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一番弟子

58話 一番弟子


「丁度、今朝の漁で大物が三匹捕れてね、これから料理するトコさ、そんなものでよければ……」


「ありがとう叔母さん」


「で、旅先で兄には会えたのか? チャオ」


「いや、武術大会には兄貴は来てなかった」


「チャオに兄さんが、いたの?」

「ああ、母ちゃんや父ちゃんと一緒に様子江の氾濫で流され行方不明だったんだが、二年前に生きてると手紙が届いたんだ。兄貴は、酔拳の師匠だった」

「ほう、兄も武術家なのか。酔拳は元天林寺の僧が開祖と言われてるが兄は誰に酔拳を?」

「ああ、ある日村にやってきた老人でさ。その老人を泊めてやったら、礼に息子さんに拳法を伝授しょうと、それから一週間滞在して去っていった。その爺さんは天林寺の坊さんか?」


「私も話に聞いただけだからよく知らんのだが、チャオ殿の酔拳を見たとこ、それらしい」


「でも、あたいのは大河酔拳に改良してるから、ちょっと違うんだな」


「で、チャオ。その後のお兄さんの消息は?」

「二通目の手紙は、王都の武術大会で優勝したと、それであたいは王都に行ったが、会えなかった。王都を出たと。手紙が村に着いたのは武術大会後、半年もたってたんだ」


「そうなのね……」


「たった一人生きのびた家族なのにねぇ」

「母ちゃん、でもあたいが今はチャオ姉の妹だ。チャオ姉はひとりじゃない!」


「紹介がおくれた。従姉妹のミンだ」

「チャオ姉、もう従姉妹じゃない。あたいはちゃんとチャオ姉の妹になった」


「まあ、そういうコトだ。こいつが、あたいの一番弟子だ」

「そうか。わたいは、二番弟子のマオだ。よろしく」


「おい、マオ。またか、あんたはこの中で最後の弟子だ。勝手に二番を名のるな!」

「まあまあ、リーさん。大人げない」

「はぁ〜アロン。おまえも……」

「子供の言うことだ気にしない、気にしない」


「マオとやら、食事が済んだら稽古をつけてやる」


「本物の一番弟子は怖そうだな。リーさん」

「ああ、どんなもんだか見てみたい。食後が楽しみだ」


 大人げないなぁ。しかし、ちびっ娘大集合だ。


 食事はホントにデカい。

 チャオくらいある大魚が三匹に小魚や野菜。玉子、肉とボクらを大歓迎だ。


 出された料理はどれも美味かった。

 開運道場の料理も悪くなかったが、こちらの素朴な料理の方がボクには合うようだ。


 食後、チャオの一番弟子で義妹のミンがマオを村の広場に連れ出した。


 一応弟子のボクをリーさんが。


「行くぞアロン、一番弟子の腕前、見ようじゃないか」


 広場には子どもたちも何人か。

 後で知ったのだが村の子どもたちは、みんなチャオの弟子らしい。


「さあ、マオ。大河拳法の一のかまえ! ん? 何だソレは」


「一のかまえって知らん!」


「そうなのか、じゃなんのかまえが出来るんだ?」


「まったく知らん!」


「あきれた子ね、それでよく二番弟子などと……」


「ボクかホントの二番弟子のアロンだ。まあマオは、まだ弟子になったばかりでろくに稽古もしてないんだ」


「そうか、じゃホントの二番弟子。かまえ!」


「弟子だがボクもろくに稽古は……」


「って、ソレは花和尚拳のかまえ、まだ、わたしは教わってない……。が、行くぞ!」


 お、コレは。チャオの拳法では、見たことがない動きだ。が、かわすのは簡単だ。


 なんだ、まったく当らない。この人は受けもしない。こっちの攻撃はみな、かわされてる!


「アロン、子ども相手に大人げないぞ。当たってやれ!」


 リーさん。大人げないって、お返しのつもりか。まあ、子供の拳だ当たってもどうってことないが。


「あ、やってるやってる。けど、相手はアロンだわ」

「マオは、どうした。あれには基礎もなにも教えてないから……」

「そうなのチャオ。あの子、そんなんでよく二番弟子なんて」

「リァンの弟子にでもしてもらおうかマオは」

「いらないわよ、あんた弟子にしたんだから責任持って育てなさい!」

「育てるって、あたいは親じゃないわよ!」

「弟子を持つのは子をもつみたいなものよ……」


 あ、チャオが二人の間に。


「ミン、その弟子にはかなわないよ」

「チャオ姉……」

「おい、マオ。こっちに」


「は〜い」

「ミン、マオに基礎からみっちり大河拳法をたたきこんでやって。マオ、姉弟子の言うこと聞いて稽古にはげめ」

「は〜い」

「師匠には返事は、ハイだ」

「はい!」


「あの町の観光詐欺師もまっとうになるだろ」

「観光詐欺師だったのマオって」

「まあリーさん、今のは気にしないで。忘れてくれ」


 様子江の村にしばらく滞在することに。

 が、あまり一つのとこに長く居られない師匠が。


「アロン、私は王都に行こうと思うのだが」

「なら、ボクもお供を」

「アロン、わたしをおいてく気。わたしも行くわよ!」


 と、リァンが。ちょっと嬉しい。


 と、言うわけで。一度王都に行ったチャオを道案内に王都に。


「おい、王都でアロンが死んだら困る。あたいも行く」


 と豚の背に揺られながらウーサイも。


「今の王都はどうなんですかね。戦がはじまってるじゃないですか師匠」

「なんとかっていう戦好きの将軍が、出ていき戦死したと聞いたなぁどうなってんだ王都は」


 そう言えばそんな話し耳にしたなぁ。


「隣のカツラだって警戒厳重だったのよ。王都ならもっと」


「おそらく、モルドの町の兵士召集以上のが行われてるかもなしれんな」


「もしかしたら兄貴も王都に……」


               つづく

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