槍術対棍術
65話 槍術対棍術
王都。
ファチャン城の一室。
「ハイサンが落とされ、ハイゼの港は占領された。奴らは隣のモクハイ県を狙っていると……不甲斐ないなモク・ティンソー殿。天導引もその程度か」
「申し訳ございません。我らの者も……。しかし、七武人は、まだ半分以上。彼らをモクハイへ向わせ死守します」
「平和ボケとでもいうかの。百年平和が続いて我軍の将も……。すまん、お主たちだけのせいでは、ないのに」
「いえ、我らが討つと言っておきながら……」
「武術大会で良い人材が見つかると良いのだが……」
王都武術大会会場。
決勝戦。
ちっ、ヤローとうとう現れなかった。
俺の相手は槍使いの男。
俺と槍で勝負して勝てると思ってんのか。
「名は聞いてるぞグッピーとやら」
そりゃそうだろ大会に出てんだから。
「槍術界では、無敵だそうだな。だが、皇室槍術指南の私、ガル・ガメスに勝てるかな」
「皇室槍術指南だと、いままで隠してたのか? が、それでは北のボクネン派だろ。そこの老師はウチの師匠に第一回の王都武術大会でボロ負けしたんじゃないのか。指南役を師匠がことわってオタクの師匠が指南役になったと聞いたぞ」
「そんなデマを。ボロ負けしたら指南役などなれん。行くぞ若造ハリャ!」
「そんな突きを教えてるのか、あんたの師匠は? そんなんじゃ戦に勝てねぇぜ。まあその前に俺に勝てねぇ!」
お返しに突きを連突してヤツの防具をみな落とした。
「丸裸だおっさん、あんた皇室に恥をかかすつもりか」
「おのれ!」
今度は槍を廻しながら攻めてきた。
俺はヤツの手元に槍の後ろで高速連突きを、すると、ヤツめ槍を落とした。
「ぬ、」
「よくそれで決勝まで来たもんだ」
槍を回し刃先をヤツのアゴに。
「……まいった」
「おい、あんたの姓名は? グツピーはあだ名だろ」
「審判さんよ、あだ名じゃダメなのか?」
「いや、あんたがそれでいいなら。優勝……」
「待った、審判殿。グツピー殿、もう一戦やってもらえぬか?」
「お、あんたは元坊主のおっさん。美人の奥さんは? まあいいが。あんたが俺の相手を?」
「あ、嫌。相手をするのは私の弟子だ。おーいアロン!」
え、師匠。ナニをいきなり。
「アロン、あたいも見たい。ついでに大河拳法を宣伝してこい。まだ、教えてなかったが大河九龍棍法ってのがあるんだ」
「教えてもらってないのは出せないだろ。チャオ」
「こうなるんなら教えておけば良かった。が、小旋風の棍術も中々だ見せてみろ」
なんでこうなるのかな。
ボクは闘技台の所まで降りてゆくと、師匠がボクに棍術棒を。
「アロン、ラン派の棍術を見せてやれ」
「ラン派の棍術だと、初代皇帝の槍術指南になったというラン家の棍術か」
「グッピーさん、ボクは直のラン派棍術は知らないんだ。ボクの師匠は小旋風と言うあだ名の……」
「小旋風だと、ラン派じゃ……そうか。おまえタダ者じゃないと思ってたが。やろうじゃないか坊さんとも、そのうちな」
まあ、どうなるかわからないが。
やるか。が、グッピーは強い。
ボクは闘技台に上がった。
チャオは、勝てる気がしないと言ったがボクは負ける気がしない。
コレはやはりツァンレンか。
グッピーは、チャオより少し大きいが男では小さい方だ。
が、その体で普通より大きな槍をまるで棍術のように扱う。
そして棍術棒より槍は、しなるから動きが棍術とは違う。
槍の先もあるから棒術とはまた違う危なさも。
あの早い槍術の動きにどこまでついていけるかだ。
「アロンとか、いつたな。試させてもらうぜ!」
しなりながら連打してくる槍先を払い避ける、このくらいなら見える。
そのまま横に回って体の方に。
槍は後ろの方で突きが。
彼の槍術は刃先だけでなく後ろも突いてくる。
後ろに回っても刃先と違うだけだ。
この速さの突きなら槍先でなくても当たれば致命傷だが。
ボクの腹に当たると同時に槍を掴んで棍術棒の先をグッピーの後頭部手前で止めた。
「ナニ! たしかに腹を突いたハズ。で、突きを……」
つづく




