表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/132

裏切り者

37話 裏切り者


「お客様、たいしてこってはいませんね」

「そうか、もうちょっ下の方を」

「はい」


 あの狐女は人気が、あるそうだけど。

 わからなくもない。あの耳さえなければ妖艶で美しい。

 ボクも体をモンで欲しい。


「ツアンレン、ツアンレン! どうした。あの女狐を見惚れてるのか?」


「あ、いや。そんなコトは」


「ヨダレが出てる」


「え、あっ。ああ、言っとくがボクはツアンレンではないアロンだ」


「ソレは名か?」


「う〜ん。そう言われるとア・ロンなのかも。ものおぼえついたころからアロンと」


「ア・ホウと同じじゃないか」

「阿呆だって……。おまえなぁ耳とこんな尻尾がついてなけりゃただの子どもじゃないか……」


「コラッ尻尾を上げるな! 恥ずかしいだろ」


 わあっお尻の穴と。

 こいつ下着つけてないのか。まあここは娼館だし。


  グゥウウ


「あら、お客様、寝ておしまいに」


 師匠が寝返りをうって大の字に。


「あら、ご立派に……」


「狐さんはなんていう名で?」


 思わず聞いちゃった。


「私ですか……テルーです。こちらのお客様の名を聞いていいかしら」


「師匠はリュー・ハイシンです」


 なんの反応もないのは武林とは無縁の娼婦だからなぁ。


「リュー・ハイシン様ですか……」


「貴方のような人が、なんでこんな辺境の娼館で?」


「私の母がココで……私は父を知りません。母でさえも。でも私のこんな姿ですからおそらく人に化けた妖怪変化の類が……。しばらくして母は働いてましたが、病に倒れて亡くなりました。そのときに女将さんが医者代や薬代を……。でも亡くなりました。女将さんは借金を返すまでウチで働きなさいと……」


 イイ女将にも聞こえるが、なんか怪しい話だな。


「あたしは奴隷商人から買われた……」


「アルって、天空人だろ。なぜ力を使い逃げないんだ」

「それが恥ずかしい話し、こいつのせいだ」


 と、アルは腕環を見せた。


「なんだこの金の腕環は?」


「あたしは奴隷商人に捕まった頃、身体が成長したので、暴れてやったんだ。そして逃げようとしたら、捕まってコレを付けられたんだ、すると力が出なくなってしまった」


「入ったんだから取れるんじゃないのか」

「ソレが、こいつ腕に入ったら締まって取れないんだ」


「どれどれ、あ、ホントだ手首から先にいかない」


「いてて、やめろ。外そうとするとよけいに締まる……やめてしばらくすると元の大きさに」


「そうなのよね、その環って難儀な物なの、何度かやったんだけど……戦で逃げられたのに残念ねアル」


「そうだったのか。で、あのとき。門が開いてたんだ、なぜ逃げなかったんだ」

「あんたを見かけたからさツアンレン」


「ボクはアロンだって」


「でも、あのグァンを簡単に倒しただろ」


 ガタガタ ガラン


「師匠! 賊だ!」


 隣のマン・ケイが、ドアを壊して入って来た。


「どうしたマン・ケイ、裸じゃないか」


 秘密の扉でもあったのか、隣の部屋との壁が開いて数人の男たちが短刀を持ち。

 顔には覆面。

 コイツラは?


「本性を表したな裏切り者め。門番を刺殺したのも貴様らだなご主人」


 なに、主人? ということはこいつら。


「アロンまかした」


 師匠は起き上がり着物を着だした。


「おのれ!」


 なんだこいつら、この腕でボクらを殺しに。


 乱闘なんてなく、あっという間に取り押さえて五人、床に寝かせた。

 そして一番がたいのいい男の覆面を取った。

 やはりあの旦那だ。


「さて、私らを亡き者にして手がらをたてたかったのかな? ご主人……」


「ふんっ」

「おまえ、いい度胸だな、アニキや師匠は優しいけど、私はもう少しのところを……」


「ぎゃあああ」


 うわぁマン・ケイが旦那の背に勢いよく座った。


「ぐぁあ……降りてくれぇお、おも……」


「私の弟子だから、私の言うことしか聞かないぞ。何も言わないのなら、お前を軍なり役人なりに引き渡す。これより酷い拷問が三日四日続くぞ。それは辛い日々だ……吐いたら吊るし首だろうが」


「話せば役人に……」 

「ああ、坊主はウソはつかないかもな……」


「マンケイ、アロン。こいつら縛り上げ兵隊さんに渡そう」


「はい」


「お坊様、それだけは勘弁してください」

「おや、女将。あなたの旦那は我らを殺しに。止めてほしか……。なら、女将あんたがこの町中を裸舞踏でもして回ってくれるかな」


「それで済むのなら……」


 女将は着物を脱ぎ始めた。


「冗談だ、女将。その程度では罪は……」


「坊主、なぜ……わかった」


「店に来て、やけに店が綺麗だったから。女も襲われたようでもなし、やつら一般の平民の家まで襲ったんだ、ココはすぐに営業できるほどだ。不自然じゃないか。娼館など襲われぬはずがなかろう。敵兵と門を開ける条件で約束したのかな?」


「図星です……役人に捕まれば、なにされるかわからねぇ」


「当然だな」


「お坊様どうか……」


 女将は泣きながら頭を下げた。


「あんたら、自業自得だよ。観念しな」


 ボクが言おうとしたことをマン・ケイが。


「しかし、だな女将よ。このテルーさんの借金とやらはどのくらい残ってるのだ。ウソをつくと旦那は」


「もうありません……借金以上の仕事をしてくれてます」


「だってさ、テルーさん。あんたはもう自由だ」


 寝てたと思ったが聞いていたのか師匠。


「あと、この亜人のチビスケをもらい受ける。環者だから、たいした値では買ってないだろ」


 環者? 師匠はこの腕環のコトを知ってるようだ。


「師匠、隣の部屋のヨーさんも」

「マンケイ、女を連れて歩くと。遊びづらいぞ、やめとけ」



 天々楼を出て歩いてると。


「おお〜いツアンレ〜ン」


               つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ