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好敵手ウーサイ

43話 好敵手ウーサイ


「リーさん、後ろ!」


 リー・ピングオが乗った大岩の後ろから顔をななめ斬りにされた巨大なサルが顔を出した。


 すぐに気づいたリーはサルの顔面に後ろ蹴りを放った!


 巨大サルは、鼻血を噴いて後ろに倒れた。


 リーは岩から降りてボクらの方に。


「毛が金色だった。アレはなんだ。タダのサルじゃないよな。サルってあんなにデカくないし、耳がとんがってた」


「見て、サルが立ち上がったわ!」


 さっきリーに後ろ蹴りをくらって顔中血だらけのデカサルがピョンとリーが居た大岩に飛び乗り。


「グワァー」


 両手を上げ、空に吠えた。

 

 剣をかまえたリーの前にボクが、出ると。


「ヅアンレン!」


「なに、しゃべった」


 しかも、ボクを見てツァンレンと。ちょっと、声が、にごってたけど。


「グワァー!」


 ヤツが襲いかかって来たトコを横にかわし、横から腹に拳を。


 拳はハラにめり込んだ。


 デカザルは後の大岩に、よたよたとさがり。

 ボクは跳んでサルの後ろの岩に。

 そして頭の毛を掴み後頭部を岩にガンガンぶつけた。


「ヅアンレン、腹の一発もきたが、いまのは攻撃効いたぞ。もうコイツはダメだ……」


 よろよろと、前に出たデカザルは両手を前についた。すると、背中が割れて。


「ふ~っやっぱり生の着ぐるみは臭いなぁ」


 ええ、あのデカザルの中からニュウくらいの背たけの女の子が、出てきた。


「ツァンレン、さすがだな。コイツなら勝てると思ったが、生身がもろかった……」


「なんだ、おまえは?!」


「忘れたか? おまえの好敵手、ウーサイ様だ!」


 はあぁ好敵手だって。このチビッコが。


「女狐が言ってたが、ホントにツァンレンの記憶がないのか? おまえ」


「あんた女狐の仲間か? ボクはツァンレンじゃない、アロンだ!」


「おまえの名前なんてどーでもよい、ツァンレン。今度は素手で勝負だ」


「素手? その片手の三本カギ爪はなんだ」


「問答無用!」


 着ぐるみだというデカザルから、飛び出した女の子は片手のカギ爪を振りまわして襲って来た!


 体の割にデカいカギ爪を軽々しく振り回す。

 意外に避けるのが精一杯だ。

 しかも相手は小さな女の子、ドコを狙って攻撃したらいいのやら。


「逃げてばかりでは勝てぬぞ! ソレ」


 おわっ胸を。


   ビリーッ


 破ってしまった。リァンに叱られるかも。


  ビビッ


 あっ、今度は背中!


 コレでは普段着れない。


「どうした。手も足も出ないか!」


 つったく、お子様なら。

 ボクは、ウーサイと名のった女の子の背を取ると、ヒザに乗せて。


「悪い子はこうだ!」


 と、お尻をペンペン!


「ひいっ!」


「なんてぇコトを痛いじゃないかぁ!」


「そういうあぶない物は取れ、」


 と、カギ爪を取ったら、この右腕には手が無い。


「どうした、この腕は……」

「ナニを今さら。ツァンレン、おまえがあたいの右手を潰したんじゃないか……」


「おまえって言うな。ボクはツァンレンでは、ない。だからその手をやったのは……」


「そんな、人間の衣をかぶってても貴様はツァンレンだ。魔天の魔王だ!」


「いや、ボクは魔王ではない。アロンだ」


「そうだ、アロンだ!」


 と、ボクの前にニュウがやって来て。


「アロンは、ニュウが魔導引の秘法で、強くした!」


「なんだぁこのチビッコがツァンレンをこのアロンとかいう小僧に封じたのか……女狐が言ってたな……ツァンレンは人に憑かれてるとか」


「チビッコぉ。あんたと同じくらいだ。チビッコ!」


「しかし、おまえ。人でありながらツァンレンの力を出せるのか……」


 すると、女の子がボクに抱きついて。


「アロンとやら、あたいはおまえの中に入りたいぞ、そしてツアンレンの力を中から操り魔天一の強者になるんだ!」


 ボクは、さっきまで暴れていたデカザルを思い出した。


「変なことを言うな!」


 と体から突き放した。


   ビリリ


 あ、服が。コレはもうさすがに。

 ボクは申し訳ない顔をし、リァンを見た。



「ごめんね、アロン。着替えはもうないから、しばらく師匠のを」


「ああ、マン・ケイのよりはマシだ」


「おい、アロン。あたいにその体くれないか、金貨でも、なんでも払うぞ」


「そんなことが出来るか。ナニを言ってる。おまえ、ツァンレンの好敵手とか言ってたが、そんな形で手に入れても満足なのか?」


「わけないが、今はツァンレンはあんただ。なんか違う気がして。本物のツァンレンは、いたいけなあたいの手を潰すような血も涙もないバケモノだったからな。聞く耳を持たなぬヤツだった」


「なるほど、おまえの手を見ればわかる……非道いヤツなんだなツァンレンってーのは」


「で、あんたが死んだら体をあたいにくれないか、買ってもイイ!」


 なんだかなぁ~こいつ死んだボクの体を着込んで強くなるのか。

 なんだ、その目はウルウルと。


「まあ……死んだら、やらないこともない。そうだ、ボクが死んだら金貨千枚を仲間にやってくれそれでどうだ」

「よし、手をうとう」


「ダメよアロン。ねぇ師匠……」


「ソレは弟子が決めたことだから私には……」


「そうだ、ダメだアニキ。口約束はいけない!」


 と、マン・ケイが荷物の中から手ぬぐいと筆と墨を出し、サラサラとナニか書いて。


「口約束は、後で問題になるから契約書だ。ここにあんたとアニキの血判を押して!」


 さすが、商い人の若旦那。


「イイだろう」

 

 ウーサイは、先の尖った尻尾を出し指に穴を開けた。


「あんたも指を……さすがに硬いな。ウッ」


 かなり力を入れたんだろウーサイは顔が真っ赤に。ボクの指先から赤い血が。

 魔王の血は青いかと。


「コレは、師匠が持ってて下さい」

「ああ……」


「ツァンレン、いやアロン。多分あたいだけでなく魔天衆と闘うコトになるだろう。今、戦を始めたラゴウやルファなんかは強さだけじゃないからかな、命はそう長くないと見てる」

「魔天衆? そいつらは、ボクをツァンレンと呼んだ連中だな。あと何人居るんだ」


「あたいを混ぜて魔天の十三魔王だ」


              つづく

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