門番兵と武人
61話 門番兵と武人
「貴様、仲間に武器を渡して王都の内側から……」
「そんなわけ、ないじゃないですか」
「おう、そうだ兵隊さんよ。その武器の数を確認して見ろよ。そんだけの数で王都が制圧出来るか、王都制圧なんて一個中隊居ても無理だ。そのお兄さんの武器で何が出来る……いいとこ山賊くらいか」
と、ボクの裏から声をかけてきたのは、背の低い武人らしき人で大きな槍を持ってる。
「まあ、言われてみれば…、」
「それに見れば、兄さんの連れは身重じゃねーか。そんな荒っぽい真似するようには見えないぜ。兵隊さん、早くしてくれ。俺、並んでてよ小便我慢してるんだ。ココでしていいか」
「ダメだ、こんなトコでするな! おまえは?」
「俺は武術大会の参加者だ」
門番の兵士は槍の男をじっくり見て。
「おまえみたいなのが、その槍で大会に……槍に振り回されるんじゃないのか」
「おい、ありゃ前大会で準優勝した槍使いだ」
「お、そっちの兵隊さんは俺のこと知ってんのかい。ああ、俺は前回酔拳使いに負けたからな、今回は勝ちに来た。ヤロー今回も出てくるだろうな」
「そ、そうか……。おい、おまえら。通っていいぞ! あんたもだ。その辺で立ちションするなよ。早く行け!」
はあ……。一時はどうなるかと。王都の中では皆が。
「あ、槍の人。どうもありがとうございます」
「なに、いいってことよ。美人のカミさん大切にしな。お、ヤバ。便所はどこだ」
「ホントに我慢してたのね、あの人。わたしを美人のカミさんだってアロン。うふ」
先に入った師匠が戻って。
「なんだか、もめていたなアロン」
「師匠、この山賊の武器のせいで……早く売っちゃいましょう」
「今、行ってしまった男は槍使いのグッピーとかいう猛者じゃないか。知り合いかな?」
「いえ、門番ともめてたトコに彼が口ぞえしてくれて助かりました。有名な武人なんですか? たしか前大会で準優勝したと」
「そうなのか。槍使いの間では無敵と言われた武人だ。しかし、準優勝とは相手はよほどの強者」
「そういえば、相手は酔拳の使い手と。それってチャオの」
「そうだ、前回の優勝者は兄貴と」
先に入ったチャオたちも来た。
話しを聞いていたようだ。
「あの槍の人は、今回は勝つと」
「やはり兄貴は来るのかな?!」
王都の中央広場では明日からの大会に闘台を作ってる。
周りにはゴザを下げた塀作りを。
「あれは、見物料を払わないヤツには見せないためか、ケチだなぁ……主催者は」
「リーさんたしか主催は皇族では? モルドの町とは違うなぁ」
「この時期の大会だ、おそらく皇族にも何か……。兵士だな。戦に出る優秀な兵士を傭うつもりだろう。モルドのときにもあったな、あのときは中止にしたからよけいに参加者の闘争心をあおった」
「なるほど坊さん、あたいも一時は兵士になり名を上げようと……」
「チャオ、なんでそうしなかったんだ。チャオなら」
「なんでかな、なんかあの戦には参加したくなかった。坊さんたちと一緒の方が楽しく思えた。インアルの戦は楽しかった。アロンや坊さんと一緒だったからな。選択は間違ってなかった」
「チャオったら。戦は楽しいモノじゃなくてよ……相手の兵士たちにも戦なんてしたくない人もいたはず……」
「だから、あたいら武術家が出て痛めつけるだけで殺さない」
「それの悪循環も怖い。上は一兵士なんか遊戯のコマくらいにしか思ってない。いくら痛めつけても、治ればまた使う。特に北辺では温泉場を戦闘の治癒に使い良くなればすぐに戦場行きだそうだぞ。温泉も良し悪しだ。私は温泉では、のんびりしたい」
そんな、話を聞くとますます責任を感じてしまう。どうするといいのか師匠。
みんなで辺境のあの国を攻めるか。
あ、ダメだみんなは関係ない。やはりボク一人で。
「どうしたのアロン、ぼぉーっとして」
「あ、いや……リァン。もし、今度の戦がボクのせいならどうする?」
「え、アロンってばナニ言ってんの? あ、インアルの町での戦闘のコトね。あのときは大山嵐の山賊どもを倒したときよりスゴかったものね、でも師匠もチャオも居たわ。あなただけのせいで戦がひろがりますか? 考え過ぎよ」
リァンは真実を知らない。
つづく




