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新たな荒れ地に

40話 新たな荒れ地に


 大きなつむじ風が兵隊たちを巻き込んで行くように見えた。


 ウソだろうアロン一人で、ここまで。


「チャオ、悪いがラン・シーレン家に行ってリアンファにアロンの着替えを持ってこさせてくれ」


「着替え!?」


「師匠、その必要はないわ」


 リァンとニュウ、それにマンケ。


「待ってくださぁ〜い。ハアハア」


「師匠、向こうに見える砂ぼこりは何かしら?」


「なんだか馬の集団だな敵の加勢か?」


「うわぁ助けてくれ!」


 つむじ風の中からホコリまみれの敵兵が三人ほど出てきた。


「ハアハア、水をくれ……オレは捕虜になる」


 と、剣を捨て鎧を脱いだ。


 こいつらにリァンは水を。


「終わったようだ……マンケイ、アロンを。リァンファ、マンケイに着替えを」


 あのつむじ風がおさまり、倒れた兵士たちが。その中央に裸で棒をもったアロンが立ってた。


 そこへ敵兵とは違った集団が砂塵と一緒に現れてアロンや敵兵を囲んだ。

 何者だあいつら。


「チャオ、ついてこい」


 と、坊さんに言われ。奴らは敵ではないのか?



「太っちょ、小僧。おまえたちまえにもあったな、その兵隊たちはおまえらが殺ったのか?」


「殺してはいない、気絶しているだけだ。え〜と武術大会であんたを見た……ソーとか」


「そうだトッケツの長でソー・ムンランだ。加勢に来たがもう済んだようだな」


「コレはソー殿、わざわざ。私を覚えてるかな」


「ああ、その小僧たちといた坊主だな。そちらの小娘は大会で……予選通過し二戦目では私と闘うはずだった酔拳の……こちらで兵に」


「いや、軍とは関係ない。そうだったの。二戦目の相手はあんただったのか。機会があったら今度お願いしたい。今日は個人的な運動とでも……戦争に参加したつもりはない」


「見事に敵兵を……さすが、トッケツの皆さんだ!」


「坊主。私らは、何もしてない……」


 と、いうわけで二度目の戦はトッケツたちと武術大会の勇士によって。町が救われたことになり。ボクらは、こっそり町を出た。


「なんで戦の一番の功労者がこっそり町を出るんだ」

「別について来なくても良かったんだチャオは。もしかしたら軍から何かもらえたかも?」

「いいんだ、あんな町に居てもつまらない。軍も嫌いだ。それよりアロンたちと居た方が面白い」


「さて、師匠。次の目的地は?」


「西へ行くと戦だから逆方向に大砂漠の横を通り海を目指そうと思う。アロン、海は見たことがなかろう?」


「海はないです。大きな湖なら……」

「わたしもない!」

「私も」

「ニュウも!」


「海か、あたいもないなぁ。海の水は塩からいと聞いたけどホントかな?」


「水に誰かシオ入れた!」


「ニュウの本とかに海のコト、書いてないの?」


「ニュウの本は魔導引の本だからか、書いてない」


「師匠、海の魚には元々塩味が付いているってホントですか?」


「そんなわけないだろマン・ケイ」


「みんなお子様だなぁ。海はいいぞ。なぜか海を見るとスカッとする。チャオ、本当に塩からいぞ。マンケイ、その場で取って食えば海の味はするが、身には味は特にない。東方のかなたにある島国では生で魚を食べる。私も食べたことがあるが悪くはなかった」


「魚を生で……あれって焼いたり煮たりして食べる物ですよね。生……食えないなぁ」


 うわぁ隣のマン・ケイはうつろな目で口お開けてる。


「オイ、マン・ケイ。よだれが流れてるぞ。おまえは生の魚、食べたことがあるのか?」

 

「ない……けど、なんか食べてみたい」


 荒れ地を進み過ぎると大砂漠に出てしまうということで荒れ地を通り進行。


「この辺は何もないのね……」


「見ろ、デカいネズミが居るぞ!」

「あれは、ラン・シーレンのトコで食べたぴょんぴょん跳ねるヤツだよ! アニキ、捕まえて食おう」


「よし、綱はあるよなマン・ケイ」

「そんなのはない……」

「それじゃ……その腰ひもを」


「いゃん、ズボンが落ちちゃう」

「気持ち悪い声を出すな。火と鍋の用意しとけ!」


 ボクはマン・ケイの腰ひもをねじあげ、あのデカい跳ねネズミを追った。


 横から突進すると向きを変えた。

 

 と、そのとき妙な物が飛んできた。そいつがネズミの頭にあたり。ネズミは倒れた。


「やった! そこの人。ソレはあたしの獲物だよ」


 前方の大岩の上に人が立ってた。


 砂漠の民? 彼女は岩から降りてきて縄でネズミの足をまとめて縛って首を斬った。


「悪いな、こいつはもらっていくぜ」


 近くで見ると女だ。若い、ボクと同じくらいの歳かな?


「あ、ほら向こう。もっと大きいのが、おにいさんがんばりな!」


 一瞬だが岩かげから頭が見えた。


 仕方がない向こうを狙うか。

 ボクはまた紐を手に走り出した。


「ほう、よく走る奴だな……」


               つづく

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