新・海賊亭
49話 新・海賊亭
「新・海賊亭」入って見れば。
中はおだやかな茶屋と、いう感じだが。
マスターはヒゲヅラで頭巾を頭に。黒い眼帯で絵に描いたような海賊姿。頬に大きなキズが。
だが、荒くれ者たちが酒を酌み交わしてるような店ではない。
「いらっしゃ〜い。何処でも空いてる席にど〜ぞ」
なんか高い声で、マスターの見た目の感じとは違う。
マスターと同じような頭巾を巻いて眼帯をした若い男が、ボクらの座ったテーブルふきながら。
「その大きな荷物、お客さんたち旅行者?」
「まあ、そんなとこ。なにか、冷たいものある?」
「冷やし飴水とか」
「じゃ、ソレ人数分」
「ハイ、マスター冷やし飴水六人分。あなたたちは何処から来たの?」
「荒れ地の向こうの町」
「あら、戦をしてるトコ?」
「まあね、ボクらが滞在してるときに始まったから、逃げてきたんだ」
「そう、戦はイヤよね。わたしたち、争いがイヤで船からおりて港町でお店をはじめたの」
年配のマスターがボクの方を見て親指を立てた。
この人たちは、見た目どおり本物の元海賊。
「あなたたちって妙な集団よね」
「ああ、あたしたち。各地をまわって武芸を見せてるの」
お、旅なれてるリーさん、そのウソはいいな。
いざ、見せろと言われれば荷物持ちのマン・ケイ以外なら見せれる。
「いらっしゃい! あら、キャプテンとハルさん」
「久しぶりたな、パイク。ビールを……ハルは?」
「ホウライ茶」
キャプテンか、あの女性たちは船乗りか?
「アロン、アレは海賊だな」
「わかるのかい、リーさん」
「あの身なりは歩き方。海賊のキャプテンだろ、隣のメガネの女は、おとなしそうな顔してるが、腰の短筒は、最近発明された手持ちの大砲みたいなもんだ。アレで撃たれたら体を貫通して、槍や剣より怖ろしい」
「あの短筒はピストルと言って西方か、どっかからもたらされた武器だ」
「そういう武器にも詳しいんだなチャオは」
「あんな物が、戦で使用されると戦死者が増えるだろな」
「イヤだわ人が死ぬのが増えるなんてねぇアロン」
「あ、ああボクも戦はキライだリァン」
おわあどうしたリァン。肩に頭を重いのか、頭?。
「やべぇんだ、最近やたらと軍艦が増えてこっちの商売がやりづらい」
「まあでも、キャプテンとこは他の連中と違いますから」
「それは、船の旗印じゃわからねぇからあぶなかしくってよ。この辺の軍船なら旗印でわかるからいいが、中央の軍艦はそうはいかない。撃ってくるのもある。まったく戦をする相手が違うだろと……。すまん愚痴を言いに来たんじゃない。手配書が配られてな、こいつを見なかったか」
「手配書、こいつは何を? 見たとこ坊さんじゃないですか」
「頭を剃ってるが、元天林寺の僧だとか。今はただの放浪坊主だ」
なに、元天林寺の僧の手配書。
まさか。放浪坊主って。
いいや、元天林寺の僧なんてたくさん居るだろう。
「まあ、こいつは人の女房を襲ったスケベな坊主だ、ソレを知った旦那が賞金をかけた」
うわぁ師匠でもおかしくないが、師匠が人妻に手を出して賞金首になるなんて今まではなかったけど。
「おいアロン、どうした? 話し聞いてるのか」
「あ、ゴメンなんだっけ?」
「あんたの師匠って、天林寺の有名な坊さんなんだって?」
「あ、ソレね。師匠が言うには同姓同名の人がいて、その人が天林寺の伝説的にすごい人なんだそうで、ちょっとした武林界の争い事に効くんで名前を出すだけだと。伝説になるには師匠は若いんじゃないかと……でも、師匠が強いのはホントだ。だからボクは弟子に」
「師匠が天林寺に居たのはホントよ」
「そうなのか、リァン。山賊界に知られてる武林界の強者だからな。あんたらの師匠の闘いをあたしは見てみたい」
「まあ、ボクらと一緒なら、そのうち見れるんじゃないか、リーさん」
「ししょー、最近はアロンにばかりで、自分はやらない!」
「そうだな、だがあのおっさんはチラッチラッと動いて、その実力を、見せる。おそらく大会に出たら優勝するほど実力者なのは確かだ……あたいはわかる」
チャオは、はじめから師匠の力もボクの力もみぬいていた。
「確かにあのおっさん、ときどき怖いほどの気を発する。特に美女を見たとき」
ウーサイが感じる師匠の気はそっちか。
「あ、ソレは多分。師匠は目で見ながら美女を……。あの人なら目で女性を」
マン・ケイ、そんな事がわかるのか?
「あたしの聞いた噂では、元天林寺伝説の僧は女好きのため、天林寺をおわれたと……やはりあんたら師匠は」
「いらっしゃい!」
「連れがここに……おおアロン、待ったか」
つづく




