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武術大会はじまる

64話 武術大会はじまる


 荒れ地の終わりの壁遺跡。


「どうやら、昼前にやつら総攻撃をかけてくるという間者の情報が」


「やつら……ついに」


「チャン・フェイ将軍、そのときは私ら天導引が」


「将軍、来ました! トウメンの軍が……。ソレが、先頭にあの魔人らしき将が見えます」


「何、大将みずから先頭にだと、なめられたものよ」


「チャン・フェイ将軍、ヤツは我らに。レアン、ロ・ツウシン、出るぞ!」

「オオッ!」


「敵将は、大刀を持ちデカい馬に乗った大男と聞く、勝てるだろうか俺たち」

「ゴージン、おまえもデカい方だろ。意外に肝っ玉が小さいな、戦うのは七武人の連中だ。オレたちは周りの雑魚をやればいい」


「ああ、そうだな」



 王都。


 いよいよ武術大会の始まりだ。

 ボクらは、一番安いという長椅子を組み合わせて作った遠くて高い場所の観覧席。

 いや、席などない。ただの板場だ。

 下の方はちゃんと座れる椅子が、どれも人でうまってる。

 が、高台だけあってここなら会場全体が見える。闘技台からはちょっと遠いだけだ。


 主催者席になるのだろう。一番良く見えそうな席には皇族が、真ん中の少年が皇帝だろう。


 あれ、隣の審査員席に師匠の姿が。

 いつの間に。

 おそらくあの名前を出して。

 しかし、老師たちの中には本物のリュー・ハイシンを知る人は居なかったのか? 

 師匠の言葉を信じれば師匠は同姓同名で、同じ天林寺の出だと。


「アロン、見ろ。初っ端から、あの槍のおっさんだ」


「チャオ、おっさんは悪いだろ。あの人けっこう若いみたいだ。ボクらよりは上だろうけど」


「どーせ、あの槍のおっちゃんが、勝つだろ。大会が終わったら起こしてふうぁあ〜あ」


 おい、ウーサイ。こんなとこで寝るな。

 さすがにブタは入れないので宿に預けた。


「うわぁアロン、見た? ホントにあの人、あっと言う間に勝っちゃったわ」


 と、リァンに言われて闘技台を見たが。


「え、見てなかった。チャオ見たか?」


「ああ、早かった。あの体であの槍を……兄貴が剣を使ったのもわかる気が」


 辺境の武術大会よりも坦々と試合が進み中休みに。


 宿の主人が言ってたように飛び入り参加者を募った。


「チャオ、兄さんは居たか?」


「いや、それらしい姿はないな」


「チャオが出たらどうだ」

「いや、やめとく。出ても多分あの槍のおっさんと最後、あたる。実は勝てる気がしないんだ」


「チャオらしくないな」


「負けたら大河拳法の名が落ちる。あんたの師匠じゃないが負けるとわかる試合はしない。アロンは出ないのか?」


「試合には戦と同じくらい興味がない」

「はぁ? 戦してただろ」

「アレは町を、ラン・ミーレンたちを守るためだった」

「そう。で、アロンはあの槍のおっさんに勝てる?」


「わからない。ボクは神じゃないし」



 荒れ地の戦場。


「ちょこまかと、小物共め、やるなら一対一で勝負しろ!」

「ソレが、出来ないから我らは協力してる!」



「な、オレたちの出る幕はないだろゴージン。トォア!」


「ああ、雑魚兵共など屁でもないわ。グァファファ」


「どけどけ、貴様らの相手は私が!」


「おう、またスゴいのが現れたぞウンチャン!」

「なんだ、大昔の武将みたいだな、なんだあのヒゲの男は!」



  カキーン


「ワタシの剣が折られた、ションジャ」

「レアン、俺の後ろにさした剣を使え! オラオラオラ」


 ワタシはロ・ツウシンの後ろにまわり剣を鞘から抜くと、ロは両手の斧を振り回し敵将の大刀をはじいた。


「おうっしまった!」


 馬が前足を上げてロを。


「ちくしょう!」


「フォアタァ!」


 ションジャが長剣で頭上から。


  カッキーン!


「おうっグァン・カン、すまん!」

「おのれらの相手はわしが変わる!」


「新手だ、レアン、ロ、気をつけろ」


 新手の長ヒゲの男も大刀を振りまわし前の敵将以上に手強い。


「ナニ、腕が!」


 ロの腕が片方斬り落とされた。


 雑魚どもと戦っていたゴージンとウンチャンの姿が見えない! 

 ふたりは何処に?  


  カキーン


「レアン、何をしている!」

「すまん、ロ。腕は大丈夫か?」

「いっいや、血が止まらねぇヤバい」

「ションジャ、引かねばロがヤバい!」


「しかし、ここで引いたら。レアンは、ロを連れて引け、ここは私が」


 ワタシはマントでロの腕を縛りつけ彼の巨体を肩になんとか戦場を離れた。


 その途中に見てしまったゴージンとウンチャンの血だらけの死体を。


 戦いは敗戦で終わった。


               つづく

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