待てば珍客
68話 待てば珍客
師匠たちと別れて、頑張りすぎたか? 夜にインアルの町に着いてしまった。
門には華中国の番兵がいる。
どうやら、まだラゴウのトウメン国の侵略には耐えてるらしい。
ボクらが戦った後にトッケツから、移り住んだ猛者たちがここを守ってると聞いたが。
さて、表からはこんな夜に入るのは怪しまれる。旅の荷物も無しに旅人と言っても信用されまい。
この町はラン・ミーレンの父親の高壁に囲まれている。そう簡単には入れない。
あれ、一か所ハシゴがかかってる場所が?
誰か居る!
何者かがハシゴに飛び乗った。
コレは、ヤバい奴かもしれない。
ハシゴの下に行き、ハシゴを倒すと。
上から飛び降りた奴が、コチラに。
ガッ
なんだコイツの動きは、人なのか?
「邪魔をするなら小僧!」
声からすると男か。
「何者だ!」
「……貴様!」
やつの目が闇の中で赤く光った。そいつに合わせて瞬きすると、昼間ほどではないが暗闇が見えてきた。闇の中走ってたときもだ。コレはツァンレンの力か?
前に居る男の姿がハッキリ見えた。
こいつ、あのトビネズミの毛皮を着ている頭には耳のある頭の部分を暗闇だとバケモノかと思うぞ。
「コレは驚いたわ、ツァンレン! ここから去ったと聞いたぞ。天狼シリスだ。ここでナニをしている」
「ツァンレンと呼んだな。おまえラゴウの配下か?」
「まあな。別に配下になったわけじゃないが、ヤツの遊びに付き合ってるだけだ」
ウーサイも言ってたが、魔天の連中には上下関係がないらしい。配下になるのは屈辱なのかも。
だから、ヤツの下につくことを認めない。
「だが、やってるコトはヤツの命令だろ。それに、天狼だって。あんたの毛皮はネズミだろ」
「奴らは犬類だ、ネズミではない。あんなデカいネズミ居るか!」
「まあ、なんでもいい。あんた間者か?」
「まあなんとでも思うがイイ、計画は失敗だ。今夜は闘えん、また会おう!」
行っちまった天狼シリスと言ってたな、あと何人居るんだ天の魔王は。
そうだ、このハシゴで。
登ったら、下は丁度ラン・ミーレンの家のそばじゃないか、あぶないな。ここからヤツが上がったら襲われたかも。
ボクはミーレン邸の庭に飛び降りた。そして、裏にまわり使用人のセンさんのトコに。
深夜にもかかわらずセンさんはこころよく中に。
「走って来たと、さぞお疲れでしょう。アン、お茶を。何か食べますか?」
「すみません。なんでも食べ物なら」
「夕食の残りで良かったら」
娘のアンさんだけでなく奥さんのカナさんも起きてきた。
「すみませんカナさん」
「アロンさん皆さんは?」
「後から……ボクだけ心配で先に」
「奴らはこっちに本体を向けず海の方に、だからトッケツの連中がここを守りきれてるんです。彼らのおかげでここ、コーメイ県は助かってます」
「だけど隣のハイサンが落とされました。噂ではこちらよりモクハイを先に攻め、じわりじわりと王都に。ここに入るときにトウメン国の間者を見つけておいかえしました。奴らはナニを企んでるのか」
「アロン、お帰り!」
亜人グールとの混血のアルが、入ってきた。
「アロンさん、リューさんたちは?」
狐の亜人テルーさんも。
「わたしがふたりを……」
「いや、ありがとうアンさん。ふたりとも起こしてしまい、すまない。師匠たちは後から来る」
ボクは実は魔天の魔王の一人のアルを手招きし。
「ちょっとアル……天狼シリスって知ってるか?」
外で会った魔王の一人について聞いてみた。
「知ってるよ、魔天一の瞬足の持ち主だ。会ったの」
「ああ、壁を登ろうとしてたとこを阻止したらヤツで。どうやらラゴウについたらしい」
「そうか……」
「あれから荒れ地を周り海岸線へ行って、ウーサイとドウジェンと会った。ドウジェンはアルみたく亜人のゴブリンのデカぶつになってた。それで奴隷商人に捕まっていたんだ。が、ボクを見て暴れて襲いかかってきたが、倒しておとなしくしたら奴隷商人に連れて行かれたよ」
「ヤツは力が強いだけのバカだからな……。それに飯さえ食わせれば、おとなしくなる。で、ウーサイは? ヤツはツァンレンの好敵手と聞いたけど」
「まあヤツはいろいろあって共に行動している。明日にはココへ来るはずだ。会ったことは?」
「実はない。どんだけ恐ろしいやつだ?」
「見てびっくりってトコかな。ドウジェンもはじめて会ったと……」
「危険なヤツか?」
「いや、今のところ無害だ」
午後かな、後から来るはずのウーサイを門の近くで待ってると、思いがけない二人が。
「おい、貴様何処から来た武装してるな。何者だ」
「武装って武術家が槍持って歩ってるだけだ。悪いのか? 俺は王都の武術大会を終えてきた」
「王都からだと……そっちのブタと娘もか?」
「俺の女房と馬代わりのブタだ」
「腹減ったらこいつ食う。馬より美味いよ」
「ああ、食ったら歩けよウー」
「隊長、どうします?」
「お主、もしかして前回も王都で大会に出てなかったか?」
「ああ、おしくも負けたがな」
「やはり、顔は忘れたがその大槍は憶えてるぞ。槍隊の師範が、お主を欲しがってたワイ。どうだ、ウチの部隊に入らんか」
「いや、ことわる」
「おーい、グッピー待ってたぞ!」
「隊長さん、彼はボクの客だ!」
「お主は、敵将を倒した。いつ町に」
つづく




