ドウジェン
47話 ドウジェン
うわぁドウジェンと呼ばれた摩天の魔王は、つながれた綱を噛み切り、他の奴隷亜人から離れた。
「おい、ヤツをどうにかしろ!」
追ってきた奴隷商人たちが綱をかける。
「おとなしくしないと飯はやらんぞ!」
「グルッ離せ、オレにはやることがある!」
「うあっ」
奴隷商人たちを振りまわし離して。ドウジェンはボクに襲いかかってきた。
ボクの倍くらいのデカぶつのわりに動きが早い。
避けたボクに、すぐに拳の突きの連打が。
ウーサイは、闘士と言っていた。コイツは拳術の使い手か。しかし、亜人のせいかデカい拳だ。
「うわあっ!」
ボクの体で受けたら吹っ飛んだ。
「どうしたツァンレン! あたいのときみたいな技を見せてみろ!」
こいつの拳をまともに受けてはダメだ。何も効いてないが力で押される。
刃物だと思い避けなくては。
「ウガァ」
飛ばされて倒れたボクにドウジェンは両拳で叩きつける気だ。飛びかかって来た!
ボクは体の小ささをいかし、ヤツの胸元に飛び込み思い切り両足で蹴り上げた。
「おお、あの小僧。デカいゴブリンを蹴り上げたぞ!」
「なんだあのガキは?!」
落ちてくるドウジェンの下に入り頭突きでヤツの股間に。
「グフッ!」
亜人でも急所は同じか。
「ウウッ……」
ドウジェンはふせって股間をおさえ尻を上げ、うなっている。
「おい、今だ。ヤツを縛り上げろ!」
「どういった武術家の方とは知りませんが、コイツがご迷惑を……」
と、奴隷商人がボクの手に銅貨数枚を。
「痛いとこやられたなドウジェン。アレは魔天界のツァンレンじゃないぞ」
「ググ、やべぇ。体が……」
「ツァンレンだったら、おまえにトドメをさしたろうよ。良かったなドウジェン」
何かドウジェンに話してる。ウーサイはヤツと親しいのか? いや、でも初顔合わせとか言ってたよな。
「アロン。ヤツは、なんでおまえのコトを違う名で呼ぶの?」
「さて、もしかしたらボクの本名かもな……過去に失われた記憶があったりして」
適当なウソを言った。
一応、チャオには魔天の魔王のコトは黙ってよう。
「強くなり名を知られるようになると、名を上げようとやたらと挑戦者現れて落ち着かないとも言う。強さで名を上げるのも物騒なんだよなぁ〜。アロンは他の名で有名なのかもしれないな。で、次々と襲われるとかないか?」
「さぁ~記憶にない名前だから、誰かと間違えてるとか、いい迷惑だ」
「そうか……。でも、名を上げないと我が大河拳は世に出ないのが矛盾だ。とりあえず名は上げないと……しかし、武術大会の中止はイタかった」
武術家で名を上げるのもいろいろと大変なんだなぁチャオ。
しかしなぁ師匠が武術を教えてくれたらもっと簡単に相手を倒せるんだが。
「チャオ、ボクに大河拳を教えてくれないか」
「アロンに? あんたには、いらんだろ。師匠が
いるだろし」
「師匠もおまえに武術はいらんと言うんだけど、やはりちゃんとした闘い方がしたい。それに勝ったら大河拳の名を言おう。名が世に知れるぞ」
「う〜ん、そうか……じゃあたいは師匠だ。チャオ師匠と呼べ。アロンには、あたいの体格では使いきれない特別な拳法を教えよう大河花和尚拳だ」
「花和尚?」
「なんだ、花和尚を知らないのか。『大河英傑伝』の中でも有名な力と技の大物だ。ずうたいも大きいし器もデカい英雄だ。その男からあみだした拳法だ」
「そうなんだ、ボクは字が読めないから『大河英傑伝』は、知らないんだ」
「講談とかは聞いてないのか?」
「講談なんて聞くカネもなかったし……」
「そうか、今度あたいが拳術教えるとき『英傑伝』も語ってやろう」
「お〜いツァンレン、坊主たちは?」
「ウーサイ、その名で、呼ぶな。また、なんか来たら面倒だ」
「坊さんたちは宿を探しに……。おや、あの店の前に居るのはチビスケだ」
「おーいアロン、宿はここだよ!」
「南海飯店、ほお〜デカいなぁ。それにキレイだ」
南海飯店、新しく出来たばかりの宿屋だそうで、一階は漁師たちや船乗りたちが飲み食いに来るそうだ。
二階三階は宿で一階の奥には大きな風呂場がある。
男湯の入り口に『酔っ払い入浴禁止』とあると、ニュウが読んでくれた。呑まないボクにはかんけいないな。
風呂には。
「おう、アロン。ようは済んだか?」
「アニキ、いい湯ですよ」
師匠とマン・ケイが。
女湯。
「あ〜やっぱ風呂はいいなぁ」
「ここは、海岸で湧いている温泉がひかれてるそうよ」
「温泉かぁやはり水風呂とは違う」
「あ、チャオたちだわ」
「チャオは背のわりにいい体形してるな。ウーサイは、ニュウと同じだな、ツルぺったんだ」
「べつにデカいムネや尻で男を誘う気なんてないからな。関係ない」
「わーいお風呂だ、デッカイなぁ!」
「だが、アレと同じだと思うと考えものだが……チャオの体、参考に変えるか」
「ウーとやら、変えると簡単に言っても……あっ胸がふくらんだ!」
つづく




