シリスの目的
71話 シリスの目的
「と、言うわけでウーサイもアルも魔王のひとりなんだ」
「こいつらが魔王だって、ホントかよ」
「グッピー、人を見た目で判断するな。まあ人じゃないんだけどな、あたいらは。が、グッピーよ。それはあんたが言いたい言葉だろう」
「その通りだウーサイ。俺も見た目がチビなんで散々バカにされてきたからな。で、槍の稽古に励んだ。しかし、相手は人でないのか、アロン。なんか、ずるくないか」
「ソレを言われると……」
「アロン、ずるくない! 一生懸命体鍛えた。ソレに童貞守った!」
おい、ニュウ。意味もろくに知らないのに。
しかし、妙に説得力が。
「そうか、アロンは童貞なのか? なら、今度イイとこ連れてってやる」
「アニキ、床技を教えますよ」
「なぁチャオ、童貞って?」
「リーは、何も知らないんだな」
「だってよぉウチの親は武術ばっかりで、女に教養はいらんとか……」
「いや、ちょっとまってグッピーさん。それは……」
これは聞いたことはないが、ニュウ。
「あのなぁ、今さぁ童貞でなくなったらどうなるんだボク?」
「ニュウには、わからない!」
「アロン、ツァンレンの力を宿してるんだ。おまえは相当の性豪だぞ」
「そうなのかウーサイ」
「ああ、初めては、あたいが相手してやる」
「相手する? アロン。どういう意味だ。大人になるのは闘うのか? あれっアロンはもうウーちゃんと闘ってるよね。もう大人? 童貞じゃないのか……」
「それは違うぞニュウ。闘うわけじゃない」
「いや、アニキ床技は寝台の上の闘技でもあります。ねぇ師匠!」
「まあそういうたとえもあるが、マンケイ。基本は愛だ闘う事ではない」
「はい、師匠。肝に銘じときます『床技は、闘う事じゃなく愛する事』ですね。さすが師匠、名言ですね」
「あのねぇ、みんなナニ言ってんのよ。今はアロンが童貞どーのとかの話の場じゃないでしょ!」
「そうだ、みんな。この捕虜のコトだ!」
なんだか妙なトコに話がずれたな。
ありがとうリァン。
「で、シリスはナニしにココに?」
「そんな事は言わん!」
「こいつ、町の中からこのインアルを」
「そうだろ、言え!」
「痛ててて、耳がちぎれる」
「あたしも魔王だ、おまえを下半身麻痺以上にしてやろうか」
「おい、アル。おまえけっこう怖いな」
「ツァンレン、そいつの名はまだ、あるぞ冷酷妃だ。拷問が好きなんだよ」
「そんな、あたしは拷問とかは。まあ冷酷妃とは呼ばれるが」
そうなのか、アル。
「そいつは二重人格だからなシリス、吐くなら早い方がいいぞ下半身麻痺より酷い身体って全身麻痺か? そしたらシリス、何も出来ないぞ!」
「恐ろしいコトをウーサイ……」
「だよ、シリス。あたしは優しいから視力と口は動かせるようにしとくからガァア」
「やめろ! アルッ。言う!」
やっぱり拷問だよな。怖いな魔王ってーのは。
「実は、俺はツォンロンに会いに町に何度も……」
「それって逢い引き」
「シリスはテルーの正体を知っていたのか?」
「俺達は魔天にいた頃から愛しあってた。だから地上におりてからも連絡をしあってた」
「アロン、戦となんにも関係ないじゃない」
「それならはじめに」
「問答無用のツァンレンだ……」
「ボクはツァンレンでは、ないアロンだ。話せばわかる」
「アロン、シリスを離してくれるか……私からもたのむ」
「キミたちが戦に参戦しないのなら離そう」
「シリス、私は戦などは興味ない。この国から二人で離れよう」
「ラゴウを裏切ることになるが……もともと俺はヤツをあまり好きじゃないからな。ルファのヤツに誘われたんだ。ヤツはラゴウのとこで軍師を気どってる……ツォンロン、この国から出よう。その前にアル、この麻痺は解けるんだろ? この体では」
「アル、解いてやりなよ。それじゃ逃げるコトもアレも出来ないよ」
「ウーサイの言うとおりだアル、なんとかしてくれて!」
「ちょっとまて、この毒は……」
モクハイ県境。
「どう出るかな、やつらは、なぜ隣のコーメイを攻めずにこちらに」
「ロ・ツウシン、奴らは先に海路も手にしたいのさ、ハイサンのハイゼだけではな、軍船など使えぬ」
「ヤン、コーメイには、手強い相手が居るとも聞いたぞ」
「レアン、この我らより強い相手がコーメイに居ると言うのか、誰だそいつは?」
「伝説の男、リュー・ハイシンとその弟子たち……」
「リュー・ハイシン。武術を志す者で知らぬものはいない名だ。そいつらを見たのかレアン」
「見たというより接触した。ソレは見てないがトウメン軍がコーメイを攻撃したとき、たった三人でトウメン軍を撃破したと」
「おい、ソレはトッケツの連中が援軍で入って勝ったという話を聞いたが」
「トッケツが援軍で入るまえに戦は終わっていたという話も」
「天林寺に攻めた軍を一人で討ち負かしたという男だ、弟子が二人加われば、ありえないことではないかもな」
「リュー・ハイシン油断のならない男です……しかし、その弟子もあなどれない」
つづく




