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魔王の戦

48話 魔王の戦


 早朝、起こされた。

 チャオと稽古が始まった。


「アロンは、体力はバリバリだから拳術の動きを教える花和尚拳は、もともと大きな動きが基本だが、小さなあたいが有効に使えるように改良を重ねてあみだした。アロンも普段は背も低い方だから、はじめはあたいの拳法で教える。ソレを大きな動きにも応用してくれて」


 と、チャオが花和尚拳の形をはじめた。

 花和尚という英雄は破戒坊主で大柄の暴れん坊だそうだ。師匠のようで師匠とは違う坊さんの英雄だとか。


「なるほど、小さいチャオが大きく見える」


「稽古のときは師匠と!」


「あ、すみません師匠」


「あ、オハよー! アロン、チャオ。ナニしてる?」


 ニュウが起きてきた。まだ早いだろうに。


「オハよーチビスケ!」

「オハよー。おまえもな!」

「何度も言ってるだろ、あたいの方が大きいと、それにウーサイは、あたしより小さいだろ、チビスケと言うならアレに言え」


「でも、夕べウーちゃんは、尻もおっぱいもチャオと同じになった」


 そうなのか、夕食のときに違和感があったのはそのせいか。

 あいつ体形まで変えれるのか。やはり魔人だけある。


「夕べの風呂場でな。アレには驚いたわ。一種の気功術みたいな、ものか? アレの術には驚かされる。な、アロン」


「あ、だな……」


 人ではないからな。


「そうだ、ニュウ。お前にも拳法を教えてやろう。おまえに合う大河拳法が、ある。大河胡蝶娘拳だ。小さな娘が大人を倒す拳だ。たとえばいきなり足を踏んづけて、相手が痛がったとこ、くるっと後ろ蹴りでツネを蹴るそして……」


 ニュウが、チャオの拳法に興味を持ったようだ。

 あ、ボクの方はどうしたチャオ。



 一階の食場。


「アロンは?」

「なんでも、朝から汗かいたとかで、風呂に入ってるわ。チャオとニュウも」


「先に食べましょう師匠。連中朝から何やら動いてたのを小便のときに見ました」


「なら、早く朝飯を食おう。あたし腹減ったわ」


「ウーサイ。おまえ昨日の晩飯から気になってたんだ。なんか胸とか尻とか大きくなってないか。ねぇ師匠」


「ああ、知っておった。別に気にすることじゃないマンケイ。色気づいたんだろ。良いことだ」


「なんだ、デブチョはこういう体が好きなのか?」


「ああ、でももう少し背が、高い方が……まるで幼児が大人の体してるみたいだ」


「なるほど、だがデブチョ。その変な目であたしを見るな、皮はいで中に石ころつめるぞ!」


「ひいっ、師匠。こいつならホントにやりそうだ」


「アハハハ、やるやる。こいつはやる。おーい朝飯早く持ってこーい」

「リーさん、ちょっとお行儀が悪いわよ」


「あ、師匠。おくれてすみません。朝風呂入ってたもんだから。ボク、温泉というのに昨日はじめて入って気にいちゃいまして……」


「汗臭い体で飯に来られてもな。気持ちよかったかアロン」


 え、朝の稽古を知ってるのかな師匠?


「はい、最高でした!」


「朝ご飯だ!わーい!」


 ニュウとチャオも風呂から出てきた。


「久しぶりに朝稽古したら、汗かいちゃたよ。風呂があるっていいなあぁ」


「ああ、荒れ地と大違いだ。町を出る前にまた入るぞ!」

「リー、それからまた何日もたすんだ」

「そうだな七日は……次の町で有ればすぐ浴るわよ」




 ボクらはハイゼの町を出て隣のモクハイ県ビレの町に。

 この町も海に面した町で沖にに大きな船を見た。


「アレは中央から来た軍船だよ、ハイサンで戦がはじまるとよ」


 町の漁師に聞いたらそんなこたえが。


「ちょっとまえまでボクらは隣に居たんだが……戦がはじまるのか」


「ああ、もう敵国が、荒れ地の壁近くまで来とるそうだ。戦がはじまったらわしらは仕事が出来なくなる。困ったもんだ。そればかりじゃねぇ。若いもんは召集され、戦に出される」



「戦なんか、なぜ起きるんだ。少しまえまでは皆、平和に暮らしてたじゃないか」

「なんだ、ツァンレン。知らないのか」

「その名は呼ぶなウーサイ。おまえは知ってるのか?」

「ああ、おまえと魔天より地上に降り立った魔王のせいさ」


「おまえ……ツァンレンのことか?」

「言ったろう。みなで十三の魔王が居ると。おそらく戦を起こしてるのは魔王のひとりラゴウだ。奴は戦好きだからな。百年前の戦はヤツの仕業だ」

「戦好きの魔王だって、今までの奴らみたいに個人でしかけてくるヤツじゃないのか」


「ああ、ヤツはそういうヤツだ。すでに何人かがヤツの仲間に」



「やぁねぇ統一した華中に、誰が戦をしかけてるのかしら?」

「姉弟子。噂では、辺境の小国トウメンが華中を脱国し、あたりの県から攻め込んでるとか」


「そうなのかマン・ケイ」


 トウメンに摩王が。


「ああ、ハイゼの町で旅人が言ってた」


「というコトだツァンレン。あっとアロン。戦を止めるならトウメンに行ってラゴウを倒すんだな。あたしは、接触してないからどんな奴らがつるんでるか知らんがな。あたしゃ高みの見物で、あんたが負けたらすぐに体をかっさらうつもりだ」


「そういうコトを言うなょ。ボクは負ける闘いはしないつもりだ。師匠の教えでもある」


「師匠、今日はどうするんです?」


「あ、このあたりには馴染が居るんだか、探してくるから、そこの茶屋で待っててくれ」


「だってさ、茶屋の名前は『新・海賊亭』よ。中、大丈夫なの呑み屋じゃないの。アロン、先に入ってよ」


               つづく





「」

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