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道場の主

53話 道場の主


「どこから? 私らは海路でビレから」


「海路……貴様ら海賊か?」


「たまたま、こちらに行くという運搬船に乗せてもらったのだ。私らが海賊に見えますかな。女、子どもを連れた海賊など私は見たことがない」


「まあそうだが、船で来たのならなぜこんな場所に?」


「船の都合で降ろされたんだよ。小舟で港に入るのは危ないからと言われた。大きな船が多いからな」


「隊長、見たところ外国人でもなし、服装も北の物では」

「しかし、北の間者の疑いは……」


「戦がはじまると旅もおちおち出来ない。何処に言っても間者と疑われる。我らは旅の武術家だ、役人さん。それとも中央の軍関係の方々かな?」


「貴様ら武術家か? 女、子どもばかりではないか」


「あんた、大河派を知らないのか?」


「大河派? 聞いたこともない。俺は中央の

武術大会で準優勝したことがある。俺と勝負してみないか、勝ったら武術家と認めてやる」


「あらら、そうきたか。じゃお見せしよう大河拳法」


「おいおい、嬢ちゃんがやるのか? 坊さんじゃないのか」


 役人の隊長らしい大柄の男は部下に剣を渡し身軽になり、ボクらの方に。

 チャオが前に出た。


「大河酔拳をうけてもらおうか」


「子どもが酔拳?」


「あたいは子どもじゃない!」


 ゆらゆらと役人に近づくチャオは突然転んだ。


「嬢ちゃん、どうした?」


「ハアァ」


 チャオは突然立ち上がり両腕を使い、役人の股をひろげ、倒した。


「新作のお披露目だ酔花和尚拳!」 


 チャオは膝を着いて、かがむと立ち上がろうとする役人に向かって両拳を。

 拳はツネを打ち、再び役人は立てずに尻餅をつく。

 チャオは跳ね上がり役人の後ろに入り後頭部をつかんだ。

 花和尚拳法では見たことのない動きだ酔花和尚拳なのか?


「おっさん、このまま力を入れたらヤバいよ」


「隊長が!」


 部下の兵たちがまえに。


「待たれ! コレは武術の手合せ……が、そなたらの代表はまったく手を合わせてないがな」


「わかった、俺の負けだ。大河拳法とやら、見せて、いや体感させてもらった」


「坊さん。この娘は、あんたの弟子か?」


「いや、私は天林寺派だ。大河拳法はその娘があみだした武術だ」


「ナニ、お嬢ちゃんが!」


 武術家好きの隊長さんは、ボクらが怪しい旅人ではないと認め開放してくれた。


 そしてカツラの町に有る道場の主に、さらさらと紹介状を書き。


「この道場の主は町では有力者だ、訪ねれば武術家ならいろいろとしてくれる」


 カツラの町の入口にも役人が。

 隊長さんが書いてくれた紹介状を見せたらすんなりと町に入れた。

 そして紹介された道場へと。


 開運道場。変な名の道場だ。

 門番に紹介状を渡すと腰の曲がった白髪の老人と戻って来てボクらを中に入れてくれた。


 けっこう大きな道場で中庭で十人はいるだろう門弟たちが稽古をしている。


「いいなぁ~あたいもこれくらいの道場が

持ちたい」

「チャオ、見てみろ、道場内は中庭の倍くらいありそうだ」


「道場の中へ。主人が来ますので」


「キレイな道場ですね師匠」

「うむ……」


「お待たせしました。私がとう道場のあるじ、フェイ・ケアイダです」


 コレは、また美しい人が現れた。この人が道場の主人だって? 

 武術を教えてる人は別に居るのか?


「辺境警護の隊長さんの紹介状を読みました。このお嬢さん方の中に大河拳法をお使いなる方が」


「あたいだ、おばさん。あたいが大河拳法の創始者だ」


「あら、でもねぇ私はあなたとは、やりたくないの。そこの殿方、わたしと一手」


 掌を出した。


「一手だけじゃつまらんな」


「あのおっさんは、あたいのことを書いたんだろ、あたいとヤレ!」


「ごめんね、お嬢ちゃんには興味ないの」


「師匠、先にボクが」


「あ、いや私に先にヤラしてください師匠! こんな天女みたいな人は初めて見た」

「マン・ケイ、ナニを勘違いしてるんだ。コレは武術の……」


 いきなりフェイさんが師匠に手刀を、コレが両手で連打。


 師匠は上半身を動かすだけで避ける。

 師匠の上着が剣で斬ったようにヒラヒラと舞った。

 しかしその連打の手首を師匠が掴み止めた。


「一手では、なかったか?」


 フェイさんの片手が師匠の頭に。


 当たらなかった。クルッまわった師匠は、踊りのようにフェイさんを抱え込み上がったもう一本の手首を掴み両腕を彼女の腰にまわし。顔をフェイさんの前に持っていき、おでこに口づけした。


「私が鳥人間なら、そなたのおでこに穴を開けてた」

「たとえ、が。わかりづらいわ。クチバシでってこと。なぜ唇に?」

「ソレを望んでるなら」


 師匠は

唇に。


「ああ〜あれが拳法の手合わせ? 口合わせじゃないの……」


 うまいこと言うなチャオ。


「あれが坊さんの動きか、早くてナニしてるか見えなかったぞ!」


 え、ボクには見えていたが。リーさんには見えなかった?


「親の接吻を見るのは複雑ね母さんになんて言おう」

「リアン、そういうコトは言わない方がいいと思うけど」

「まあね、あの親のコトだし。この先は、もっと……弟妹きょうだいができなけりゃいいけど」


 リァンがボクにしか聞こえない声で言った。


               つづく

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