門の前の強者
39話 門の前の強者
塀から降りると雨ならぬ矢が。
「アロン、あぶないからそこの板を持って塀に張り付け!」
なんだか、妙な一枚板が塀に立ててあった。面に取っ手が付いた、いい加減な作りの盾かと。
それを取り塀に背をつけた。
師匠は板をあたまのうえ乘せろと。
ガッガッガッ
矢の嵐だ。
こんなにふってきたら上の人たちは大丈夫なのか。そうか、コレがそこにおいてあったのは。
「上の兵隊たちは!?」
「上の兵隊たちは大丈夫だろ。矢がやんだ。私は門を見てくる。アロン、みんなのとこへ行ってこい!」
門にまた、スゴいのが現れたのかな?
高塀のすぐ下にラン・ミーレンの家があるから昨日は、あんなにすぐに襲われたのか。
塀の上では昨日の戦闘で、先に矢で攻撃が来るとわかってたようだ。
あの板は矢よけだ。
上にもあったようだ。盾代わりに使っているが見えた。
ボクは塀の横を走り屋敷に。
「おっと!」
たまに兵士が落ちてくる。
家に戻りチャオを呼んだ。
「塀の上に上って来る敵兵を蹴りおとしてくれ! ボクも行く」
「いいよ……でもただ働きか?」
「うーんよし、落した証拠になる物があれば一人銀一枚!」
「アロンがそんなにくれるのか?」
「後で師匠と相談する」
「ちょっと冗談を言っただけだよ、心配するなアロン。無料だよアハハハハハ。さて大河黒旋風拳のお披露目と行くか」
と、チャオは腰帯の裏から手斧を二本取り出した。ソレが黒旋風の拳?
実はボクは大河英傑伝なる本の英雄を知らない。まあ、それは後で師匠にでも聞くか。
塀へ登る台は門の方にある師匠の方はどうだろ。
今回は大砲を何発も撃ってるから、門は大丈夫だろうと、思うが。
近くまで行くと、大砲が門から離されてた。
門には外から開けられたのだろう穴が無数に槍や斧、剣等で壊しているのが見えた。
入ってきてから撃つのか?
師匠の姿が見あたらない。
何処だろう。
「門の板の真ん中を狙え!」
門の板ごと兵隊を狙ってる。
「ていっ!」
ドバーッ
門の板が吹っ飛んだ。
煙が、ホコリが一緒になり前が見えない。
「うあっ!」
「うげっ!」
「アバタッ!」
「たいたにく〜」
「ター!」
「ミィ」
「ゲッ」
「ええっ!」
「ター!」
「貴様らはもう戦えぬ!」
ホコリで見えない中、闘いがあったのはわかった。最後のあの声はもしや。
ホコリや煙が消え見えたのは。
爆破した門の瓦礫の山と倒れた敵兵の姿と、さっきの声で想像はついたが、やはり師匠だ。
門の横にでも隠れていたのか?
今は外の敵兵に囲まれてる。
「君たち、帰ってくれないかな。平和な町に波風立てることないだろ」
「黙れ坊主、そこをどけ!」
「その気はない! ここは旅人には無くてはならない町だ」
「旅人? 知るか!」
「疲れる連中だな……お、アロンにチャオじゃないか。おまえたちも、こっち来い。楽しませてあげるから」
師匠は一人で町を守る気だったのか?
「リュー先生。このチャオが手を貸すぜ!」
「おお、その手斧はまさか、黒旋風の」
「さすがリュー先生だ!」
「大河英傑伝の英雄だな」
「ああ、大河伝一位英雄の黒旋風の手斧だ、見たいだろバカども!」
「また、変なのが出てきたぞ。なんだ女じゃないか」
「そこの聞こえたぞ。女だからって、なめるなよ。そこから行くぞ!」
うわぁチャオ、飛び出したよ。
チャオひとりで、師匠は? 笑って見てる。
「アロン、あれが大河黒旋風拳だ。あのチャオとやらは拳の天才とみえる」
「師匠、ボク大河英傑伝の英雄って知らないんですよね。斧持って振りまわしても拳法なんですか?」
「何を使おうが武術の内だ。創始者のチャオが言うなら拳法。たぶん同じ形で、斧を持たないのがあるのだろう」
たしかに武術には空拳もあれば武器も使う。それは、どちらもあたりまえだ卑怯なわけではない。
「大河英傑伝の黒旋風とはな、全身真っ黒な熊みたいな大男でな、登場人物一の暴れ者で、両手に大斧を持って暴れ出したら誰も止められないというヤツだ。ときには敵味方の判別さえ出来なくなる」
敵味方の判別が出来ないって、戦場では最悪だ。
絶対近寄りたくないヤツだ。
「大分やったが一人じゃ限界、アロン行け!」
「アロン、行きま〜す!」
「うわぁ凄えな百人くらいやっちまったんじゃないかチャオ。交代だ」
「ハアハアはあ……お、アロン見たか」
「ああ見たチャオ、凄かった!」
チャオは腰のひょうたんを取って飲み始めた。アレは水? 酒?
今回の兵数は千人くらいかな。
昨日は半分くらいだったがあの将軍は、やはりいない。
普通の軍だ。
「またかよ、今度はガキひとり棒持って出てきたぞ」
「向こうは軍隊じゃないのかよ?」
「来ないなら、こっちから行くぞ!」
「なに、ひとまわりデカくなったぞ!」
高塀に登りかけてた兵士に。
「ここは引き上げて門の方の加勢に行けと」
「門の方? こっちから入って門を開ける策はどうするんだ」
「知るか!」
「おい、門なんか、もう無いぞ!」
ウチの軍師は何を考えてるんだか、トウメンなんかに負けるわけだ。
「何だアレは……うっわぁハシゴが!」
「コレが最後のハシゴだ、押し倒してやったぜ」
「おい、奴ら塀登りをあきらめたのか下には誰もいない」
「門の方を見ろ!」
つづく




