よこしたと。知ってるか?」
「いや、戦の最中は見なかったが?」
「誰かな……十三魔王、まだ見てぬ奴も何人か居るが……皆、気まぐれだ。ラゴウと組もうという奴も少ないだろ、俺たちみたいに。俺は戦どうこうより闘えれば楽しい」
「が、戦は勝たないと意味がない。戦って勝つのが良いんだ。次は負けられん!」
トウメン国玉殿。
「ルファ、やつら苦戦してるようだな」
「まあ、グァン・カンは、古い戦バカ、グァイ・レイは、喧嘩バカだからな。ちゃんとした軍師もおらぬ軍隊。進行が早すぎはしないかラゴウ」
「まあ、小国から立ち上げた軍隊だ。人材不足も仕方あるまい。だが、平和ボケしている華中だからな、華中を治めたら北方を攻めるつもりだ」
「平和ボケねぇ。ソレが余裕で武術が発展し、野に武術家がはびこってるのよ、ラゴウ。そういった連中も油断ならない。出来れば味方に。あせらずジワジワと……」
「確かに有能な人材は戦に必要だ」
夜が明けると県境に両軍並んだ。
「敵は小国ゆえおそらく兵士の補強はろくに出来てまい。昨夜のうちに近県から兵を増強しました」
「その兵は昨夜にここに……。将軍、ひとまず彼ら休ますべきです。折り合いを見て負傷兵と交換で」
「そうだな……」
「レンク老、無理をせずに」
「ヤンよ、お主が言ったのだ。死ぬまでは負けていない。戦うぞ」
「しかし、そのケガでは」
「あなどるでないヤン・クアンウ。おい、弟子ども!」
「ソレは……」
「車座椅子だ、戦場では弟子たちが押しまわすでな」
「グッ」
「おお、あったか。大剣、そいつは良かったマン・チュエン」
「昨日はあと少しだった今日こそはヤツの首をとってやる、行くぞレアン!」
「ああ、ジドゥ。弟や仲間の仇を」
「たのもいですなヤン殿。援護頼みますぞ」
「まかせろ、ラ・カン。今度こそ奴らの目を射ぬいてやる」
やつらは昨日と同じく、ずらりと。
あの魔人将も前に。
「てっ!」
まだ、使える大砲があったのか!?
先手をとり将軍が先に一発を。
ドガーン
なに、一発で暴発!
今の大砲が号砲一発となり、両軍が動いた!
「昨日のようには、いかんぞ! おう!」
斧を二、三回振り回したトコで、片腕のキズがうずき出した。
「グッなんの……」
ろくな、治療してねーからか?
「がっ」
長槍が腹に!
「このヤロー! ぐっ」
今度は後ろからか。
「やれっ!」
「がぁああ」
「やったぞ、片腕を殺ったぐっ!」
「ロ・ツウシン!」
ちくしょう。援護出来なくてすまんロよ。
おい、馬だ。やはり前に出なくては。
馬上から、奴らの目を。
「はぁっ」
「小ざかしい女どもめ!」
「うぉーっ」
あ、ジドゥ危ない!
槍のような大刀が、すぐに回転しもどった。
あんな重い武器を軽々と。
「ぐわぁっ、いまだ!」
腹を斬られたジドゥが袖口から小剣を飛ばした。
「ナニ、目が!」
小剣が魔人将の左目に。
アゴが上がった。
「今だ!」
首に入ったと、思ったらキズ程度で避けられた。
大刀が背後から、いかん!
「がぁああ!」
ヤンの矢がもう一つの目に。
アタシは地に這いつき。ギリギリ大刀を避けた。
「目が、見えぬとも!」
うわぁ、奴め大刀で地面を連打し、はじめた。
たまらん、逃げねば!
「老いぼれめ、また出てきたか。今度は槍玉か、そんなものではオレは」
ガァアーン
槍玉をはじいてやった。はじいた玉は運良く、ジジィの椅子を押す男の頭に命中。
「シーハイ!」
「師匠、まだ私が居ます」
棒術使いの坊主の攻撃を避けてたら反対側から甲冑が大剣を突いてきた。
「おのれ!」
ガッキーン
避けた大剣を叩き割り、甲冑の頭をなぎはらい落とした。
「ナニ!」
つづく




