荒れ地の終わり
44話 荒れ地の終わり
三日ぼど荒れ地を歩くと、先の方に岩壁が見えた。
「なんだ、アレは砦かな?」
「いや、アレも昔の遺跡の跡だ。が、たまたまああいうふうに並んでいるから、ハイサン県の県境に使っている。あそこは海に面した国だったが華中統一のときの戦で、隣の県と別れてはいるが今は華中国の一部だ」
「アレはそういう物か」
近くにいくと、インアルの町みたいな高い塀だ、あの塀はこの遺跡を参考に作ったのではないのか。
「おい、おまえらは何処から来た!」
兵士の門番か? 役人ではなくあきらかに兵士だ。兜や鎧が違う。
「インアルの町から、戦をのがれて来た」
「戦を……そういう話は聞いている」
だからあんたらはココに居るんじゃないのか。
「いずれこちらも戦になるだろ。で、おまえらは間者じゃないのか?」
「わたしらが? そういう風に見えます? 兵隊さん」
「若い女に坊主に荷物持ちのデブ……ソレに子ども。おまえたちはどんな関係だ!」
「若いのは私の弟子だ。僧でないので結婚もしていて子どもは、その者たちの子だ」
「弟子……あんたの」
「私も旅の坊主ながら、いろいろと修業の身。彼らは私の思想や武術に共感して、私の弟子に。流浪の身ながらついて来て教を……」
「ああ、わかった。子連れの間者も考えられん、通ってよし!」
壁の向こうに町があるかと思えば、軍隊の幌が沢山。
「戦準備ですかね師匠」
「インアルの町を落としてしまえば、後はこのハイサンだ。辺境はヤツらのものになる。時間の問題かもな……」
「戦のおかげで一人旅が厳しくなった。あんたらについてきて正解だったよ。なにしろ、あたしは元山賊だから場所によっては手配書がまわってる」
リーは、ボクより少し年上だ。
わからないのが、なぜか一緒についてきたウーサイだ。
見た目はニュウと変わらない女の子なのだが、そして片腕の義手。今は大きなカギ爪の無いものを着けてる。
あれでも魔天の魔王の一人だという。
ボクと師匠の二人旅だったが、いつの間にか仲間が増えた。
「アロン、アレは町だよね!」
マン・ケイの荷物の上。一番高い所に居るニュウが町を見つけた。
「アレはハイサンの港町ハイゼだ」
「港町か、新鮮な魚料理が食べられますね師匠」
「ホント、マン・ケイは食べるコトしか頭にないのね」
「ソレに女だ!マンケー」
「そうなのか、このブタマントウ」
「ブタマントウは、ないだろおチビ」
「おチビ……そのうち、おまえの中に入って操縦してやる……。でも、おまえは脂だらけだから……。やめとく」
「ウーサイって、なんでついてくるんだ?」
「おしえてやろう。アロン、貴様が死んだらそく、貴様の体を手に入れるためだ。火葬にでもしたら金貨千枚は払わんぞ!」
荒れ地を行く旅の幌馬車。
「なるほど、天導引の間者の調べではあの旅の僧の名はリュー・ハイシン。伝説の天林寺の僧と同じ名だ」
「リュー・ハイシン。奴が……どうりで強いはずだ。俺やウンチャンなんか子供あつかいなわけだ」
「奴は本物のリュー・ハイシンなのかい……坊主なのにとんでもない床技使いとも……」
「やはりそうなのかレアン、奴と床勝負をしたのか?」
「何をおっしゃいますティンソー様。床勝負などと……」
「負けたのかレアンともあろうものが……」
「いえ、ひ、引き分けでしたわ。あの男、途中で……」
「まあ、その話は後々に。今のところ同じ名というだけで本人とは確認されていない。そして連れている小僧は弟子のアロン。こいつの過去は不明で、現在あの魔導引の小娘の手によっては無敵とも言える強者になっている。先日のインアル攻防では、ほとんどあの小僧が敵兵を……。アレがそばに居るのは厄介だな。魔導引の娘には中々手が出せない。だけじゃない、父上の話では魔天の魔王が地に降りて天下を混乱におとしいれてると。このたびの戦もそれだ。中央に仕えている我が叔父も奴らの動きには警戒している。天導引の武闘派もすでに動いている。武術大会がなくなった今、お主等の使命は魔天の連中と戦うことになる」
「魔天の……」
「ティンソー様。前におかしな男が」
「何者だ!?」
「砂ぼこりでよく見えませんが、道の真ん中に立ってます。背の高い男ですね……マント姿だ背に長剣を……コチラに」
「お主は、何者だ!」
つづく




