新たなる魔天人
46話 新たなる魔天人
「おい、何やってんだ!」
「奴隷のひとりが暴れ出したんで!」
「うがぁ腹減ったぞお。何か食わせろ!」
「また、あいつか。最近珍しいゴブリンの奴隷だ。ずうたいデカい分飯はやたら食う」
「なんか、腐りかけのもんでもやっとけ、腹がふくれればおとなしくなる」
「森ブタのエサしかねぇけど」
「それでイイ」
港町へ来たはいいが。
「師匠、今夜はドコに泊まります。あてとか、あるんですか?」
「あて……昔来たとき、泊まった宿が……無い」
「えっ」
「たしか、このあたりだったが宿が無い。あの船乗り風の二人に聞いてくれアロン。いかり屋という宿だ」
「はい、師匠」
船乗り風の二人に、訪ねた。
「いかり屋……オレら昨日、ここに着いたばかりで、そんな店は知らねぇな」
「と、言われました師匠」
「わたしたち手分けして探してきましょうか師匠」
「いや、別にいかり屋でなくてもいいんだ。空いてる宿に泊まろう」
「宿に泊まるのか、あたしずっと野宿だったからね、風呂に入りたい!」
「そう言えば、あんた臭うよねリー。最後に風呂に入ったのいつよ」
「そうだな、砂漠のオアシスで池に入って洗ったのが最後だから……忘れた」
「チャオは、いつでもいい臭いしてるわよね。なんで?」
「あたいの生まれつきの体臭なんだよ。花の香がするだろう。ウンコも臭くないんだよ」
「ほう、そうなのかチャオ。マレにそういう人間が居ると聞いたが、目の前に居るとはな。私ははじめて会ったぞ。マンケイ、よくおがんでおけよ。次はないかもな」
「コラッ、マンケ。寄るな。坊さんもマンケも、もう長いこと一緒だったのにわからなかったの」
「チャオ、男はねぇ……」
「いや、私は女性の体臭は好きですから。チャオさんはいつもいい匂いしてるなぁと。一度お願いしたいと」
「あんた、そんな目であたいを……」
「まあ、チャオ殿。マンケイだけでなくて、なぜか我らの一行は、皆、美人さんばかりだから男として、目のやりどころに困るくらいだ。なあアロン。おまえもそうだろう」
わあ師匠、女性のことでボクにふらないでくださいよ。
「アロン、ニュウも美人か!」
「ああ、ニュウはあともう少し大きくなったら町を歩けなくなるぞ、男たちがゾロゾロと……」
「アロン、わたしはキレイ?」
「ああ、もちろんだ遊天楼の女将にも負けない大人の女になるんじゃないか。ねぇ師匠」
「ああ、女将より目がキレイだ」
「そうなの、わたし目は父親似とよく……」
「リァンの目は父親似と。あなたのオヤジはどんだけキレイな目の色男なの? 見てみたいわ、あなたのオヤジ」
「リーさんの山賊のお父さんは?」
「あたしのオヤジはヒゲヅラのクマみたいなヤローだ。なのになんでか女にモテてよ。で、ある女に子供を産ませた。だが、その女は何故か名乗らない。ウチの仲間の誰かなはずなんだが」
「リーのお母さんね……。あなたの仲間で一番キレイな人がリーさんのお母さんよ。だってリーさんキレイだもの」
「女、男。あたしはどちらでも強い方が好きだ」
「え、ウーサイは母親になろうとは思わないの。可愛いお母さんになりそうなのに」
「リァン……だっけ、やめてくれ。母親なんて考えたこともない!」
「ウーサイの子はきっと強い子になるだろうな」
「おお、なら作るかツァンレン! おまえとなら強い子が作れそうだ!」
「だからか、ボクはアロンだと」
「ツァンレン、今ツァンレンと……ツァンレン!」
「こら、また何処に行く気だ!」
「おとなしくしろ! 飯はさっきやっただろ!」
ウワァなんだ。あいつ!
奴隷船から降ろされたデカいのが、つながれた仲間を引きずりこっちに。しかも。
「ツァンレン!」
と、叫んでる。
「ツァンレン、アレは魔天の魔王の一人ドウジェンじやないか」
「そうなのか、ウーサイ」
「だな、亜人の体に落ちたのか……」
「ツァンレン! オレがわかるかー」
「わからんが、おまえの仲間がドウジェンと言ったぞ」
「仲間? その小娘か。魔天の気を感じるが、貴様なんぞオレは知らんぞ」
「実はあたしもあんたとはお初で知らないんだ、だが。私はツァンレンの好敵手と言われたウーサイ! なら知ってるだろドウジェン」
「お前のような小娘がウーサイだと、獣の姿のバケモノと聞いてたが」
「アレは仮の姿さ。貴様だって、魔天界の美闘士と呼ばれていたではないか、何だそのクソ色のバケモノは」
「言われてみれば納得のいかない体になったものだ。しかし、そこのツァンレンも小僧の姿だ」
ツァンレンは魔天では、どんな姿だったんだ。ムキムキの、ボクとは違う筋肉男なのか?
「師匠、なんだかまた、わけのわからないのが現れましたよ」
「多分、彼らのいさかいだ。私等は宿を探しに行こう」
「坊さん、あの亜人のデカブツとアロンの対決見ないのか」
「チャオが見たいなら見てなさい」
「なんなんだあのアロンという男は。わたしもいさかいに巻き込まれたくないから坊さんたちと行くよ。坊さん、宿は風呂が有る所な」
つづく




