リー・ピングオ
41話 リー・ピングオ
おあ、あいつ凄いな走ってトビオオネズミを捕まえたぞ。
「お〜い。捕まえたぞぉ〜」
そいつは走って戻って来た。
「キミは、このあたりに住んでるの?」
「今はね」
「良かったボクたちと食事しないか。そこそこウデのある料理人が居るんだ」
料理人かぁ。そろそろ自炊にもアキた頃だし。こいつも悪い奴じゃなさそうだし。
「あんたの他に何人居るんだ?」
「ボクの他に男が二人で女の子が3人だ」
「ふ〜なるほど、あと少ししたら行こう」
ボクは、皆が砂ぼこりを避けて隠れてる遺跡の大壁へ戻った。
「ホラ、捕まえたぞ」
「なかなか立派なの捕まえたなアニキ……で、誰が手伝ってくれる?」
女の子たちは料理には無縁みたいだ。
「じゃボクが……」
さすが肉屋のせがれ、包丁さばきは上手い。
ボクが短剣で切り分けた肉片の皮をきれいにはぐ。
「荒れ地で乾燥野菜しかないのが、残念だ。が、乾燥でもあるだけましだ。アニキ、火を起こしてくれ」
「集めた枝を……こりゃ、しんどい」
「アロン、どけて。火をつける」
と、ニュウがふところから小袋を出し中に石が。
枯れ葉のそばでカチカチと。火花が!
「それが噂に聞く火打石かニュウ! 凄い物を持ってるな」
「スゴくない、普通……。かかさんいつもコレを
使って火を……」
母親を思い出したのかニュウ。まだ幼い。
料理の合間にチャオやリァンたちは食べられそうな物を探してくると。
しかしココは、なんだったのか巨大な一枚板が倒れたのか、そのままなのか。
どーんと立ってるのか、まわりには小さな岩板の破片が立ってる。
ちょっとした部屋みたいだ。
隅の穴を見たら水がたまっていた。
さっきの女の人は、こんなトコに住んでるのかな? コレで屋根が有れば。
贅沢かな。
「あーろくな物がないワ。やっぱり名前のとおり荒れ地よね。」
チャオが戻って来た。
「なんだか木の実みたいのがゴロゴロしてたから拾ってきた。コレ、煮たら食えるかなぁ」
「大分風が強くなってきたわよ」
頭巾を顔にも巻いたリァンが戻って来た。
「こら、リァン。ホコリを落とすのなら向こうでやれ。手ぶらかよ」
「いえ、木の実しかなかったから」
とチャオの拾ってきたのと同じ木の実を袋から出した。
「コレ、堅い皮を向けば食べられそうだと思って」
「そいつは皮むいたらしばらく水につけてシブを取らないと直ぐには食えないよ」
「あんた誰よ!」
「そこのおにいさんに、お呼ばれしてね。ホイ、手みやげだ」
と、外で出会った女性が。ボクの方にカメを二匹投げた。
「そいつは見た目は悪いが美味いぞ!」
「アロン、この人は?」
「さっき狩に出たときに出会ったんだ。名前は……。ボクはアロンだ。そのあんたの前のはリァンファ。こっちの頭に花を付けてるのがチャオでちっちゃいのがニュウ。奥で料理してるのがマン・ケイ。こっちで寝たふりしてるのがボクの師匠リュー・ハイシンだ」
「よく、ふりってわかったなアロン」
「女のコの声を聞いたら師匠は目覚めると」
「人を変態みたいにいうなアロン……」
「一気にきたな。あんたがアロン。目の前の目の女の子はリァンファで花飾りのあんたがチャオ。チビスケがニュウ。奥の太っちょがマン・ケイ。そこのスケベそうな坊さんがリュー・ハイシンって、あの?」
「なんだ? あと、スケベそうはよけいだ」
「まあいいや。あたしはリー・ピングオ。今は一人だけど……」
「リーはこんなトコに一人で住んでるの?」
「まあそうだが。長居したんで、そろそろ他に移ろうと思ってる流浪の旅人だ」
「へえ~じゃこの辺り長いんだ」
「意外とこの遺跡は住心地がイイ。五百年くらい前には人が住んでた遺跡で。あたしが住んでるトコは屋根も有りココより快適だ。で、つい長居を……」
「なるほどリーはもともと何処から?」
「実はなもっと都に近い山の中でさ、山賊をしてた」
「山賊だったの!」
「はっきり言えばオヤジがな、それがイヤになって山賊から抜け出して旅をしている。物心ついたときには山賊だった。母親は仲間の誰かと、と聞いたが、誰かもわからない。オヤジは教えてくれなかったし誰も名乗らなかった。そこのニュウくらいのときから剣術や、なにやら闘うすべを教わっての山賊暮しだ……」
「そうなんだ、山賊の暮しは経験ないが、つまらんのか?」
「ん〜チャオだっけ。あんたみたいなチャラチャラした格好なんて出来ないよ。つまらんだろ」
「なんだ服装も自由じゃないのか」
「まあオヤジの片腕にでもなるとおかしな格好したのも居たが、頭だったオヤジは私には女らしい格好はさせなかった」
「おお〜いみんな飯、出来たよ!」
つづく




