リュー・ハイシン捕まる
50話 リュー・ハイシン捕まる
「坊主!」
「あら、手配書の似顔絵そっくりね、あなたはリュー・ハイシン!?」
「いかにも、私になにか?」
「だそうよ、キャプテン」
「確かにそっくりだ。あんたリューか? 天林寺の……」
「まあ昔は居ましたよ天林寺。しかし、今はただの流浪の修業僧。そなたら、手配書がどーのとか、なんのことかな?」
「ああ、あんたに手配書が出てる。私はマーマレード号という船の船長やってるアイリーン・キャラダインという者だ」
「ほう、出身は異国かな」
「まあ、私は北方の出だか。もう昔のコトだ。ソレはどうでもいい」
「手配書の事を……」
「ある豪商の旦那が妻を乱暴されたと訴えて、その犯人に賞金をかけた。ソレがあんただ。おとなしく来ていただけるかな?」
「ある豪商の……さて、人妻には……。覚えのない話だな」
あ、あの女海賊が剣をぬいた。
しかし、師匠は。
「おそらく、何かの間違いだろう。アイリーンとやら、役人の所へ行こうではないか」
「ふーっ、そうか。正直、あんたとはやりたくなかったから助かる……」
「キャプテン、あの男。それほど……」
「ああ、ハル。おまえの銃でもヤバい奴だ。やらなくて良かった」
「じゃみんな、ちょっと行ってくるから。ココで待っててくれ」
って、師匠が海賊の女たちと。
「なーんだつまらない。せっかく坊さんの闘う姿が見れると思ったのに」
「師匠は、無駄な闘いをしない人だから。あの海賊とは闘わなかったわだろ。師匠は無実だ。あの、すみません。みんなになにかお茶を」
「ホウライ茶で、いいかな? 美味しい異国の茶だ。少々高いがオススメだよ」
高いのか、ボクは財布の中を。
「それでイイ。アロン、あたしのおごりだ」
「え、ウーサイ。いいのか?」
「何か、腹がふくらむ料理ないかい!」
「おい、マン・ケイ!」
「大丈夫、アニキ。自分の財布から……まだ少し残ってる」
「はいよ。海賊ヤキソバってーのがある。気前のいいお客さんは、好きよ!」
べつに好きになられても。
「じゃ、あたしにも、そのヤキソバ!」
「あたいも!」
リーさんやチャオも、みんな腹が減ってたのか。
「アロン、ニュウもいいかな?」
「ああ、マスターそのヤキソバ、人数分たのむ!」
「ハイよ!」
ビレ犯罪取締り所。
「あんた、確かにリュー・ハイシン殿か?」
「そうだが、私を訴えたという商人は?」
「あ、いゃあ。本物ですか?」
「所長、その男の実力は、私が保証する。闘ってはいけない相手だ」
「だろう。リュー・ハイシンだぞ。あ、失礼。私も若いときに天林寺へ修行に行っていた身で、あなたのお噂は……」
「で、私を訴えたという」
「あ、そうでした。この港町を仕切るワン・チャイという男でしてね。女房が強姦されたから犯人を捕まえてくれと。で、名を聞いてわたしゃびっくりですよ。あの天林寺の英雄ですから。おそらく私は名を語ったのではと。しかし、それしかわからない。しかも坊主と言うことで。この似顔絵はその強姦されたという奥さんが描いた物を」
「その夫人の名は?」
「ソン・フアリと」
「なるほど、あの女か……」
「お知り合いで?」
「ああ、探していたんだが。アレは悪女だ。その商人の夫人になったのはいつかわかりますかな?」
「ああ、イワチが大量に漁った年だから三年前かな……」
「そうか……それなら、難しいとこだな。私が、その女と出会ったのは三年前だ。その時は独身と言っていた」
ワン・チャイ邸。
「フアリ様、大変だ。リュー・ハイシンが捕まった」
「ええ、それは……本物? カン、おまえがもたもたしてるから」
「あの男は近くに居ないとフアリ様が、代わりの男を捕まえたが、どうする」
「そいつを連れて役人のトコへ。こちらが本物だと……まさか、あの男がココに……」
「おい、あの男の頭を剃れ、坊主に見立てろ!」
「ヘイ!」
犯罪取締り所、再び。
「所長、指名手配犯を捕えたという者が」
「指名手配犯、誰だ?」
「リュー・ハイシンという……」
「はぁ〜。で、その男を見たか?」
「ええ、確かに似顔絵と……が、少し貧相に見えました」
「そうか、そいつを連れて来い!」
「はっ!」
「コレはフアリ夫人。罪人を捕まえたと」
「ええ、私の用心棒をしているカイ・ブドーという者が」
「罪人をココに……」
入ってきた男は坊主頭の貧相な男。
そいつを縛り連れてきた男は。
武骨だが色男だ。
こいつが用心棒のカイとかいう男か。
用心棒なのか? 浮気相手の坊やじゃないのか?
「なんだか、似顔絵と違うようにも見えるが。おい、おまえはリュー・ハイシンなのか?」
「うぅああ」
「こいつ、口がきけないのか?」
「こいつ、なかなかの手だれ。私との死闘で喉を私が。治療すれば七日もすれば。賞金をいただきたい」
「なるほど、そういうカラクリか」
つづく




